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稽古するときの心構え

今日のおすすめの一冊は、木村耕一(こういち)氏の『思いやりのこころ』(1万年堂出版)です。その中から「うぬぼれは恐ろしい」という題で「徒然草」の一節を引用しました。

本書の中に、徒然草の「稽古するときの心構え」という心に響く文章がありました。

けなされても、笑われても、恥ずかしいと思わず、熱心に稽古に励む人が「一流」になる》 (徒然草)

何か芸能を身につけようとしていながら、 「下手なうちは、うかつに人前へ出ないようにしよう。 内々に、自分で稽古を重ね、上達してから人前へ出るほうが、奥ゆかしい」 と言う者が多い。

しかし、こんなことを言っている者は、何一つ身につけることはできない。 未熟なうちから、上手な人の中に交じって、たとえけなされても、笑われても、恥ずかしいと思わずに、平気で押し通して、熱心に稽古に励む人が伸びていくのである。

そういう心掛けの人は、たとえ生まれつきの才能がなくても、道を求める途中で立ち止まることがなく、自分勝手に年月を送ることもないから、やがては「名人」の域に達し、世間の人から認められ、比類ない名声を得るのである。 

世間じゅうから「一流」と賞賛される名人であっても、初めのうちは、下手だといううわさが立ったり、ひどい欠点があったりしたものだ。 けれども、その道の規律を正しく守り、これを重んじて、かって気ままなことをせずに努力したから、天下に認められる大家となったのである。 

芸能に限らず、いずれの道においても、変わらない大切な心掛けである。 (徒然草/第百五十段)

◆習い事をはじめたばかりのうちは、誰しも、自分が下手なところは見せたくない、と思う。上手な人と比較し、恥ずかしい思いをするからだ。まだ、若いうちはそうでもないが、社会経験も積み、年齢を重ねた人が初心者の立場になるとその思いは強い

これは習い事だけではなく、自分の経験が通用しない新しい分野の仕事や、会社が変わったりするときにそう思う。いわゆる「越境学習」だ。

越境学習とは、所属する企業や組織の枠をこえた環境の中で、仕事をしたり、転籍したりして学びを深めること。いわゆる、ホームでなく、アウェイに越境すること越境しても恥ずかしがらず、自分を開示し、そこに溶け込むことが大事なのだ。

「稽古するときの心構え」を胸に刻みたい。

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