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短編など

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突発短編集です。各話に世界観の繋がりはありません。
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#短編

α

その現象は白鯨と呼ばれた。
過去の威光だという奴も居るし、ただの自然現象だという奴も居るし、ごくまれに主と仰ぐカルトめいた奴も居る。
だが結局、空を行く巨大なそいつの正体を誰も知らない。私達にはもうかつてのように空を飛ぶ術は無い。
だからその白鯨はαと呼ばれた。

αが姿を見せるのは決まって少し汗ばむような晴天の真昼だ。
始めは空気を凍らせて固めたかのような輪郭だけがうっすらと空に浮かび上がる。優

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始点

天国が駅の形をしているとは思ってもみなかった。僕が読んだことのある本だと、そこはいつも夕方だった。
夜の来ない夕焼け、遠くに青い海がどこまでも広がっていて、みんながそこへ還るために長い列を作っているから、辛抱強く順番待ちしなくちゃならない。けれど、人々は誰もが怒りや悲しみを忘れ、優しく親切だから、順番を争って喧嘩になることは無い。
僕は漠然と、天国はそんなような場所だと思っていたのだ。いや、願って

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虎の過日

 大きな嵐が地球を覆った時代があった。僕が生まれるよりも前の話だ。僕は次の夏で十五歳になるけれども、空はいつも晴れてばかりで、曇りはおろか嵐なんて一度も見たことがない。だから僕は、その時代を経験した父さんや母さんから嵐の話を聞いて、その様子を想像する。
 雲は地面に触れんばかりに低く厚く迫り、地層のように黒く黒く押し固まって地球の全土を覆う。風、雨、時々雹(ひょう)、そして雷が雪崩のように降り注ぐ

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あらまし

「皆さん、虫を集めてはなりません」
 それが今朝テレビを付けて最初に報じられたニュースだった。
「集合した虫たちは大変危険です。一匹ではそれほどでなくとも、集合した虫たちには我々を遥かに凌ぐ知性と自我が宿るからです。皆さん、虫を集めてはいけません。虫を集める可能性のある行動を取ってはなりません。例えば、食べ残しを含めたゴミを外に5分以上放置してはなりません。人も動物も死んだらすぐに焼却しましょう。

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