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第二十二話:スピリチュアルな成長を支援する「SAT法」

前回、ヘルスカウンセリングが他の心理療法と比べてどう違うかということを書いた。

そして、最後に、ヘルスカウンセリング、「SAT法は人格成長をサポートする」とし、そこに突っ込むとお約束していた。
それからすでに1ヵ月半が過ぎ、もうみなさんお忘れかもしれないが、今回はその部分のお話をする。

「ヘルスカウンセリング」「SAT法」と、いろいろ言葉が出てくるが、私も混同して使っていたので、ここで用語の整理をしておきたい。

SAT療法とヘルスカウンセリング

宗像は、以下のように定義している。

SATカウンセリング法とSATイメージ療法とを併せて「SAT療法」と呼び,
SATソーシャルスキル法を含めて「SAT法」と呼ぶ
SAT療法で用いるカウンセリング技法を,私は,従来の「心理カウンセリング」法と区別して「ヘルスカウンセリング」法とも呼ぶ.

従来のカウンセリング法がもっぱら心理的な問題を扱うのに対し,SAT療法では身体性を重視し,身体に表れた症状をも入り口にして心の問題に迫っていくからである.
心の深層の問題は,たとえば顔表情や動作のほか,肩こりや頭痛などの症状,あるいはがんや糖尿病などの身体疾患となって身体に出力されるが,本人がそれらの身体症状を心の問題として自覚することはほとんどない.
しかし,こうした身体症状にこそ潜在記憶が潜んでおり,病気や問題をつくり出す潜在記憶のほとんどは,3歳以前ないしは前世代や,ヒト以前の生物の記憶(遺伝子によって伝達されるものも含む)である

わかりづらいので、ちょっと絵にしてみた。

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世代間伝達された感情や身体感覚という非陳述記憶は,大脳の海馬の先端にあるアーモンド形をした扁桃体や脳幹や小脳などというところに記憶されている.
海馬のエピソード記憶(言語を獲得する3歳前後以降の言語で語ることのできる記憶で,その多くは記憶再生できる)や大脳皮質の陳述記憶を主として対象に扱う従来のカウンセリング技法ではアクセスすることができない記憶である

ことばが難しすぎて、もう読みたくないと思った方も少なくないだろう。でも、宗像の愛を受け取るために、ぜひ読んでほしい。
要は、身体に出ている症状をもとに、心の奥底に沈めた記憶、遺伝子にも残されている記憶、それらを思い出すサポートをするのがヘルスカウンセリング。身体に出ているもの、不快、不都合と感じている症状、そこをフックに問題に切り込んでいくために「ヘルス」カウンセリングと呼んだというのだ。
そして宗像は、「心の深層」を扱わない限り、根本の問題が解決されず、一時症状が和らいだとしても、再びそれに悩まされることになってしまうというのだ。

そして、「SAT」。これは、ヘルスカウンセリングを行う方法論を総称して、そのように呼んでいると私は理解する。

SAT法の「SAT」とは
「構造化された(Structured)」問いかけによって問題解決脳の右脳を活性化し,
意識下あるいは変性意識(催眠状態)での「ひらめき,連想(Association)」を用いて,
問題の解決法や新しい生き方への気づきを促す「技法(Technique)」
を意味し,
この方法によって扁桃体や脳幹などの潜在記憶にアクセスしていく

さらに、ヘルスカウンセリングでいう「ヘルス」の定義。

SAT療法やヘルスカウンセリング法では,
「ヘルス」を「環境に対するバランス復元力のあるウェルビーイング(元気)な状態」と定義している.
このウェルビーイングな状態に回復するためのバランス復元力は,矛盾する欲求や感情をより少なくすることによってもたらされる人格成長によって高めることができる
SAT療法では,「疾患」=「不健康」という考え方も存在しない.心身に疾患が表れていても,「ウェルビーイング」でいることは可能だからである

この「矛盾する欲求や感情」という部分について、次で詳しく述べるが、たとえば、○○したいと思っても、でもなー、前にそれやって失敗したしなー、また失敗したら笑われるよなー…などという不安や恐れが出てきて、結局、そのやりたいと思ったことをやめてしまうという、日常よく経験することである。

