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フィルム写真がエモいという感覚

デジカメが普通になっている現在では、
スマホのカメラもデジカメ画質なわけで、
気軽に撮れる画像がふつうにデジタル。

一方フィルムを使った写真は
デジタルが当たり前の世代にとっては
「異」なるものなのか、
味があるとかエモいという感覚があるようだ。

逆にフィルムが当たり前だった世代にとっては
フィルムがなぜそんなに「異」なるものなのか
正直よくわからない。

で、考えてみた。

フィルム写真を楽しむというのは、
実は結構ハードルが高い。

フィルムカメラは現在数えるほどしかなく、
新品で購入することを考えられると、
かなり限られる。

インスタントカメラ、
製品名でいうと「チェキ」は
銀塩写真ではあるが、
フィルムカメラというカテゴリに
入れていいモノかどうかわからない。

先日量販店でフィルムカメラを見てきたが、
コンパクトカメラでもかなり機能を
簡略されたものが売られている。

写真というのはピント、露出、構図が
重要とされている。

構図はカメラを持つ写真を撮影する人のセンスによる。

ピントは必ずしも合っていなきゃいけないという決まりはないが、合っていることに越したことはない。

露出、これもハイキーやローキーとか撮影者の意図である意味自由ではあるが、適正露出であることに越したことはない。

売られているコンパクトカメラは、ピントはパンフォーカス、露出は固定でフィルムの性能、ラチチュードにまかせる形である。

これらはカメラの形をしているが、
まあカメラなんだけれども、
「写ルンです」といわれるレンズ付きフィルムと構造はほぼ同じなのである。

レンズ付きフィルムとは

世間的に「使い捨てカメラ」と言われているものだが、リサイクルされたりして
「使い捨て」というのは違うというメーカーの
主張によるそのものの呼称である。
メーカーによっては「撮り切りカメラ」
「使い切りカメラ」とも称された。

「写ルンです」を黎明期から知っている者にとっては「使い捨てカメラ」といわれるのはあんまり好ましくない。
「レンズ付きフィルム」である。

フィルムにレンズがついているって何?
と思われる方。
カメラがなくてもフィルムが売れるようにとの
フィルムメーカーの計略なのである。

よく観光地の売店でも売られ、
カメラを持っていかなくても、
「レンズ付きフィルム」を買えば
写真は撮れちゃうのである。

その「レンズ付きフィルムの」特徴は、
簡略な構造で、ピント合わせ不要、
露出も考えなくていい、
フィルムを巻き上げるんだけれども、
実はプリワインディング構造で
パトローネから出ているフィルムを
巻き戻しながら撮るシステムなのです。

まあ、何言っているのか
わからない方もおられましょう。

要点だけ言うと、
「あんまりがっちりしっかり撮る方向性じゃないカメラ」
ということなんです。

フィルム写真=シャープネスが高くてくっきりした写真ではない

という感覚があるのだろうか。

確かに暗いところで撮ると露出アンダーになって粒子がざらざらするのが目についたりする。

フラッシュを焚くと今度は露出オーバーになったりする。

そしてパンフォーカスとは
広角レンズを使い
絞りを絞ると被写界深度が深くなるのを利用したもの。
レンズはそのピント位置はペラペラな薄い平面なのだが、
被写界深度を深くすることと、
他の要素であたかもピントが
「合っている」
ように見えるのである。
なので実際のところシャープネスが高くはないのである。

また、シャープネスを失う原因として、
デジカメでは当たり前の手振れ補正機能がないこともある。

そしてフィルムは撮影してそこに画像が
見えるわけではなく、
フィルムの中に潜像という形で画像を固定する。
潜像は現像というプロセスを経て
ようやくネガやポジになり、
ネガはプリントしないと写真として見ることができない。

フィルムの粒子感、緩いシャープネス、
露出のばらつき、手振れなどを起点として
ノスタルジーを感じさせることから
エモいという感覚につながるのではないだろうか。

フィルムでも、一眼レフなり、中判カメラ、
大判カメラできっちり撮影すると
きれいな写真が撮れるが、
それはエモくないのかもしれない。

スマホやデジカメのように
撮影後すぐに見られるわけじゃなく、
現像、プリントと時間のかかるプロセスを楽しみながら、
出来上がる写真を待つわくわく感とドキドキ感と
できた写真という結果を楽しめる人が増えてきたのは歓迎することだ。

今はまだフィルム写真は
「写ルンです」の軽いブームではあるが、
ここにいる人たちが楽しんでいるような
フィルムカメラによるフィルム写真を楽しむ
ムーブメントが広がりを見せるようになると
いいなと思う。

一過性のブームで終わるかもしれないが、
手軽に楽しめるフィルム写真から
もう一歩踏み込んでみてほしいと思う。

※見出し画像はキヤノンEOS7というフィルム一眼レフカメラで撮影した写真です。

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