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時の流れは人を待たない

今日のおすすめの一冊は、新井正明氏の『先人に学ぶリーダーの要諦 先哲の言葉』(致知出版社)です。その中から「常に、喜びと感謝の念を持つ」という題でブログを書きました。

本書の中に「時の流れは人を待たない」という心に響く文章がありました。

《来日(らいじつ)あると謂(い)うなかれ》

謂う勿(なか)れ 
今日(こんにち)学ばずとも 
来日有りと謂う勿かれ
今年(こんねん)学ばずとも
来年有りと
(朱熹・しゅき) 

森信三先生が生涯説かれたのは、「人生二度なし」でした。 人生は二度ない、一度限りであるということを肺腑(はいふ)に刻み込むように生きられた先生だからこそ、この言葉を生涯のテーマとされたのだと思います。 

坂村真民先生の著書がこのほど、致知出版社から出ましたが、そのタイトルは、『こんにちただいま』です。 森先生といい、坂村先生といい、人生の達人が行きつく心境は、相似ているということでしょう。 

さて、冒頭の句は、朱熹の「学を勧むる文」(朱文公勧学文)の句です。 朱熹は宋代の儒学を体系化した、いわゆる「朱子学」の大成者で、近世最大の儒学者として朱子と尊称されています。 

意味するところは 「今日勉強しなくても明日があるからといって怠けてはいけない。 今年学問しなくても、来年があるからといって、空しく月日を過ごしてはならない。 一日一年をおろそかにせず、常に勉強しなければならない。 若いときを無駄に過ごすと、結局、年老いた後に嘆くことになる」 ということで両先生も同じことをいっているのです。 

朱熹はまた「偶成(ぐうせい)」と題し、 「少年老い易(やす)く学成り難し 一寸の光陰(こういん)軽んずべからず 未だ覚めず地塘(ちとう)春草の夢 階前(かいぜん)の悟葉(ごよう)己に秋声」 という人口に膾炙(かいしゃ)している有名な詩を作っています。

 時の流れは人を待ってくれません。 それだけに充実した時を過ごしたいものです。 

「偶成」とは、たまたまできた詩のこと。 

若いと思っているうちに、アッというまに年を取り、学問がモノになるのは難しい。 だからこそ、少しの時間を惜しんで勉学に励まなければならない。 池のほとりに萌えゆらぐ若草のように、いつまでも、うつらうつらと夢見心地ではいけない。 階段の前の青桐(あおぎり)の葉は、秋風とともに散ってしまうのだから。 

「明日ありと思う心のあだ桜 夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは」 と詠じたのは親鸞聖人。 満開に咲いている、見事な桜。 明日、見にいけばいいと思っていたら、夜中の嵐で、翌朝はすっかり散ってしまった。 明日がある、明日でいい、と思っていると取り返しのつかなくなることも世の中にはある。 

絶好のチャンスを逃したり、会いたいと思っていた人と永遠に会えなくなってしまったり…。 だからこそ、「一期一会」であるし、「人生二度なし」。 会いたいと思ったときが、必然の時であり、「その時」。 勉学も同じで、明日ではなく今が「その時」。 

明日も、来年もないのだ、という気持ちで… 今日ただ今を一所懸命に生きてゆきたい。

今日のブログはこちらから☞人の心に灯をともす


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