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だいたいニャー(1962文字) #毎週ショートショートnote
何もすることがない土曜日。
目覚ましもかけず、目覚めた時間に起きる。
妻はひとりでどこかに出かけたようだ。
四歳になる娘の未知子は熱心に絵本を読んでいた。
後でファミレスにでも連れて行ってやるか。
そんな事をぼんやり考えていると、絵本を読んでいた未知子が急に顔を上げて言った。
「パパ、助けて」
「ど、どうした?」
「これ、見て」
未知子は読んでいた絵本を開いて俺に見せた。
なんだこれ。
【ショートショート】年下の彼氏
「黙って俺について来い」
昨日、ヒロシに言われた。いつの時代の人なのって思った。年下でまだ28歳なのに。
反射的に「嫌よ」と言ってしまった。どうしよう…。
ヒロシのことは大好き。カッコいいし、優しいし。
でも、頼り甲斐はないのよね、まだ。
アケミに「嫌よ」って言われてしまった。
普通にショックだ。俺には人生は任せられないということだろうか。
年下だから?いや、そんなことは関係ないはずだ。
俺は結
【ショートショート】たくさん食べたい
食べることが大好きな女の子、みーちゃん。食事の時にお父さんのおかずが大盛りなのを見て、「お父さんばっかりずるい」といつも怒っていた。
「みーちゃんはこんなに食べられないでしょう?」とお父さんが言うと、「分かんないもん。食べれるかもしれないもん」とふくれるので、お母さんが「じゃあ、みーちゃん食べ終わってまだ食べれそうなら、お母さんのあげるから、ね」と言ってなだめていた。
結局、お母さんのおかずまで食
【ショートショート】手
「先生」
駅の改札を出たところで、若く美しい女性に呼び止められた。
「迫田先生ですよね、美術部の顧問をされていた」
「いや、あの、どちら様ですか?」
「堀田です!堀田いずみ。覚えていらっしゃらないですよね、私地味だったし。先生は少しお痩せになりました?」
「いや、そんなことないと思うけど」
「痩せましたよー、ちょっとダンディーな感じになりましたもん。私、今だから言いますけど先生に憧れてたんです」