流れにまかせる
今日のおすすめの一冊は、保坂隆氏の『空海のことば』(MdN新書)です。その中から「とにかく一歩を踏み出してみる」という題でブログを書きました。
本書の中に「流れにまかせる」という心に響く文章がありました。
陶淵明に「帰去来辞(ききょらいじ)」という詩があります。彼は41歳で、いまでいう郡の役所の長くらいにまでなりましたが、公務員に嫌気がさし、自分の故郷に帰っていく途中で「帰去来辞」を詠むのです。
その詩の最後に書きつけた言葉があります。「いささか化(け)に乗じて以て尽くるに帰し かの天命を楽しんでまたなんぞ疑わん」
どんな変化が来てもそれに乗っかり、その変化が尽きるにまかせよう。そして、これが天命なんだと信じて疑わない。陶淵明はそう決意を述べるのです。(流れにまかせて生きる 変化に応じる「観音力」の磨き方/PHP)より
自分の人生は自分で切り開くものとか、自分の目標に向かって進むもの、と考える人は多い。学校や社会においての「教育」の中の大きな価値観の一つだからだ。
しかし、一方で「流れにまかせて生きる」という生き方もある。小林正観さんはそれを「頼まれごとの人生」という。人(天)から頼まれたことを淡々とこなしていくという人生。
目標に向かって生きるという生き方は、目標が叶うこと以外は、すべて否定するという生き方。反対に、頼まれごとの人生は、起こったできごとや頼まれたことを受容するという肯定の生き方。
変化が起きたとき、「ああ、なるほど、そうきましたか」と抵抗しないで、すべて受け入れる、ゆだねる生き方でもある。
色々なことが起こる毎日を、淡々と、流れにまかせて生きることができる人でありたい。
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