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聞いていないのは貴方の責任

長年勤めた会社を辞めて15ヶ月経つ。なのだが今頃になってふと思い出した。

サラリーマン時代の自分は何かいつも怒りを抱えていた様に今振り返って思う。得体の知れない何ものかに追い立てられていた様な気分を絶えず心のどこかに持っていた。

それはともかく上司にしても関連する部署の責任ある立場の人においても一番よくカチンときたのが
「私はその件について聞いていない。」
という言葉だった。

会社というものは組織で動く。組織で動く以上関係各課と連携して動く。実質的に前へ進む業務よりも隣の部署との相談、調整、連絡、アレンジなどにかける時間や手間が意外と大きい割合を占める。組織が大きければ大きいほどその手間暇の割合が大きくなる。むしろそういった準備にかける時間の方が大切だったりする。料理でいう下ごしらえといったところだろうか。料理そのものにかける時間より食材をそろえたり下ごしらえしたりする手間暇の割合の方が大きい。(例えが適切かどうか自信がないが。)

そんな組織で例えば現場の工作課に依頼をし係長や主任に事前のアレンジをしっかり準備をしているにも関わらずその工作課の課長が俺は聞いていないとなる。

何故このセリフが異口同音の如く次から次へといろんなケースで聞くのか長年不思議で仕方がなかった。

やがて段々分かってきた。

実際に聞いていないということを単に主張している人もいる。がしかし、大半の場合は私は聞いていない。だから今こんな風に不具合の起きたのを私はそもそも知らなかった。だからこの問題について私には責任がない。という論法で間接的に責任回避しているのだ。なかにはその様な形で責任回避している自覚がない御仁もいた。しかるべきタイミングで私が知っていたらこんなことにならず適切な対応をしていたと言わんばかりのエライ人もいた。

しかし考えて欲しい。部下が承知している。周りも知っている。知らないのは自分だけ。何故組織の構成上知っているべき立場の自分だけが知らずにいるのか。どうしてそんな状況が起きるのか。

聞く耳を普段持たないから部下が報告しづらい雰囲気にしているのかも知れない。部下からのネガティブな報告自体に上司としての対応をせず逃げたりしていたのかも知れない。そもそも報告しても何も変わらないと部下から思われているのかも知れない。

何故聞いていないのか、周りから情報が自分のところに来ないのか、集まらないのか。自問自答して欲しい。そう言いたくなることが多々あった。

そういう自分はどうだったか。やはりそういったことが全く無かった訳では無い。そういったケースに自分が遭遇したとき結局自分のどこかに欠陥があったり欠落している部分があるのではないかと自己嫌悪に陥った。まあそれほどエラクはならなかったのでそういった悩みはそれほどなかったが。

情報というのは会社という組織の中でも優秀な人、信頼される人に集まる。逆に信頼されなければ重要な情報がスルーされて知らないのは自分だけということになりかねない。

私は聞いていない。それは貴方の責任です。

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