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今、なぜ「ジョブ型」なのか?

今日のおすすめの一冊は、JobPicks編集部の「未来が描ける仕事図鑑」(NewsPicks)です。その中から「大学生の最新キャリア意識」についてブログを書きました。

本書の中から『今、なぜ「ジョブ型」なのか?』という以下のような興味深い文章がありました。

【今、なぜ「ジョブ型」なのか?】

主な理由は3つあります。 1つ目は、企業のグローバル化への対応です。日立製作所やソニ 一、富士通などジョブ型を導入する日本の大手製造業は、グローバ ルにビジネスを展開し、場合によっては海外売上比率のほうが国内より高いこともあります。
従業員数も、日本法人勤務者より海外拠点に勤める人のほうが多い場合もあるほどです。 そこへいくと、「日本以外の国」ではほとんどが、仕事に人を割り当てる「ジョブ型」です。
日本法人だけが、年功序列や終身雇用を保証した「メンバーシッ プ型」では、例えば日本企業の海外拠点では解雇があるのに、本社の日本ではないなど、同じ会社なのに制度が違うと不公平感を招くことになりかねません。
2つ目の理由は、日本の企業がプロの育成を強化したいからです。 日本流のメンバーシップ型組織は、人材の配置や人事異動は当人の希望ではなく、会社が決めるのが基本。それも、職種を超えたジョ ブローテーションが目立ちます。 それ自体は、ゼネラリストを育てる上でも悪いことだとは言えませんが、海外に比べると、何かの専門分野に秀でたスペシャリストが育ちにくい側面があります。
すると、どのような事態が起きるのでしょうか? 先に書いたように、多くの日本の会社はグローバル化しています。 よって、例えば人事の人なら、海外拠点の外国人の人事と仕事のやりとりをする機会は多々あります。

ひと口に人事といってもその仕事はさまざまです。採用から制度づくり、ときにはリストラまで、業務範囲は多岐に渡ります。 「ジョブ型」が基本の海外の場合、人事パーソンは人事として入社し、一貫して人事畑を歩むのが常で、そのため10年選手の責任者クラスとなると、採用からリストラまで一貫して手掛ける人事という職能のプロになっています。
ところが日本の場合、営業一筋だったような人がいきなり人事リーダーに任命されることも少なくありません。 すると、海外拠点の人事リーダーとの実務能力の差は歴然。「日本の人事リーダーとはプロとして対等な会話ができない」と海外拠点 の外国人社員からクレームがくる、なんてことはよくある話なのです。
だからこそ、とりわけグローバルな企業は、日本においても、人事なら人事、財務なら財務と、グローバルに通用するプロ人材を育成しようと必死です。 ならばと、会社への入り口となる採用段階から本人の希望する職種と、会社側のニーズを早期にすり合わせ、各人の専門を決定する 「ジョブ型」にしようとしているのです。 また、自分が決めた専門分野を仕事にすることは、当人のモチベ ーションアップにもつながりやすいと言えます。
『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか』の著者のロッシェル・カップ氏は同書で、「日本企業の人事ローテー ションは期間が短く、会社都合であるため、責任を曖昧にし、やり遂げる意欲を減じる」と述べています。
ジョブ型雇用に変える企業が増えた3つ目の要因は年功序列からの脱却です。 一般的に日本の会社は、働き盛りの20代、30代の給料は抑えられていて、その分、40代で管理職になって以降、高給で報いる「給料後払い形式」を取る場合が多く見受けられます。
これには元来、家族的な日本企業は「生活給」といって、社員の子どもの学費や住宅ローン負担などで人生で一番お金がかかる50歳前後の給料を、もっとも高く設定しようとした背景があります。 では、50歳くらいを給料の頂点に持ってくるにはどうするのか。
それは、係長、課長、部長といったように、役職(グレード)を上げるしかありません。そのため日本企業は、たとえ実質的に部下をマネジメントしていない人にも、グレードを上げさせるために、管理職ポストを乱発するしかありませんでした。
誰もが課長くらいにはなれる…高度経済成長時代はそれでよか ったのかもしれませんが、問題なのは「部下なしの見せかけ管理職 ポスト」を作ったことで、いわゆる「フリーライダー(タダ乗り社員)」を大量に生んでしまったことです。 その結果、働かないミドルの人件費は、大企業の経営を圧迫する要因にもなっています。
一方のジョブ型雇用の会社では、各人の年齢に関係なく各仕事の要件を満たした人に、その市場価格に近い給料を支払います。 よって、マネージャー(課長、部長などの管理職)になれるのは、 人をやる気にさせたり育成ができるといった要件を満たす人だけ。 部長などの管理職になれるのか。 高い給料をもらっている人はそれだけ、多くの部下を管理している、あるいは希少性の高い技能を持っているなど、明確な理由があります。 だからこそ、社員にとって公平性と納得性が高いジョブ型が普及 してきたと言えます。

昨今、「働かないオジサン」問題がネットなどで話題となっています。コロナ禍による、リモートワークが一般化する中で、ダイレクトなコミュニケーションができるリモート会議では課長や部長補佐などの出る幕がなくなってきたからです。部下とトップをつなぐ、伝言ゲームのような「取り次ぎ」の仕事をしてきた役職の人が不要となったということです。

まさに、役職を乱発してきたメンバーシップ型の弊害が一挙に露呈したということです。

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