顧客体験ってどんなもの?(DX事始め)
顧客体験って?
DXの文脈で「顧客体験 (CX Customer eXperience)」という言葉を聞くようになりました。この顧客体験とはなんでしょうか。言葉の意味では、製品やサービスを受ける顧客が、これらを通して、色々なことを体験することになります。つまり買った製品や受けたサービスによる総合的な体験で、体験には周りの環境も含み、何よりも顧客の感情がキーになります。
同様な言葉に「ユーザ体験 (UX User eXperience)」があります。このUXとCXの違いは人によって異なります。UXを広く一般的なものとして定義し、それを顧客に絞ったのがCXという考えや、逆にUXを製品やサービスから直接経験するものだけに限定的に捉え、総合的なCXの一部とする考えがあります。そして、CXとUXの違いを定義せずに、同等なものとする考えももちろんあります。
ここではUXもCXも直接的な体験だけに限定せずに間接的に体験することも含む、総合的な体験と考えます。例えば、製品やサービスから直接享受する体験だけでなく、その直接的経験が基になって得られる新たな経験も含みます。またその製品やサービスの直接的な顧客でなくても、家族や周囲の人などの人も間接的な顧客として捉えます。
今までのモノ売り、これからのコト売り
顧客体験による価値は今までの製品やサービスの直接的な顧客価値の考えを大きく変えます。今までは製品のモノ売りでは、製品の機能が大きく取り上げられ、製品の直接的な使用体験を除き、顧客体験はあまり取り上げられていません。まさにモノ中心でした。
モノ売りでは、(製品価格の次に)製品の機能を含む製品の品質が大事でした。それもSQuaRE(Systems and software Quality Requirements and Evaluation)の品質指標の利用時品質は外に置かれ、製品品質の特性ばかり注目されていました。
今までのモノ売りに対して、これからは提供する製品やサービスを通しての顧客体験、コト売りがあります。DXでは価値創造として、コト売りを大きな手段の一つにしています。モノを売ることを中心にするのではなく、顧客体験のコトを売り、顧客の新たな価値とするというものです。
コト売りでは、たとえ、同じ商材(製品やサービス)であっても、中心とするもの、目的が異なります。例えば、企画の開始も、製品やサービスの運用も今までのモノ売りとは異なります。ここに注意が必要です。
顧客体験で顧客の満足度は
顧客体験による価値創造は難しいです。企画も運用も難しいです。そして評価が難しいです。評価のための計測も難しいです。
この顧客体験で、顧客はどの程度満足したのか、どのくらい価値を認めたのか。これを評価するのは難しいです。満足と一言で言っても、実用的かどうか、信用できるかどうか、使って気持ちいいかどうか、快適に体験できるかどうかなど、満足には色々の項目の複合的なものです。これを評価するの難しいです。
実際、顧客満足度を計測する方法は、アンケート調査などの主観評価が多くなっています。定量的な評価も行われていますが、多くは主観的評価を数値化するものになっています。結局はいくらお金を使ってくれたとか、経験時間はいくらか、再訪問回数などで評価するしかないでしょう。
これでは意味がないかと思うかもしれませんが、そうではありません。定量的な数値は絶対数としては、あまり意味を持たないかもしれませんが、変化量は意味があります。前と比べての増減はどうだったのかは意味があります。
DXで新しい価値を創造
「顧客体験をベースにして新しい価値を創造する」、これが大事です。ここまで今までのモノ売りからの発送の転換、体験中心の企画と運用、評価の難しさを書いてきましたが、結局は課題が多いですが、顧客体験は重要です(大事なことだから繰り返し書いています)。
もっと野暮ったく言えば、この顧客体験でどれくらい満足して、どれくらい価値を見出し、どれだけお金を払ってくれるかです。結局はこれが大事です。これについては、別記事の「このサービスはいくら?(新規価値の創造)(製造業DX)|五味弘 (note.com)」を参考にしてください。
ということで今日の結論。「顧客体験は大事、課題を乗り越える価値あり」 以上です。
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