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子どもの「聞き逃し」へのアプローチ①

「聞き逃し」は短期記憶とつながっている

学習中における「短期記憶」とは、ウキペディアでは「短期記憶 (short-term memory, STM) とは、記憶の二重貯蔵モデルにおいて提唱された記憶区分の一つであり、情報を短時間保持する貯蔵システムである。」とあります。
さらに、ウキペディアの「ワーキングメモリ」の説明には、「認知心理学において、情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念である。作業記憶、作動記憶とも呼ばれる。」とあります。
(※ウキペディアは、2022年4月4日の記述によるもの。)

この短期記憶の保持には、小学生の場合、かなりの個人差があります。保持が困難な子どもは「情報を聞き取れない」「情報を聞き逃す」ことが頻繁に起こります。

例えば、先生が「本とノートを出して、日付を書いてから感想を書きます。そうそう、本は国語の127ページです。」といったとき、短期記憶の保持が困難な子どもは、かろうじて始めか終わりの言葉を認知している状態といえます。

つまり、動作に表れているのは、「本とノートを出している」「何の本か分からず、フリーズしている」「そもそも聞く動作に入っていない」「国語127ページを開いている」なので、肝心の感想を書くことを全く聞き逃しているのです。
先生からは、「聞いてたの?書かないとだめだよ。」と言われ、「ちゃんと言われたことやったのに、どうして、自分はダメなんだ。」と、子どもは落ち込んでしまうのです。

もう一度、「聞き逃し」の子どもによく見られる行動パターンを確認しておきましょう。

  1. 机の上が、雑然としている

  2. やり残しが多い

  3. ボーとしている

  4. 指示通りできない

  5. 言葉が少ない

「見落とし」をする子どもたちは、「見よう」として立つなどの動作を伴うので、授業中に先生が確認しやすいのですが、「聞き逃し」をする子どもたちは、「よく聞こう」とする行動に大きな動作が伴わないので、授業の最後まで取り残されていることがよくあるのです。

1は、短期記憶の保持とも関連しますが、順番通りにできない傾向があります。つまり、用意した順番を記憶保持できないため、その逆も難しいのです。
2は、短期記憶の保持を関連しますが、何をどこまでするかが分かっておらず、つまずいたところでフリーズしている状態といえます。
3は、決して「やりたくない」という感情からきてわけではありません。フリーズ状態の「ボー」です。分からない状態が、頻繁に起こるので、動作が止まったままになっている状態です。
4は、情報を順番に処理していく(「継次処理」といいます)ことが苦手です。これは、特性からきているので、子どもの努力不足と考えないであげてください。
5は、授業では、相手のペースについていけないので、言葉が少ないと思われます。家や遊びの場面では、おしゃべりしていることが多いです。

「聞き逃し」の子どもたちが、決して本人の努力不足ではないことが分かっていただけたでしょうか。

次回は、いよいよ「聞き逃し」へのアプローチ②です。
明るくほっこりする授業につながるヒントも語っていく予定です。



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