そして、この「人格成長」ということだが…

SAT法は人格成長をサポートする

SAT法では,心身に表れた問題にどう対処すればウェルビーイングを効果的に回復することができるかについて,クライエントが自ら気づくのを助け,クライエント自身の意思と努力による人格成長をサポートする
SAT療法では,クライエントの訴え(心身の症状や行動の症状)や,心理検査,身体検査などによる検査値を「単位」とし,そこからさまざまな「次元」の記憶を引き出し,それら未解決な問題をつくり出すそもそもの原因となった出来事を特定していく

これも難しい表現だけど、すごいと思わないかい。
要するに、身体の症状や嗜癖行動など自覚できる症状や各種検査結果などの目に見えるものから、自分の中にある「さまざまな次元の記憶」を引っ張り出してきて、その関係性を理解し、未解決の問題を解決を図るのがSAT法だということ。
さまざまな次元の記憶というものには、自分の幼い頃の記憶であったり、母親の胎内にいた時の記憶、胎内を同じくしたきょうだいの記憶、父母・祖父母の記憶、あるいは前世の記憶、人になる以前の記憶、宇宙の素粒子の記憶など、いろいろな記憶を指していると理解してほしい。

「自己成長」と「自己防衛」
先ほど、「矛盾する欲求や感情」として例示した、○○したいけど、できそうにないから、やらずにやめてしまうという話。

人間は常に矛盾し合う欲求をもち,それらを統合しようとする「自己成長」感情と,それを阻もうとする「自己防衛」感情との葛藤に悩まされる

前に失敗し、痛い思いをしている。だからもうそれは味わいたくないと思うのはわかるよね。これが自己防衛。
でも、それを成し遂げてこそ得るものがある、そういうことって身近にいっぱいあるでしょ。それが問題解決ってこと。
ダメもとでもいい、やらずに後悔するよりも、やることに意義がある、そんなふうに、前に向かって進めるようになることが自己成長。

「人格成長」とは,これら感情や思考の矛盾がより少ない自己になることであり,人は,人格成長することによって初めてそれまでのこだわりの強い自己のあり方を変え,それまでの行動パターンから抜け出すことができる
つまり,病気や問題をつくりやすい自己から,病気や問題を克服する可能性の強い自己へと変わることができる
人は,人格成長の必要性を理屈(左脳)では理解できても,実際には自己のあり方や行動を容易には変えることができない.
なぜか?
自分の意思ではコントロールできないもうひとつの意思が潜在意識下に存在するから

なんと、もうひとつの意思?
簡単には人格成長できない?

宗像は続ける。
こんな時に、人は人格成長できるのだと。

どうすれば,人は,自己のあり方と行動を変え,人格成長することができるのか?

次のような条件のうち いずれかが満たされたとき
①人に本当に共感され,愛された実感や確信をもてたとき
②なぜ自分がこれまで苦しんできたかの意味が理解でき,過去の苦しみから再学習することによって希望ある未来予知をもつことができ,その結果,自分を信頼する力を回復させたとき
③自分に重大にかかわる他者に共感でき,かつ愛せたとき

これまでも、繰り返しお伝えしてきた、人から愛されていると心底思えること。
一人だけでもいい、できればそれが大事なあの人だといいんだけれども、その人から、ありのままのあなたが無条件に愛されていると、そんな愛を感じることができれば、どんな自分でも許せるよね。
これまでの苦しみの意味、それがなぜだったのかを理解し、でもというネガティブ感情をわきに置いて、あの時こうしていればこうなった、それをイメージの中で作ってみる。イメージしたスーパー自分なら、この先の人生も捨てたもんじゃないよ、なんて思えるかもだよね。
そして、そんな自分でいられる時間が長くなってくると、まわりにも目が向くようになって、困っている人がいれば声をかけてみたくもなるということなんだ。

人格成長なんて大げさに言ってるけど、日頃の生活の中で、ちょっとずつ、行動を変えられたら変わっていくよね。
そう思わない?

