転職に必要な「レファレンス」とは
今日のおすすめの一冊は、アンドリュー・O・スミス氏の『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ)です。その中から本書と同名の「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」という題で「お金とキャリア設計」のところをピックアップしてみました。
「お金とキャリア設計」の項で、いくつか興味深い話があったのでピックアップしてみます。
【会社選びに失敗した時の対処法】就職はしてみたけれど、大失敗に終わることもあるだろう。それでもかまわない。少なくとも、自分に向いていないこと、自分にできないことは発見できたのだから。転職を目指すのなら、よく考えたうえで、決心がついたら上司に報告する。いきなり辞めるのではなく、ある程度の余裕を持って伝えるのは最低限の礼儀だ。とはいえ、ときにはそれができないこともあるだろう。
辞めると伝えた日が、その職場での最後の日になるかもしれない。いずれにせよ、ここで大切なのは「橋を焼いてしまわないこと」だ。円満に退社することができれば、後になって自分の助けになることもある。その仕事で関係のあった人が、将来の同僚や雇用主になるかもしれないし、自分を誰かに推薦してくれるかもしれない。
【メンター】メンターとは、キャリア、人生経験、人格など、あなたから見て尊敬できる要素を持っていて、長時間にわたってあなたを人間的にも職業的にも導いてくれる人のことだ。自分ひとりの力でキャリアを確立するのは難しい。そのため、キャリアでの成功を体現しているお手本の存在は、大きな助けになるだろう。
メンターは、そのキャリアでの困難なことや、チャンスについて教えてくれる。アドバイスを与え、あなたの悩みや不満に耳を傾けてくれる。メンターの条件は、あなたが目指す職業や分野ですでに働いていて、他人を指導できるほどの経験を積んでいること、そして個人的に尊敬できる資質を備えていることだ。
子どもの頃であれば教師がメンターの役割を果たすこともできるが、最高のメンターはやはり仕事関係でつながりのある人になるだろう。また、メンターはひとりとはかぎらない。キャリアを通じて複数のメンターから指導してもらうこともある。たいていのメンターは非公式だが、会社が若い社員のためのメンターを指名するケースもある。
自分よりはるかに成功している年上の人に、「メンターになってください」と頼むのは気が引けるかもしれない。しかし、実際は彼らのほうも、若い人を指導したいという熱意を持っていることが多い。だから、とにかく頼んでみることが大切だ。いいメンターを見つけ、信頼関係を築くまでには何年もかかるかもしれないが、信頼できるメンターがいることはキャリアを通じて大きな助けになるだろう。
【レファレンス】転職などで新しい仕事を探すときに、「レファレンス」を求められることがある。企業は誰かを新しく雇うとき、その人の能力や仕事ぶりなどを直接知る人に連絡して、履歴書の内容が正確かどうか確認することがある。そのときに情報を提供する人がレファレンスだ。理想的なレファレンスは、前の職場であなたと一緒に仕事をしていて、新しい雇用主と直接連絡が取れる人ということになるだろう。
つまり前職の同僚や上司で、地位が上になるほど信頼できるレファレンスとして認められる。仕事を続けていれば、自然と人脈も広がっていくはずだ。その過程で、ひとつの職場でひとりかふたりずつ、将来の レファレンスになってくれそうな人を見つけておくといいだろう。そしてその職場を去る前に、将来レファレンスになってもらうかもしれないとお願いしておく。キャリアを重ねる中で、彼らの存在に助けられることがあるだろう。
日本ではまだまだ定着していない「転職」。アメリカでは仕事を始めてから退職するまで、平均12回職場を変わるといいます。おおむね、一回4年半です。したがって、日本ではまだ耳慣れない「レファレンス」という制度もあるわけです。しかし実際、これから日本でもその手の制度は必ず導入されるはずです。
そして面白いのは、会社を辞めるときに「橋を焼いてしまわないこと」。気持ち良く辞めていかなければ、レファレンスの内容も悪くなるし、もといた職場の人脈も使えなくなるということです。
アメリカの高校生が学んでいる「お金」に関する勉強、非常に興味深いです。
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