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発想とは「過去のインプットを組み合わせ」

今日のおすすめの一冊は、出口治明氏の『人生の教養が身につく名言集』(三笠書房)です。その中から「人は何のために勉強するのか?」という題でブログを書きました。

本書の中に『発想とは「過去のインプットを組み合わせ」』という興味深い一節がありました。

「人間は本質的に無知で、獲得という手段を通じて知識を得る」(イブン・ハルドゥーン 『歴史序説』) 

世の中には、周りが驚くほど、発想豊かな人がいます。 豊かな発想の源はいったい何か。それは持って生まれた「才能」というよりも、その人が持つ膨大な知識の量なのではないかと僕は考えています。 

つまり、インプット次第で、人は誰でもアイデアの達人になれるのです。

昔、音楽家の坂本龍一さんが、機内誌のインタビューでとても興味深いことをおっしゃっていました。 世界で活躍する坂本さんを私たちは「音楽に非凡な才能を持つ人」と見ますが、ご自身いわく、そのような才能は自分にはないのだ、と。

あるとすれば、それは子どものころからインプットしてきた膨大な音楽の記憶。それらを引き出し、組み合わせながら音楽をつくっているだけだというのです。

坂本さんのお父様は有名な編集者・坂本一亀さん。仕事では非常に「怖い人」として知られていたそうですが、お子さまにはやさしかったようで、息子さんがほしいと言えば、何枚でもレコードを買ってきてくれたそうです。 そのおかげで、坂本さんは子どものころから音楽にどっぷり浸かった生活ができたのだとか。

つまり、ものすごい量の音楽をインプットしていった。その記憶が、その 後の坂本さんの音楽の材料となっているというわけです。 ということは、お父様が坂本さんにレコードを与えていなければ、「音楽家・坂本 龍一」は生まれなかったかもしれない。

 僕はこの記事を読んだとき、アイデアや発想においても、知識(情報)の蓄積こそがすべてだとあらためて再認識しました。アイデアや発想を豊かにしようと思ったら、 知識をどんどんインプットしていくに限る。 

そもそも、まったくのゼロから生み出されたアイデアは、人類の長い歴史を見渡してもほとんど存在しないのではないでしょうか。その前に存在したアイデアを組み合わせたり、あるいは、自分たちの時代に合わせた形に焼き直したりして、「斬新なアイデア」が生み出されていく。 

知識の蓄積の中からアイデアが生み出されていくのです。 だからこそ、「知る」という行為が大切です。 何も知らなければ、人間の頭の中は空っぽです。ゼロの状態。 知識はいってみれば、材料です。材料がなければ料理ができないように、人間も知識がなければきちんとした思考はできません。思考ができなければアイデアも生まれてくるはずがないのです。

『アイデアのヒント』(CCCメディアハウス)という本の中にこんな言葉がある。

ジェームスヤングは、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と言っている。

フラシス・H・カルティエはこう述べている。「新しいアイデアを手に入れる方法はただ一つ。それまでにもっていた二つ以上のアイデアを組み合わせたり結びつけたりし、以前は気づかなかった関係が見出せるような新しい並べ方にすることだ」

イギリスの作家アーサー・ケストラーはこう考えた。「クリエイティブな独創性とは、何もないところからアイデアを創造することではない。しっかりと確立された考え方を組み合わせ、相互に深め合うというプロセスからアイデアを生むことだ」。

アイデアは膨大な過去のインプットを組み合わせたもの。発想もまた同じだ。

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