浦 広志

長崎県出身/ 一級建築士/宅地建物取引士/ 過去の建築設計実例をひとつひとつ想いとともに書き出してみようかと

浦 広志

長崎県出身/ 一級建築士/宅地建物取引士/ 過去の建築設計実例をひとつひとつ想いとともに書き出してみようかと

最近の記事

建物へのアプローチ

戸建住宅を設計する際には多くの要素を同時に考える必要があるが、アプローチ計画は特に重要であると考える。 デザインや見栄えだけではなく、訪れる人が自然と玄関へと向かうことができるように、心理的な面も大切にしなければならないからだ。 広めの敷地に自然と導かれるように続くアプローチは、いたるところにアイストップとなるポイントを配しており、視線の留まりと抜けを表現し、奥行感を演出している。 建築設計だけでなく、インテリアやエクステリアなど含め、ひとつひとつ丁寧に、を心がけて今後も

    • CGと完成写真

      住宅設計や店舗設計では、お施主様とのイメージの共有とその精度の高さが常に問われるものであるが、ここ最近のCG技術は本当にすごい。インテリアカタログに使用されているものは特にその精度が高く、私も恥ずかしながら本物の写真と勘違いしていたことが多々ある。 では私個人がお客様とどのように打合せをしているのか、日頃から共有しているCGをご紹介させて頂くと、 このように壁面や天井材のテクスチャがかなりしっかりと反映されており、これまで模型を主としてきたイメージがかなりわかりやすく表現

      • 店舗設計のヒントを探しに

        ※今回は実例ではありません 大掛かりな店舗リノベーション案件のご依頼を頂き、意気揚々と取り組んでいたのですが、己の実力不足を素直に感じ勉強のためバルコン東京へ 店舗内にいくつかVIPルーム的なブースを作成予定なのだが、まさにバルコン東京のこちらのイメージにぴったり うーん素晴らしい 細かい箇所を見れば見るほどよく考えられている... 非常に勉強になりました もっともっと知識を吸収し、お客様に還元していきたいものです

        • 素材美と機能美

          ひとつひとつの素材の性質や癖を理解し、組み合わせ、それぞれが最も美しく表現できる方法をいつも考えている 仮にタイルを事例にあげて考えてみる タイルを選ぶ際に、そのタイルの美しさを重視することは当然なのだが、その間にある目地の素材やカラー、サイズ、深さを検討することはタイル以上に大切な意味を持つ 写真左のタイル壁面は、その目地にもこだわっている タイルは300×600×9mm、目地幅は5mmで深さは8mmとした そうすることで陰影がくっきりと演出でき、タイル自身が浮かび上が

          洗面室まわりの動線

          家事動線って本当に大切です。それは一人暮らしの方もご家族とお住まいの方も共通していますよね。当然ですが、家事動線が短いと便利です。少しの動きで様々なことがほぼ同時にできますし。 ここ最近多いご要望(というかほぼ全案件)にランドリールームを設置したいということがございます。いわゆる室内干しのスペースですね。 突然の雨にも対応できますし、年中ほぼ同じ条件での乾燥になりますので、洗濯環境を非常に高めることができます。乾燥させたままそのままクローゼットとして使う方もいらっしゃいま

          洗面室まわりの動線

          玄関ポーチでコロナ対策

          新型コロナ感染が世の中に広がって、2年以上が経過しました。様々なことが日々議論され、誰しも初めての経験であることから、憶測や偏見で語ることは当然ながらまったくできない中、我々設計者としてできることは何だろうということを考える毎日でございます。 そんな中で、ここ最近ご要望を多く頂いている項目として挙げられるのが、『玄関ホールの洗面化粧台』ではないでしょうか。うがい手洗いが日常生活で染み付いている日本人としては、非常に理にかなったご要望であると思います。 そしてそのご要望をさ

          玄関ポーチでコロナ対策

          基礎配筋の美しさ

          今回は現在建築中のお住まいのご案内 建物が完成してしまうと解体時以外は見ることができない構造のひとつに基礎配筋があります この基礎配筋は構造の中でもかなり重要な役割を占めており、径の太さやや間隔など徹底した管理のもとで施工されねばなりません そして同じ広さの建築物であれば、平屋のほうが一般的には配筋量が増え、コストもかかりますが、広い分だけどこかダイナミックな意匠となってきます こちらは約40坪の平屋のお住まいです 東西に約20mもあり、かなり密な配筋を施工し、ダイナミッ

          基礎配筋の美しさ

          玄関ポーチの心がけ

          最近の流行なのか、モダン住宅を貫いた結果というか、玄関庇がほとんど意味をなさない住まいをよく見かける。そもそも箱型をつくればそれだけでモダン住宅と呼んでいるような、よく定義がわからないものだ。そもそも玄関ポーチとはどのようにして生まれたのか、その伝統や所以などを設計者が理解していないのだろう。とはいえ、四角い家にペタっと小さな庇が付いただけの住まいは私は苦手なのだが、お客様のお好みもあるだろうから、何が正解なのかはお客様のご満足度次第なのかもしれない。 そんななかで、これは

