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エモい言葉の数々

今日のおすすめの一冊は、kotoさんの『いとエモし。』(サンクチュアリ出版)です。その中から、「いとエモし」という本書と同名の題でブログを書きました。

本書の中に「エモい言葉の数々」という心に響く文章がありました。

■あいません
『後拾遺集』 939 清少納言(百人一首6番)

夜をこめて
鳥の空音に はかるとも
よに逢坂の関はゆるさじ


心ときめく素敵な口上を
ありがとうございます。
しかし残念です。
どれだけきれいな言葉で
お願いされても、
とりつくろわれても、
逢坂の関は、開きません。
そう。答えは「絶対NO」よ!
おあいにくさま!

◎和歌集にはその歌が詠まれた背景が書かれていることも多く、清少納言のこの歌もその1つ。逢坂の関は、東海道から京都に入るときの交通の要所だった関所のこと。Yくんは、のちの大納言・藤原行成。かねてから仲がよく、こんなやりとりをして遊んでいたらしい。

■吠える、
鳴く、
か細く
『千載集』333藤原俊成

さりともと
思ふ心も虫の音も
弱りはてぬる 秋の暮かな


俺は、こんなところでは終わらない。
まだまだ、飛べる。先に行ける。
そんな熱も、すっかり
なくなってしまったこの頃。
命の終わりかけた虫たちが、
弱々しく鳴いている。
あの声は、
俺の声なのかもしれない、と思う。

◎『千載和歌集』の編集者・藤原俊成。そこに収録された歌から。勢いがあった頃と、晩年の落差との哀愁がただよってくる。ちなみに彼の息子が藤原定家であり、娘(養女)の藤原俊成女も多数の名歌を残した女流歌人である。

■旅の終わりと始まり
『笈日記(おいにっき)』 松尾芭蕉

旅に病で
夢は枯野を
かけ廻る


ずーっと
旅ばっかしてきてよ。
俺はたぶん死ぬけど
夢の中でも
旅を続けると思うんだ。
楽しみだな。

◎江戸前期の俳人、松尾芭蕉。全国を旅しなが ら1000以上の作品を残した。この句は、旅の途中で病気をわずらっているときに詠まれ、その4日後に亡くなったと言われている。

「エモい」
なんとも言い表せないような魂にふれる言葉。感情が揺さぶられる言葉。「切なさ」「物悲しさ」「懐かしさ」という、心動かされるしみじみと感じる心。

何百年、何千年という時空を超えてやってきた古(いにしえ)の言葉たち
魂に響く「エモい」言葉の数々を味わいたい。

今日のブログはこちらから→人の心に灯をともす

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