レベニューマネージャーの仕事
株式会社スマートドライブ "レベニューマネージャー"の弘中です。
名刺交換をさせていただくと、「レベニューマネージャーって何されてる方なんですか?」と聞かれることも少なくないので、自分がレベニューマネージャーとしてやるべきだと思っていることや、レベニューマネージャーがどのような仕事かを今回は記載していきます。
レベニューマネージャーとは
レベニューマネージャーの仕事は、マーケティング部門からカスタマーサクセス部門を中心にした収益に責任のある部門を一気通貫でマネージしていくことです。
ビジネスサイドと表現されるような上記部門と、プライシングやマーケティング戦略、営業戦略、テリトリー、評価制度、KPI設計、などをみている場合が多いです。
USではCRO(Chief Revenue Officer)が増えてきており、日本でも今年来年くらいまでにこの役職が広がると思っています。楽天の副社長でおられる有馬さんは2017年からCROに就任されていますし、FORCASの田口さん、ベルフェイスの西山さんもレベニューチームの責任者となっています。
なぜレベニューマネージャーが必要か
レベニューマネージャー(チーム)が必要になってきた背景についても少しご説明します。組織が立ち上がり成長して人数が増えてくると、今まで兼務でなんとか仕事をまわしていた状態からある程度の役割範囲を明確にしていきながら分業体制をひくことになります。
分業体制にすることのメリットとしては、アダムスミスも国富論で言っている通りですが、
・それぞれの領域に特化することでプロフェッショナルを養成しやすい
・プロフェッショナルが養成されることでその領域での発明がされやすく生産性が向上される
・役割範囲が決まるので個人(部門)での評価を設定することができる
・集約される情報と部門がきまるので組織においてのボトルネックが可視化されやすい
・組織の役割が決まるのでKPIマネジメントが可視化されやすい
・規模の経済を活用しやすい(組織のスケールに対応しやすい)
などメリットは非常に大きく、組織拡大の過程では必ずおとずれます。
一方で分業モデルを否定する訳ではないですが、分業モデルのまま成長していくといくつかの壁にぶつかると考えています。
「それぞれの部門で顧客像が異なってしまい"顧客中心主義"や"カスタマーサクセス"を掲げた際に全社で方向性を統一させることが難しくなってくる」
「部門最適のKPIになってしまう可能性が高く、マーケティング部門は達成したが会社としての目標には届かなかった、マーケティング部門のKPIが営業部門の成果に繋がらなかった」
「部門単位でOne Teamを組成し部門対立(情報断絶)が起こってしまう」
などがあると思います。
Googleをはじめ多くのTech カンパニーが情報の非対称性を解決しようとしていますが、情報の非対称性は小さな1つの会社の中でも同じように起こっています。
この不均衡や非対称性をなくすことがレベニューマネージャーに求められており、
これが、僕が考えているレベニューマネージャーの仕事です。
レベニューマネージャーのJob Descriptionって
海外のCROのJob Descriptionを見ると、
というものや、
などが記載されています。MarketingやSales、CRM、Data Drivenなどがポイントになっているかと思います。
よく言われるCOOやとCROの違いに関しては、
A COO (to manage the supply side processes, which include development, production, service delivery, etc.); the CRO (to manage the demand-side processes of marketing, sales, and customer service); the CFO to manage finance, the CIO to manage information systems, and the CPO to manage the people resources.というのが近いかと思います。
で、実際の仕事は?
では実際に僕が何をやっているか(やろうとしているか)というと3つあります。
"顧客"という言葉の解像度を高める
顧客・カスタマー・ユーザー、どこの会社でも必ず聞いたことがある言葉ですが、1人1人に「貴方が考えている顧客とは?」というのを2-3分で聞いてみてください。
顧客のイメージがピタッと全員一致するというのはかなり難しいと思います。これは僕が日々感じていることですが、顧客はサイコロのようなもので、今どの側面から見ているかによって異なる目が見えていて、時間軸や部門によって全く違う目が見えていることが多いと思っています。
そのくらい部門によって顧客増は異なると理解しておいたほうが良いと思います。
その前提をもとに、全員が「いま見えている顧客像は1の目だな、今は4の目に近いな」といった顧客の多面性を理解できる状態まで持っていくことが必要になります。
どのようなアクションが良いかは摸索中なのですが、今考えていることは、全部門が集まってそれぞれの部門で接している母数の多い顧客セグメントを上位3つくらい作って発表してみると良いのではないかなと思っています。
ここでの顧客セグメントは業界や規模という属性情報(定量情報)ではなく、ITリテラシーが高そう、社内で推進力ありそう、上昇意欲が少なそうなど定性的な情報でセグメントを3つくらい作ってみるイメージです。
どの企業も定量的な情報であれば顧客セグメントは一致すると思うのですが、定性的な情報でも顧客セグメントを一致させなければ本当の意味での解像度は上がってこないと考えています。
マーケティングが進んでいる企業様はすでに「ペルソナ」を作成されているかと思いますが、それをマーケティング・セールスだけではなく全社で共有していくイメージです。
また定量的な把握は、弊社ではFORCASというツールを利用しているので、