          玄関ポーチの心がけ

          空調のデザイン

          設計のお仕事をしていて、最も気を付けている項目のひとつに『空調機器をどの位置にどのようなデザインで設置するか』ということがある。どんなに素敵なお住まいでも、下手な位置に雨樋があったり、エアコン室外機があったりすると、一気に興ざめしてしまうものだ。 エアコンに関して言えば、効率の良い風量と気流の流れを考慮すると、いくつかのパターンに分けれることは、長年の経験によって理解しているが、あとはそれをどのように見せるのか、がデザイン上で非常に大切である。 こちらの邸宅はLDKの空調

          空調のデザイン

          シンプルな床の間

          15年ほど前から、戸建住宅で和室を設ける計画が少しずつ減っていたのだが、ここ最近その傾向が変化し、和室や床の間を設けるお客様が増えつつあるように感じる。たまたまなのか、お客様層の違いによるのか、もしくはトレンドとして復活しているのかわからないが、弊社では確実に、だ。 私の場合での床の間といえば、実家や祖父の家にあった昔ながらのスタイルで、いわゆる『The 和室』的な神聖な存在。欅や楓、杉、桧などがふんだんに使われており、経年変化も非常に美しいといったイメージ。(The 和室

          シンプルな床の間

          中庭の役割

          15年ほど前は『中庭=豪邸』のようなイメージが多かったように感じますが、ここ最近は中庭が割と一般的な要素になり、生活の中に取り入れられている気がします。その原因としては、もちろんトレンドということもありますが、敷地の狭小化や、プランニングの自由度アップなどが挙げられます。 中庭はプライバシー性も向上し、さほど広くない敷地条件でも直射日光や反射日光をコントロールできるので、非常に明るい空間を作り出すことができるのが非常に大きなメリットですね。私も個人的には大好きです。 こち

          中庭の役割

          ベンチの役割

          ここ10年ほど特に需要が高まっているのがガーデンライフ設計だと思う。大豪邸の庭園ということではなく、小さくても自分らしくいられる空間づくりのように、誰かに解放するということではなく、家族との生活を楽しむような空間だ。 だが、いざ憧れたガーデンライフを満喫しようとしても、どうやればそれが楽しめるのかわからない方も多い。下手をすると、楽しむために作ったガーデニングが、実はまったく機能していないということもある。 写真はガーデンライフの中での、会話や存在感、家族の関わり合い方に

          ベンチの役割

          アクセサリーを外す場所ってどこ?

          お客様との打ち合わせの中で、深くヒアリングしないとなかなか出てこないことのひとつに『アクセサリーを外す場所』という項目がある。時計やネックレス、ブレスレット、香水などがあげられると思うが、これらは個人によって、身に着けたい場所、外したい場所が異なる。 一般的にはウォークインクローゼットなどに保管したいという方が多いような気がするが、実際にわざわざクローゼットまで行かずに、生活の動線上に保管場所を確保しておいたほうがいいと思われる。 そしてこれらの保管場所の希望をお聞きする

          アクセサリーを外す場所ってどこ?

          コンセントの数って大事?

          お客様からよく『コンセントは多ければ多いほどいいから、たくさん付けて』とよくご意見を伺うことがある。理由を伺うと『家電製品が多いから』『よくわからいけどあったらいい』『親御さんのアドバイス』など様々だ。その理由にはなんら間違いはない。お客様の生い立ちやご趣味などにより、コンセント数のご希望が変わってくるのは特に大きな問題ではない。 これまで約200棟のお客様のご計画に参加させて頂きましたが、感覚的におよそ90%くらいのお客様から上記のようなご意見を頂きます。根拠のない方も多

          コンセントの数って大事?

          他社との協力

          以前からいつも感じていたのだが、住宅業界というものはあまりにも他社との競合が多い。当然といえば当然だろう。お客様がマイホームづくりということに本気なのだから。本気の心と夢を叶えるに疑わない会社がお客様とのご縁を勝ち取るのだ。 しかしながら、お客様が本気であるが故に、たまに業界の垣根を越えて他社にアドバイスを頂きたいことがあるのだ。簡単に言えば、『構造はここの会社がいいんだけど、内装は嫌だ。こっちの会社にお願いしたい』という場合に、自分のまったく知らないジャンルがそこに出てき

          他社との協力

          大きなお客様

          自らのキャパシティを定めず、柔軟に対応していくと、いつしか自分のリミッターが外れ、キャパシティが大きくなる、と若い頃の上司にはよく言われたものだが、それは自分には当てはまっていたように思える。 私の設計スタイルは、お客様からご契約を頂いたのちに担当者として入るのではなく、ご契約前から打ち合わせに同席して、少しでもお客様のご意向を汲み取らせて頂くというスタイルだった。そのため、ご契約前、ご契約後、仕様打ち合わせ中、建築中のあらゆるお客様と同時に打ち合わせをせねばならなかった。

          大きなお客様