寝る子は風邪をひかない
今日のおすすめの一冊は、池谷裕二氏の『寝る脳は風邪をひかない』(扶桑社)です。その中から「ヒトは能力を失うことによって進化した」という題でブログを書きました。
本書の中に「寝る子は風邪をひかない」という興味深い文章がありました。
「バカは風邪をひかない」という言葉は本来、「バカは鈍感だから風邪をひいたことに気づかない」という意味です。現代風に加味すれば「だから知らぬ間に感染を拡大してしまう」となるでしょうか。
バカはさておき、ウイルス感染には「免疫力」が大きく関係します。免疫力が十分に高ければ、ウイルスを防御できる確率が高まります。 免疫力が睡眠と関係するのはご存知でしょうか。十分な免疫力を発揮するためには十分な睡眠時間は欠かせません。
カーネギーメロン大学のコーエン博士らの有名な実験があります。21歳から55歳の健康 な153人に風邪の病原ウイルス(ライノウイルス)を鼻腔内注入したところ、平均睡眠時間が7時間未満だった者は、8時間以上だった者に比べ、2・94倍も風邪の発症率が高かったのです。
この研究は、「人体実験」とも言える過激な実験デザインを持ちますが、より穏当な研究として、ワクチンを用いた実験を紹介しましょう。ウプサラ大学のベネディト博士らの研究です。 全24名にA型インフルエンザのワクチンを投与した後、52日にわたって抗体の力価を調べました。
ワクチン接種から数日以内にわずか一晩でも徹夜すると、インフルエンザに対する抗体の量が70%も減ってしまうことがわかりました。減少効果はとくに男性で強かった。 単に横になる姿勢をとるだけではだめで、しっかりと眠り込まなければ抗ウイルス作用は薄いのです。
つまり効果をもたらすのは姿勢でなく睡眠です。「寝る子は風邪をひかな い」とでも言うべきでしょうか。
ワクチンも大事なのですが、風邪にしても、コロナにしても、重要なのはいかに自分の免疫力を回復するかです。免疫力が落ちてしまったら、いくらワクチンを打っても効かないということです。
その免疫力を回復するために必要なのが、睡眠です。「寝る子は風邪を引かない」という言葉を胸に刻みたいと思います。
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