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毎週ショートショートnote

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たらはかにさんの企画に参加させていただいた作品をまとめています。
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記事一覧

長距離恋愛販売中 #毎週ショートショートnote

長距離恋愛販売中 #毎週ショートショートnote

「長距離恋愛、始めましたー」
そう言ってトオルが笑った。

トオルに出会ったのは半年前。
ホストだし、私だけに優しくしてくれるわけじゃないのは分かってたけど夢中になった。

「ナオミさん、聞いてる?」

「あ、うん、聞いてるよ。でも、どういうこと?」

「俺とナオミさんがね、長距離恋愛中の恋人同士になるんだ」

「そういうサービスなんでしょ?」

「まあね。ダメ?」

断れるわけがない。

「もう

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この中にお殿様はいらっしゃいますか? #毎週ショートショートnote

この中にお殿様はいらっしゃいますか? #毎週ショートショートnote

もう時間がない。
早く見つけなければ。

時刻は午後一時。
腹を空かせて食堂に行ったのかもしれない。
食堂に行くと人が大勢いて、すぐに見つけられそうもなかった。
俺は思い切って大声で叫んだ。

「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」

ビクッと身体を震わせた男が三人いて、部下達がすぐに身柄を確保した。
三人とも帽子とサングラスをしていて見分けがつかない。ひとりずつ確認することにした。

一人目。

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人生は洗濯の連続 #毎週ショートショートnote

人生は洗濯の連続 #毎週ショートショートnote

正直に言って、私は洗濯が好きではない。

四歳になる息子の卓が服を汚しまくるので、洗濯機のスイッチを押すのにも飽きた。

でも、今日は特別。
卓と二人でパン作りをした。
小麦粉まみれになっていたけど許す。

洗濯機のスイッチを押した。 

「たくさん作ったね。食べよっか」

ガシャン!
卓がスープカップをひっくり返した。
急いで服を脱がせた。

洗濯機のスイッチを押した。

夕方。

「ママー、な

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夜からの手紙 #毎週ショートショートnote

夜からの手紙 #毎週ショートショートnote

まただ。
郵便受けに手紙が入っている。
今日で三日連続だ。

中に何が書いてあるか、予想はつく。
読まずに捨ててやろうかと思ったけど、少しだけ読んでみたい気もして捨てられない。

手紙の封を開けて二つ折りにされた便箋を開く。

やっぱり。お前こそ誰だよ。

そう思って二枚目を見る。

こっちは朝だよ。

そう思って三枚目を見る。

は?何が?

毎回、三枚目だけメッセージが違う。
ちなみに一回目は

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残り物には懺悔がある #毎週ショートショートnote

残り物には懺悔がある #毎週ショートショートnote

夫には悪いが、平日の夕食は外で食べてきてもらった方がいい。

「ごちそうさま!ママ、今日の晩ごはん、めちゃくちゃ美味しかった!また食べようね」
長男の悟がニコニコして言うと、長女の香が
「悟、いつもよりもやし沢山食べて偉いじゃん」
と嫌味を言った。

