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怒りや仕返しは自分の身体を蝕(むしば)む
今日のおすすめの一冊は、デイヴィッド・J・ポーレイ氏の『あなたの心の「ごみバケツ」を空にする本』(イースト・プレス)です。その中から『「ごみバケツ」の法則』という題でブログを書きました。
本書の中に「怒りや仕返しは自分の身体を蝕(むしば)む」という心に響く文章がありました。
他人に「ごみ(怒りや、敵意、文句など)」を投げつけられると、人はカッとなり、仕返しこそが自分に与えられた使命だと考える。ごみを投げつけられた瞬間を反芻しては、「ああ言えばよかった」「こうすればよかった」と悔しがり、来るべきリベンジの瞬間に思いをめぐらせる。
仕返しにこだわり、あるいはそれを果たすことで得られるものがあるならいい。だが、 現実はそうではないようだ。 心理学者マーティン・セリグマンは前掲書 『世界でひとつだけの幸せポジティブ 心理学が教えてくれる満ち足りた人生』で、次のように述べている。
『ある研究が、むきだしの敵意の表現こそが、A型心臓麻痺の真犯人であることを立証している。研究者は、255人の医学生を対象に、敵意を測定する性格テストをおこない、25年後に医者となった彼らを調べた。
すると怒りの最も激しい人は、 最も怒りの少ない人のおよそ五倍の心臓疾患があることがわかった。別の研究でも、 心臓発作を最も起こしやすい人は声が怒鳴るように大きく、待たされるといらいらし、怒りを外に向けるタイプだった。
男子学生を対象にした実験では、怒りを抑えると血圧が下がり、感情をぶちまけると上がった。女性の場合も、怒りをあらわすと低かった血圧が上昇し、怒りを抑えて親切に応えると血圧が下がった。』
どうやら、仕返しにこだわることは、さらなる怒りの呼び水となるばかりか、健康に まで害を及ぼすようなのだ。
《アメリカの心理学者エルマ・ゲイツ博士は人間のはきだす息を使って、つぎのような実験をした。人間がはきだす息を冷却したガラス管に集め、液体空気で冷やしてやると沈殿物ができるのだが、人間の感情の状態によって、おどろくべきことが起こるのである。
○健全な人間のはきだす息は無色である。
○人間が怒っているときの息の沈殿物の色は栗色をしている。
博士は、栗色の沈殿物を水に溶かしネズミに注射したところ、わずか数分でネズミは死んでしまった。もし一人の人間が一時間、腹を立て続けると、なんと80人の人間を殺すことが可能な毒物が発生するという。》(眼からウロコが落ちる本―固定観念を打破し、新しい自分を創るヒント /PHP文庫)より
怒りは人を殺めてしまうほどの毒を発生させるという。人にそれだけ影響を与えるものが、自分に影響を与えないはずがない。
「怒りや仕返しを考えることは、自分の身体を蝕(むしば)む」という言葉を胸に刻みたい。
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