具体的には
今日のおすすめの一冊は、齋藤孝氏の『頭がいい人のモノの言い方』(きずな出版)です。その中から『「ポジティブに考えると」と言う』という題でブログを書きました。
本書の中に「具体的には」という興味深い文書がありました。
話がわかりにくい人の特徴に、抽象的なことや全体的なことを漠然と話すだけで、 具体性に欠けるという点があります。 「具体性がない話」というのは、インターネットの世界で言うと「検索ができない」ようなものです。
たとえば私のところに送られてくるメールでも、件名に「書籍の件」とだけ書かれ ていたら、どの出版社のどの本の件なのかわかりません。また、あとから書名で検索できないので、探すのに手間もかかります。
一方、件名に【出版社名、氏名、書名つきの用件】が書かれているメールであれば、 あとで捜す必要があるとき、すぐにキーワード検索することができるんですね。 これができるかできないかで、相手の印象を大きく変えられるのです。
話し方も同じです。たとえば上司に話しかけるとき、「ちょっとお時間いいでしょうか?」と声をかけても、上司としてはなんの話かサッパリわからないので、ヘンに身構えたりしてしまいます。 そうならないためには、「~の件の結果についてお伝えしたいので、ちょっとお時間いいでしょうか」などと、具体的な用件を先に伝えることです。
また、とくに伝えたいことを強調したい場合は、ほかと区別することで話のポイントを際立たせるのも効果的です。「いま準備している新商品の特徴はいろいろありますが、具体的な点を1つ言うと、一般の商品にない〇〇が一番のポイントです」 というように、ほかと差異化するとわかりやすくなるのです。
就職活動の面接でも「私はリーダーシップがあります」とだけ言われても、どういう意味でリーダーシップがあると自負しているのか伝わりません。そこで具体的な体験談を交えて、「具体的にはこのような大規模なイベントで、リーダーとしてみんなを動かし...」と説明できると、「そういうことか」と納得してもらえるでしょう。
頭がいい人は、相手をイライラさせないように思考や時間の無駄を最小限に減らして、早く、わかりやすく話すのが上手です。そうなるためには、具体例を入れながら話す訓練が必要なのです。「具体的には」という言葉を習慣化して、具体的に話すようにすることを心がけてみてください。
「具体的には」という言葉と同時に使われるのが「たとえば」で始まる「例え話」です。わかりにくい抽象的な話や、新しいことを、わかりやすく伝える方法です。
ただし、最近も大きな問題が起きましたが、その「たとえ話」が「下品」だったり、「差別的」で、「ジェンダー意識に欠ける」ようなものだったら、相手を怒らせるだけでなく、会社をゆるがすような大問題になる可能性もあります。
特に抽象的な話しかしない、話のわかりにくい人には、「具体的にはどういうことですか」という質問が有効です。もし、具体的に答えられないとしたら、その人はわかっていない、ということです。
だからこそ、逆にいうなら、具体的な話ができない人は、それを真剣に考えていないか、行動に落とし込もうとしていないか、ただ言っているだけなのか、ということです。議論が紛糾するような場合は、たいていお互いが抽象論で話をしている場合が多いものです。
具体的に動き、具体的な話ができる人でありたいものです。
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