「ネット弁慶」とは
今日のおすすめの一冊は、堀田秀吾氏の『科学的に元気になる方法集めました(ライト版)』(文響社)です。今日のブログも同名の「科学的に元気になる方法」という題で書きました。
本書の中に「怒りを言動に出すと、より激しい怒りがわく」という研究があったので、シェアしてみます。
ネット社会と言われるようになって久しいですが、SNS上などで匿名でコメントをできる場がどんどんと増えています。普段は腰が低く見えるけれど、ネットでは攻撃的な物言いを辞さない、いわゆる「ネット弁慶」というような人も少なくありません。批判する対象が見知らぬ他人であれば、なおさら攻撃的になり、それをストレス解消の手段にしている…という人がいるかもしれませんが、これは止めておくべき行動です。
東フィンランド大学のネウヴォネンらによる研究で、世間や他人に批判的な物言いをする度合いを測る実験が行われました。この結果、「人を信用できない」と考えて、攻撃的な物言いをしている人は、認知症になるリスクが高くなるという結果が得られたそうです。
日常生活であれ、ネット上であれ、他人をののしるようなことを繰り返していると、自然と「ののしり体質」になっていってしまうのです。人格は日常の積み重ねです。表面上をいくら取り繕ったとしても、日頃からの「ののしりグセ」がついていれば、徐々に徐々に、態度や雰囲気にあらわれるようになっていきます。
これに関連して、アイオワ大学のブッシュマンらの研究があります。実験では、被験者たちに「怒ったときにはパンチング・バッグを殴ると、怒りの解消に効果的」という記事を読ませて、そのあと怒らせてみて、どんな行動に出るかを調査したものです。
その結果、パンチング・バッグを殴った被験者はバッグを叩くことを楽しんだものの、怒りはおさまるどころか、怒りの対象の相手、ひいては関係ない人にまで怒りをぶつけるようになったそうです。つまり、怒りの行動は、一度でも表現してしまうと広がってしまうということです。
したがって、イライラしたとき、暴言を吐きたいときは、瞬間的に行動するのではなく、我慢をしてください。具体的には、何か言いたいことがあっても、それを悪い言葉ではなく、良い言葉に言い換えようと考えてみてください。
たとえば、議論などで反対意見があったととして、それが正当な内容だったとしても、ネガティブな表現、人をののしるようなニュアンスを加えてしまうと、相手の感情をむやみに刺激することになり、話し合いになりません。
怒りは、生物として原始的な脳の働き「大脳辺縁系」から起きる働きですが、人間はそれをコントロールする「大脳新皮質」が進化しています。つまり人間だからこそ、怒りはおさえられるのです。
怒りの感情も、少し時間をおけばおさまります。ですから、何よりも重要なのは瞬間的に怒らないこと。怒らない選択肢もあるんだ、怒るかどうかを選ぶことができるんだ、ということを常に頭に入れて、ふ~っと、深呼吸などをしてください。
「ネット弁慶」とは、Web上のブログや電子掲示板などでは居丈高な調子を見せるが、実生活ではおとなしく、小心者であるような人物のことである。 ネット弁慶は「内弁慶」をもじったインターネットスラングである。 匿名性の強さ(本人特定の難しさ)がネット弁慶の主な拠り所である、と見る声がある。 (Weblio辞書)より
『別に楽しいことがないときでも「フェイク・スマイル」で笑顔をつくるとストレスが軽減されて気分がよくなる』『楽しい動きをすると、楽しくなってくる』ということが本書の中に書いてありました。つまり、「自分の発した言葉や表情が先で、気持ちや感情はあとからついてくる」ということです。「ネット弁慶」も同じで、ネット上でいつも毒を吐いていると、現実でも徐々に毒を吐くようになってきます。
そして、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズは「人間は楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しいのである」と言っています。ということは、「怒るからもっと怒りたくなる」ということでもありますね。
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