読書感想文 証言UWF最後の真実

読書感想文 証言UWF 最後の真実

この本は第一次UWFから新生UWFの崩壊までを当時の関係者にインタビューを行っている。

猪木信者なのでUWFの歴史はあまり知りませんでしたし、新日本の業務提携時代キックばかりするのでせこいと思って見ていました。UWF勢が敵だと思っていたので知りたくもなかったというのが本音でした。

だがそのUWFも元はと言うと猪木がアントンハイセルの失敗でクーデターが起こり、新間寿さんがクビになったことで旗揚げされた団体でした。猪木の身から出たさびでした。

地味なUWFが生き残るためにはキックと関節技とスープレックスに頼りシリアスな闘いを魅せる事で新日本と全日本との違いを見せる事でした。
その生き残るために始めた闘いが後の総合格闘技に繋がっていくという。

この本から分かったことは、競技化したことで食べていける保証もない、そして競技人口が少ないことからケガをして再起不能になれば興業を行えない。またスターを生み出さないとチケットは売れない。

無名の選手が強かったとしてもスター性がなければチケットは売れない。スターを作るには何年もかかるが資金力もないUWFではそんな余裕もない。
またレスラーが営業をやるということは競技に専念できない事であり、心労がかさむ。社員に給料を払うことが第一であり、給料を払おうとしてもチケットが売れないとお金にならない。
よって闘いだけに専念できなくなる。

UWFは選手間とフロント陣の間に軋轢が生まれ崩壊していった。そうやって考えると新日本プロレス全日本プロレスのシステムは凄くしっかりしているなと思った。

昔は競技化してやればいいじゃんとばかり思っていたが、プロである以上飯を食っていかなくてはならない。飯を食うためにはチケットが売れなければならない。すなわち客が呼べるレスラーこそがプロであり一流である。

いくら格闘技関係者が綺麗ごとをならべても飯が食えなかったら意味がないのである。それはどこのプロスポーツも同じである。だからこそ次のスターを生み出そうと必死であり、格闘技であるならばかませ犬的な相手をぶつけ強さをアピールしスターを作っていく。

その狭間で動いたUWF。最初は他社との差別化だったがここまで後世に影響を及ぼすとはUWFがやった功績は大きすぎる。

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