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窓のない高速列車
今日のおすすめの一冊は、斎藤茂太氏の『「ゆっくり力」でいい人生をおくる』(新講社ワイド新書)です。その中から「多所懸命」という題でブログを書きました。
本書の中に「窓のない高速列車」という心に響く文章がありました。
《「窓のない高速列車」からは降りよう》
アメリカではある時期から心臓疾患を起こす人が急に増えたという。そこで心臓疾患の原因調査が大々的に行われ、興味深いことがわかった。心臓疾患で倒れる人に、性格的な共通点が浮かび上がってきたのだ。
その共通点とは「怒りっぽい」「せっかちで先を急ぎたがる」「仕事の遅延や、遅刻を嫌う」「負けず嫌い」「上昇志向が強い」。
アメリカの研究者たちはこうした性格のもち主を「窓のない高速列車」と呼ぶことにした。外を眺める心の余裕などなく、ひたすら猛スピードで突っ走る人という意味だ。社会的にはかなりやり手の人たちである。周囲から一目置かれ、地位もある。しかしそれに満足せず、さらなるステップアップのために日々まい進している。
こんな性格の人は日本にもたくさんいるだろう。かつてのモーレツ社員、いまの言葉でいうとどうなるのだろうか。とてつもなく野心が強く、出世のため、お金もうけのためにがむしゃらに働くタイプだ。
しかしこんな人が、ある日突然、 心臓疾患でコロッといきやすい。 以前、日本でもゴルフ場で突然死する人が増え、社会問題化して騒がれたことがあった。そういう人たちの肩書は、会社の社長だとか青年実業家だとかいった人が多かったように記憶している。
考えてもらいたい。それでなくてもストレスが多い立場にあるのだ。それなのに、せっかちで怒りっぽく、イライラしムカムカし、みずからのストレスに拍車をかけている。 これでは、健康を脅かされても、当然である。体のどこかで歯車のネジが一本はずれ、心身がバラバラになって壊れることになってもおかしくない。
ストレスの多い人は「ゆっくり、ゆっくり、先を急ぐな」 「少々遅れてもいいではないか」を心がけるべきである。ストレスの背中に、さらなるストレスを背負い込むようなマネだけは、やめておいたほうがよい。
◆「窓のない高速列車」に乗っている人は、目的地主義の人だ。目的地主義とは、目的地をひたすら目指す人。できるだけ短い時間で、効率的に、無駄をはぶき、一直線に目的を達成しようとする人。
しかし、もし人生を目的地主義にするならば、人生はあっというまに終わってしまうことになる。死に向かって無駄なく最短で、生き急ぐ、ということになるからだ。
ひろさちや氏は、目的地主義ではなく、「道中を楽しむ」生き方にした方がいいという。旅でも目的地に着いてから楽しむのではなく、行くまでの道中を楽しむということだ。
道中を楽しむとは、「頼まれたことを楽しんでやっていく」「寄り道や道草、後戻りを楽しむ」「ドジや失敗を面白がる」「嫌なことも、その中に面白いことを見つける」・・・。
窓のない高速列車を降りて、人生(道中)をもっと楽しむ生き方をしたい。
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