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人生の四季を生きる

今日のおすすめの一冊は、藤尾秀昭氏の『はじめて読む人のための 人間学』(致知出版社)です。その中から「成功のコツは二つ」という題でブログを書きました。

本書の中から「人生の四季を生きる」という珠玉の文章があったのでシェアします。

三月に入りました。朝晩は身を切られる寒さがまだ続いておりますが、もう梅も満開、あっという間に桜もさくことでしょう。季節の四季は何度も巡ってきます。しかし、人生の四季は一回限りです。青春/朱夏/白秋/玄冬 人は皆、いずれかの季節を生きています。以前、『致知』で「人生の四季を生きる」と言う特集を組みましたが、巻頭に禅の高僧・松原泰道師と作家の五木寛之さんにご登場いただきました。百歳と七十五歳、玄冬の季節を生きておられるお二人の対談です。
六十歳を超すと、人により前後十歳の開きがでるといわれます。同じ六十歳でありながら、片方の人は五十歳にしか見えず、片方の人は七十歳くらいに見えるということです。この差を生み出すのは各人の心の工夫いかんにあるのだと思います。泰道先生も五木さんも、その意味で実年齢よりも二十歳以上若く見えます。若い頃からの心の工夫いかんにお二人の若さの源泉はあるのでしょう。
それはさておき、そのお二人が初めて対談されました。しかし、学んでこられた方は違います。初対面ながら、お二人の対談は一気に盛り上がり、話は釈迦の教えから、親鸞、インドの旅、人生論と二時間語りあっても尽きない、楽しい余韻を残したものとなりました。その松原泰道先生に以前、仏教の教えは三つに集約されると教わったことがあります。
一、【厳粛】万物は流転する。いまという時は二度と再び戻ってこない。/二、【敬虔】人はあらゆる「おかげ」の中で生かされている。敬虔にならざるを得ない。/三、【邂逅(かいこう)】めぐり合いの連続によって人生はある。そして、この三つはそれぞれ、「ありがとう」「すみません」「はい」というシンプルな言葉に還元されるといいます。
万物は流転する中でこの命を生きているから「ありがとう」。おかげを返しきれないから「すいません」。そして天地が与えてくれためぐり合いは拝むしかないから「はい」。もう二十年以上も前に教わったことですが、この教えはいまも私の中に生きています。「ありがとう」「すみません」「はい」…この三つを心の中に繰り返していくことで、人生は善き方向に回転していくのではないか、と思うのです。人生の四季を健やかに生きるためにも、いつまでも心に留めておきたい教えです。

二千数百年前の古代中国における陰陽五行思想では、「春」には「青(緑)」が当てられます。同様に「夏」を「朱(赤)」、「秋」を「白」、「冬」を「玄(黒)」に当てるといいます。「春」は15歳から30歳頃を表し、「夏」は壮年時代で31歳~50代前半、「秋」は生涯において落ち着き深みの出てくる時代をいい、50代後半から60代後半で、「冬」は生涯において最後の時期の老年時代をいい、60代後半以降を指すといいます。

春夏秋冬、人生の四季を、精一杯生き切ることがとても大切だと、ひしひしと思うのです。

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