学びの定着化〜実践と共有
研修で一番成長するのは講師
研修を通じて1番成長するのは誰でしょうか?
おそらく「講師」です。
なぜか?
まず準備の段階で、研修時間の何倍もの時間を費やします。
弊社の場合、その準備には最新かつ信用に足る研究の調査、研修参加者のプロファイリング、そしてそれを踏まえた教材や研修デザインのカスタマイズが含まれます。
そして準備した内容を自分の言葉で伝えるために訓練をし、当日を迎えます。
このように、インプットしたものを再整理しアウトプットする過程で、知識やスキルが体内に浸透していきます。
インプットとアウトプットは学びの両輪
言語学習で考えて見ましょう。
例えば英語の新しい単語やフレーズを学んだ後、それを使う場が無いが故にすぐに忘れてしまうという経験をした方も多いのではないでしょうか?
この現象を出来るだけ防ぐために、我々の様な研修会社は研修中に議論する場(アウトプットする機会)を確保します。
しかし、残念ながらこれだけでは足りません。
みなさん、年に数回の英会話レッスンで英語を習得できるか?と聞かれると、そんなに甘くないだろうと感じる方が多いのではないでしょうか?
それと同じで、年に数回の研修に参加するだけで十分なビジネススキルが身につくかというと、難しいと言わざるを得ません。
しかし、毎日研修に出るというのも現実的ではないですね。
そのため、たまに出る貴重な研修の効果を最大化する(学んだ知識やスキルを確実に自分のものにする)ために、研修後にいかにアウトプットの機会を作るかが劇的に重要になります。
学びを伝える
では、具体的にどうするか?
多くの場合、人事や講師から「是非現場で実践して下さい」と言われます。
更に私は、研修で習った内容を自身で使うだけではなく、家に帰ってから家族に共有したり、翌日社内のチームメンバーや家族に共有する事をオススメしています。
なぜか?
他人に伝える段階で自分の理解を再構成する必要があり、またその過程で自分が理解出来ている部分とそうでない部分が浮かび上がってきます。
自分一人の振り返りや実践だと理解が曖昧なまま終わってしまう部分も、他人に説明するとなると無視出来なくなります。
このように、教わった内容を教えるというサイクルは学びの定着化に有効です。
教え教えられる風土
実際にこれを体系的に実践している会社があります。
トヨタ自動車です。
トヨタ自動車では、アドバイザーと呼ばれる社内講師を育成し、受講者(後輩)を指導します。
つまり、自身が研修や現場で学んだ内容をアドバイザーとして後輩に伝えるという「仕組み」が出来ており、長年運用されています。
この「教え教えられる風土」こそ、トヨタ自動車の一つの強みではないかと私は考えています。
もし研修後のスキルの定着化に悩みを抱えていらっしゃる場合は、研修後のフォローを研修報告書で済ませず、学んだ内容を誰かに教えるというステップをセットで検討すると変化があるかもしれません。