・WebサイトにアクセスしているけどCVしていない企業(アクセス企業はどこどこJPで把握)
・商談に繋がっている企業
・ご契約いただいた企業
・ご契約いただけなかった企業
・LTVが高い/低い企業
・インサイドセールスがイケると判断した企業
・パートナー興味のフラグがたっている企業
・ダイレクト検索で入ってきた企業
・広告から流入した企業
・展示会で名刺交換した企業
などの粒度でFORCASにインポートし、どのような属性や企業シナリオがついているかを、ひたすら眺めて定量的な解像度を高めようとしています。
部門単独のオペレーション最適化と部門間連携を含めたオペレーショナルエクセレンスを構築する
2つ目は「オペレーショナルエクセレンス」だと考えています。
組織の成長スピードを下げる大きな要因としては、
現状が可視化されていないためにボトルネックも改善策もわからないというものです。
これは、「データが点在していて実態がつかめない」「それぞれの部門で別のデータを母数にしていて全体像がつかめない」「エクセルなどオフライン且つシステム化されていなくマニュアル作業に頼らなければいけない」などが影響していますが、このデータ統合とオペレーションのムダを徹底的に排除した仕組化で経営にインパクトを与えなくてはいけないのです。
マイケル・トレーシーとフレッド・ウィアセーマも著書「ナンバーワン企業の法則」で"プロダクト・イノベーション” "カスタマーインティマシー"と並んでオペレーショナルエクセレンスを掲げているように、単なるオペレーションの効率化ではなく「経営にインパクトを与える/競合優位性を確立する」ためのことをしていかなければならないです。
オペレーショナルエクセレンスを実現させるためには、下記の5つのことを留意しておくと良いと思っています。
1:オペレーションは組織の考え方・動き方の指針となるので会社のバリュー/行動指針とオペレーションに齟齬がないか確認する
(その組織で、スピードが大事のような指針があった場合に必要以上にオペレーションコストをかけるのはイマイチ)
2:オペレーション、情報共有の難しさは人と人とのコミュニケーション問題がほとんどなのでシステムだけではないオフラインでのやり取りを円滑にするための風土作りを行う
3:基盤となるシステムと周辺システムとの深いレベルでの連携性を確認してデータ統合が完全な形で行えるようにする
4:データ不備や不整合を無くすためにオペレーションのルールを徹底しSales(Marketing) Operationチームを構築する
5:オペレーションはそのタイミングで最適なものが変わってくるので継続して3ヶ月に1度ほどの頻度で見直しをかけていく
上記を理解しておきながら、現状の組織ではどのようなオペレーションをどのようなシステムで組み上げることが最適かを実装し続けます。
上記5つを留意していただければその他様々な問題が生じた場合にも方向性がブレることはないので何とか乗り切れるのではないかと考えています。
また、このようなオペレーショナルエクセレンスはどのタイミングで構築したら良いかというご質問もたまにいただきますが、僕の回答としては 「100%いますぐ実行してください」と伝えています。
組織の立ち上げフェーズでは分業・オペレーショナルエクセレンスをやり切るのが難しいのは確かなのですが、たとえ人が少なくて兼務だったとしても利用できるツールが安価なもので統合的なプラットフォームとしてワークしていなかったとしても、オペレーショナルエクセレンスを実現させる場合にはどのような組織体制でツールでコミュニケーションラインなのかというのは考えて実践しておかなければ組織が大きくなった際に、ひずみが大きくなってしまい修復の難易度が上がるためです。
また、初期の段階から生産性を重視しておくことで「妥協しない採用活動」ができるようになってくると考えています。
人が少ない中で業務を回していると「一緒に働くイメージがわくな」「悪くないな」という方と面談でお会いした際に今の業務的に考えて確かにいたら良いかもしれない。くらいで採用に踏み切ってしまうことも多くなってしまいます。(実際はそれだけではなく出せる条件や会社のブランディングなども関係するので採用についてはそこまで深掘りできないのですが。)
そこを最初からオペレーショナルエクセレンスを考え抜いておくことで、最小人数で業務を回すことを可能にし、本当に必要な方と出会えるまで妥協しない採用をするということに近づけるのではないかと考えています。
妥協しない採用活動
最後は「妥協しない採用活動」です。
妥協しないというのもどの程度かということや、企業によって求めている人材が異なってくるので、僕が一緒に働きたい方(僕にとっての妥協しない採用とは)について記載します。
・自分のパフォーマンスと組織のパフォーマンスをどちらも高められる方(個人で達成率150%で周りへの影響が0のローンウルフ型の方よりは、個人で120%を達成し周りへの影響で50%分底上げができて合計170%のパフォーマンスを作り出せる方)
・自分の得意領域を持っていて、得意領域の深掘りと隣接する部門の業務にも興味関心をもて協働できる方
・手触りがない状態のものを自分で手触り感のある状態まで持っていける行動力と思考力の双方をバランスよく持っている方
というのが前提で「品性・感性・方向性が合う方」と一緒に仕事をしていきたいと考えています。具体的には、
品性:誠実、素直、尊敬、顧客にとって正しいことをする、競合とレースができる(競合した際に競合と殴り合いのような相手をけなして勝つのではなく、100m走をしている感覚で競合よりも自社の魅力をアピールして先に走り切るという感覚を持っている)
感性:Mobilityに対する興味、ビジネスに対する興味、チームに対する興味
方向性:市場・会社・チームを作っていきたい、顧客にとって正しいことを利害関係なく実施していきたい、製品を通して顧客を成功に導きたい
というものです。
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