第26回定期勉強会
こんにちは😊
去る8月24日(木)に、第26回オンライン定期勉強会が行われました✨✨
今回は、”広島県立障害者リハビリテーションセンター”の三谷良真先生から、
「脳性麻痺の身体活動」
というテーマで講義をしていただきました🥸✒️
今回の勉強会では、脳性麻痺を有する子どもの身体活動の評価や介入を中心に講義が行われました。
1. CPの身体活動について
身体活動とは、「エネルギー消費を必要とする筋骨格によって生じるあらゆる身体活動」と定義されます。
また、身体活動はその強度によって
・低強度身体活動(LPA):立位、ゆっくりな歩行など
・中等度強度身体活動(MPA):普通の歩行、早歩き、自転車など
・高強度身体活動(VPA):ジョギング、重い荷物の運搬、水泳など
・座位行動(Sedentary Behavior):座位、半臥位または臥位の状態で行われるすべての覚醒行動
の4つに分類されます。
『WHO身体活動・座位行動ガイドライン』では、子どもや青少年では、身体活動により、体力(心肺体力・筋力)の向上や心血管代謝の健康、認知的健康、精神的健康などの様々な健康効果が得られ、障害のある子どもにおいても身体活動は必要とされています。また、脳性麻痺を有する人においても身体活動が低下することで運動機能障害が進行し、参加機会の減少から更に活動量が低下するという負の循環モデルが示され、それを防ぐためにも身体活動は重要です。
✅『WHO身体活動・座位行動ガイドライン』https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/337001/9789240014886-jpn.pdf?sequence=151&isAllowed=y
身体活動を評価する方法として、
・主観的評価:国際標準化身体活動質問票、活動日誌など
・客観的評価:加速度計、歩数計
が挙げられ、両者の評価を組み合わせることでより正確な身体活動の測定が可能になります。
脳性麻痺を有する人の日常生活における歩数について、定型発達児と比較すると脳性麻痺を有する子どもの歩数は優位に少なく、GMFCSレベルが上がるごとに歩数が少なくなることを示した研究や脳性麻痺を有する子どもの成長に伴う身体活動量の変化に関する研究が紹介されました。
✅ Kristie F Bjornson, et al. "Ambulatory physical activity performance in youth with cerebral palsy and youth who are developing typically." Physical therapy 87.3 (2007): 248-257.
✅ Keawutan P, et al. "Longitudinal physical activity and sedentary behaviour in preschool‐aged children with cerebral palsy across all functional levels." Developmental medicine & child neurology 59.8 (2017): 852-857.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dmcn.13439
✅ Reedman, et al. "Sedentary behavior in children with cerebral palsy between 1.5 and 12 years: a longitudinal study." Pediatric Physical Therapy 32.4 (2020): 367-373.
https://journals.lww.com/pedpt/fulltext/2020/10000/sedentary_behavior_in_children_with_cerebral_palsy.15.aspx
2. CPの身体活動に対するアプローチ
ここでは、身体活動を増やすための介入やその効果に関する話がありました。
『WHO身体活動・座位行動ガイドライン』では、障害をもつ子どもの身体活動量を増やすために、
また、座位行動に対しては、座りすぎは、肥満の増加、心血管代謝の悪化、体力の低下、向社会的な行動の低下、および睡眠時間の減少といった悪影響を及ぼす。そのため、座りっぱなしの時間、特に余暇時間におけるスクリーンタイムの時間を減らす必要がある。
とされていました。
以上を踏まえ、脳性麻痺を有する子どもに対する身体活動刺激プログラムが身体活動や移動能力などを改善するかを調査した研究が紹介されました。この研究では、身体活動プログラムやカウンセリングを行なった介入群と通常の理学療法のみを行なった対照群で活動量の評価やGMFMなどのアウトカムに有意差がみられませんでした。限界点がいくつか記載されていましたが、三谷先生からはただ身体活動量を増やすことが目的になってはいけないのではないか、ということが注意点として話されていました。
✅ Van Wely L, et al. "Physical activity stimulation program for children with cerebral palsy did not improve physical activity: a randomised trial." Journal of physiotherapy 60.1 (2014): 40-49.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1836955314000083?via%3Dihub
また、脳性麻痺を有する子どもの参加に焦点を当てた、ParticiPAte CPの有効性を検討した研究や余暇身体活動介入に対する反応の変化の大きさの予測因子を検討した研究が紹介されました。これらの結果より、中等度〜高強度の身体活動量(MVPA)が少ない子どもでは、介入後にMVPAが増加していました。また、低年齢の脳性麻痺を有する子どもでは身体活動への参加を促進するような介入を行うことが容易である可能性がある一方で、思春期の子どもには環境的・文脈的な障壁により焦点を当てた更なる調整が必要かもしれない。と結論づけられており、低年齢からの身体活動を高めることの重要性が示されていました。
✅ Reedman SE, et al. "ParticiPAte CP: a protocol of a randomised waitlist controlled trial of a motivational and behaviour change therapy intervention to increase physical activity through meaningful participation in children with cerebral palsy." BMJ open 7.8 (2017): e015918.
✅ Reedman SE, et al. "Participation predictors for leisure‐time physical activity intervention in children with cerebral palsy." Developmental Medicine & Child Neurology 63.5 (2021): 566-575.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dmcn.14796
さらに、社会的なつながりや物理的環境の重要性や学年が上がるにつれて身体活動に対するネガティブな経験による自己肯定感の低下などから身体活動が低下する悪循環についての話があり、臨床では、子どもや家族にとって意味のある目標を設定し、練習することで身体活動量の増加に繋がるのではないか、とされていました。
3. まとめ
今回の講義を通して、身体活動量の概要や評価、脳性麻痺を有する子どもの身体活動量の変化、身体活動量を高めるためにも子どもや家族にとって意味のある活動や参加をどのように支援していくかの重要性を学ぶことができました🙃🔥
今回も多くの方に参加していただくことができました!
参加していただいた皆様、お忙しい中ありがとうございました😆🙏
広島県近辺で活動している方で興味を持たれた方は、是非とも参加していただければと思いますのでよろしくお願いいたします🥺🤲