これらに対し、具体的なSATによるサポートは以下。

SAT法による4つの支援

①ストレス反応の気づきを促す支援
②ストレスの原因となる記憶や環境や遺伝的気質に基づく支援
③ストレスの原因となる記憶と環境や遺伝的気質をコントロールする目標行動を学習し,その行動を実行する自信度を高める支援
④環境調整を促し,ストレス耐性のある行動の継続を促す支援


①のストレス反応とは,神経,内分泌,免疫,遺伝子発現などの生体反応のほか,感覚や感情,欲求,行動などに表出しているストレス反応を指す
④の環境調整とは…ストレスの源となっている人物と物理的・心理的に距離化する(離れる),あるいは仕事内容や職場を変えるなどの助言を行うことにより,環境がもたらすストレスを軽減する
そのうえで,どう行動すればストレスに耐えうるかというような気づきを促し,その行動を継続していけるようサポートする

SAT法がめざしているのは,行動・神経・内分泌・免疫・遺伝子発現系などすべての生体反応がプラスの生命エネルギーに変わるような癒しや人格成長であり,それを支援すること

SAT法が目指すスピリチュアルな成長支援

SAT法が支援の目標としている人格成長とは,最終的にスピリチュアルな成長を指す.何世代にもわたって世代間伝達,生物間伝達されてきた未解決なスピリチュアルな問題は,本人は無自覚ながら,それを解決しようとするエネルギーをもつために内的葛藤を起こし,解決できない無力感や虚しさに苦しめられる
スピリチュアルな問題をもつ人は,同じ問題をもつ人に共感しやすい傾向ももつ.スピリチュアルな問題を解決しようとするエネルギーが相手の心を透視する力ともなるからだろう.こうしたいわゆる“霊性的能力”は,自閉気質(統合失調気質)をもつ人にしばしば見られる

スピリチュアルな成長とは,ヒト以前の生物やヒトの前世代から伝達された問題を自分の代で克服し,次の世代にその問題をコピーしないということ.すでに子世代に問題をコピーしてしまっている場合は,それを消去するということ.それが,私という自己が,今ここに生きる意味である

親やその前世代が体験した恐怖記憶までが,子や子孫に伝達されるのはなぜなのか?
それは,私たち人間に,他者や他の生物の感情や感覚に共感する能力があるから
ミラー神経細胞を通じて母親の表情や動作を無自覚に模倣し,また,感情移入するのである…こうした模倣と感情移入が最も起こりやすいのは…乳幼児期だけでなく胎児期であるようだ

物語の真偽を解明するのが目的ではない…本人がこれまで親からも親族からも聞いたことがない物語であっても,そのトラウマとなっているイメージを変えると,本人が癒されるだけでなく,…本人の免疫力や遺伝子発現にまで影響を与える
重要なことは,死者の思いが世代を超えて伝達されていくというこのとらえ方(スピリチュアリティ)こそが,病気の治療法に新しい道を拓く可能性があるということ
スピリチュアリティとは,身体の有無や生死にかかわらず,他者に愛され,また自分を愛し,他者を愛することを喜ぶ存在のイメージで,実体は人のイメージ(大脳活動パターン)の中に存在し,人の精神性,社会性,身体性にダイナミックに影響するもの
前世代の視覚情報は,遺伝子伝達のほか,胎児期や乳幼児期の体性感覚記憶などの条件づけされた感覚を介して世代間伝達されていく

人は皆,それぞれ「自分は何者か」という自己イメージについての思い込み(自己イメージスクリプト)があり,その思い込みから同じ行動様式を再生産するという行動特性をもっている
前世代など他の存在の記憶は,その存在の身体の有無や生死にかかわりなく,実体はイメージ(脳神経活動パターン)として存在する.そして,その存在への共感が自己イメージスクリプトの下地となり,自覚,無自覚を問わず,その存在に側って「修正感情体験」をしようとする

非常に難解な記述であるが、今回は、あえて宗像の言葉を列記し、少しずつ私の解釈を入れてみた。

死者の思いが世代を超えて伝達されていく。自分以外の命の記憶によって人は病気にもなり、また、自分のイメージを作り、その行動様式を形づくる。
私がSAT療法を学び始めた頃は、この内容があまりにスピリチュアルであり、これまでの「常識」とは異なるものであったため、距離を取っていたことがある。
しかし、いま、時代が進み、実体が人のイメージの中に存在するという考え方は量子そのものであることが理解できるだろう。
世界はまだ新型コロナウイルスに翻弄され、油断すれば不安や恐怖の想念に巻き込まれかねない状況にある。
コロナウイルスにだってRNAがある。遺伝子がある。その記憶に耳を傾け、みんなが愛を送ったとき、人類は人格成長を遂げ、新型コロナウイルスはその役割を終えて消えて行ってくれるのではないだろうか。
必要なのは、戦うことではなく、大きな愛で包み込むことではないのかな。

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