「だっていつもよりうまいんだもん!」

「はいはい、また食べようね」

夫がいなくても他愛のないやり取りに癒される。



そろそろ寝ようかと思っ

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モンブラン失言 #毎週ショートショートnote

モンブラン失言 #毎週ショートショートnote

いま私は喫茶店でコーヒーを飲んでいる。
同じマンションに住む佐伯恵、山下香と一緒に。

「山下さんはいいわよね。旦那さんがお医者様って。憧れちゃう」

「そんないいもんじゃないって。佐伯さんの旦那さんだって素敵じゃない。ベンチャー企業の社長さんでシュッとしてるし」

「ワーカホリックなだけよ。佐藤さんもお医者様の旦那さんの方がいいでしょ?」

いつもように恵が私に同意を求める。

「ウチの人はただ

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入浴移譲 #毎週ショートショートnote

入浴移譲 #毎週ショートショートnote

「タケルー!サトシー!お風呂沸いたわよー。さっさとどっちか入ってー」

「はーい」
「はーい」

「サトシ!お前、先に入れよ」
「タケル!お前が先に入れよ」

「俺は漫画読んでるんだよ」
「俺は小説読んでるんだよ」

「読むのやめて入ってこい」
「いま、いいところなんだよ」

「小説が?」
「小説が」

「いま何ページ?」
「3ページ」

「小説3ページでいいところなわけないだろ。入ってこいや」

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ひと夏の人間離れ #毎週ショートショートnote

ひと夏の人間離れ #毎週ショートショートnote

とても嫌なことがあり、人間でいることが嫌になった。もう人間やめたい。

人間ってなんだろう。

やっぱり話すことかな?
話すことをやめた。

他には?
料理をするのは人間だけだよね。
料理をするのをやめた。
もう素材をただかじるだけの食事。

後は?
服を着るのは人間だけじゃない?犬とかも着るけどさ。
服を着るのをやめた。
もう裸だから外に行けない。

ひとりで家にこもってじっとしてると生きる意味

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横断幕中耳炎 #毎週ショートショートnote

横断幕中耳炎 #毎週ショートショートnote

「ママ、僕、なんか耳が痛い」

「あら、大変。病院に行って診てもらいましょう」

「いいよ、大丈夫」

「ワガママ言わないの」

「パパに治してもらうから」

「パパには治せません。ほら、病院行こう」

「……はーい」



耳鼻科医は男の子の左耳を診察して言った。

「中耳炎ですね」

「まあ」

「少し流行っているんですよ。お子さんは最近、横断幕を見ていませんか?」

「横断幕?」

「はい

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鋭利なチクワ #毎週ショートショートnote

鋭利なチクワ #毎週ショートショートnote

突然、ボスに呼び出された。

「最近トニーに会ったか?組織の情報を漏らしているらしい。事実なら……分かるな」

「はい」

トニーとは若い頃、共同生活をしていた。組織を裏切るような奴じゃなかったが。
トニーの潜伏先を訪れた。

「よお、トニー」

「やはりバレるか、お前には」

「お互い隠し事はできない。そうだろ」 

「まあな」

「それで、お前、俺に言っておくことはないか?」

「別に」

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非情怪談 #毎週ショートショートnote

非情怪談 #毎週ショートショートnote

とある大学のサークルの夏合宿。

「みんなで怖い話してさ、一番怖くなかった奴が晩メシの当番やるってのはどう?」

「別にいいけど。ミカ、どうする?」

「本気出していいなら」

「何、怖(笑)」

「ハハハ、決まりだな」

トオルがロウソクに火をつけて電気を消す。

「じゃ俺から。これは親父の弟に聞いた話なんだけど……」

全く怖くない話だった。他も皆似たようなもので、笑っている者もいた。

「怪

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見たことがないスポーツ #毎週ショートショートnote

見たことがないスポーツ #毎週ショートショートnote

戦場から何とか逃げ出してきたと思われる男が二人。
小太りの男は細身の男の肩を借りて何とか歩いている状態のようだ。

「なあ、おい。俺は置いていけよ」

「何言ってんだ。駄目だ」

「なあ。俺、お前と最後にキャッチボールがしてえ」

「球もグローブもないだろ」

「球ならここにある」
小太りの男は目配せをした。
細身の男は小太りの男の懐からボールを取り出してやった。

「お前、これは」
「県大会で優

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リベンジトリートメント #毎週ショートショートnote

リベンジトリートメント #毎週ショートショートnote

同僚のユミは裏表のある性格が社内中に知れ渡り、会社に居づらくなった。ユミは辞表を出した後、私に言った。

「サトコ、あなたの仕業よね?山下課長を横取りしたのは悪かったけど、ここまでする必要あったの?」

私はニヤリとして言った。
「さあ、何のことかしら。ユミ、何で会社辞めるの?まだ早いわよ。もっともっと苦しむところ、見たかったのに」

「頭おかしいって!」
ユミは怯えた顔で言うとそそくさと会社を去

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海のピ #毎週ショートショートnote

海のピ #毎週ショートショートnote

暇だったので数年前まで海だったところに行ってみた。

ある日、そこは海じゃなくなったのだ。海水がなくなり、たこ焼き器の型みたいな巨大な穴がぽっかり空いて、そこから黒くて深い溝が遠くまで続いている。原因はよくわかっていないらしい。

その巨大な穴の奥底をじっと見つめていると、空飛ぶ何かがグングン目の前に迫ってきて、あっという間に目の前に降り立った。

全身白タイツで顔も真っ白。白粉を塗っているわけで

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