【著作権】自由に利用できる場合(教科用図書等)
著作権を自由に利用できる場合をこれまで述べていますが、今回は教科用図書等として利用する場合を取り上げたいと思います。
公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書に掲載することができる、とされています(33条1項)。
公表というのは、著作物が発行されるなどした場合をいいます(4条1項)。
発行というのは、相当程度の部数の複製物が出版権の設定を受けた者等によって作成されて頒布された場合をいいます(3条1項)。
教科用図書というのは、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書のことをいいます(33条1項・学校教育法34条1項)。
これは小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校及びその高等部で用いるものをいいます。
要するにこれら学校で用いる教科用図書において学校教育の目的上必要な範囲であれば自由に他人の著作物を利用できるわけです。
そしてこれは高等学校の通信教育用学習図書及び教科用図書に係る教師用指導書に掲載する場合も同じです(33条4項)。
そして教科用図書のみならず、教科用図書代替教材、つまりデジタル教科書においても掲載したりするなどの利用ができます(33条の2第1項)。
ただし、著作権者への通知というものが必要となっています(33条2項、33条の2第2項)。著作権者には知らせることになっているわけですので、知らないうちに掲載されるということがないようにということになっています。
また、通知だけではなく、補償金を支払うことになっています(33条2項、33条の2第2項)。これもただ知らせるだけでなく、著作権者の利益にも配慮していることになっています。
この補償金は文化庁長官が算出方法を定めることになっており、定めたときは公表するものとされています(33条3項、33条の3第3項)。
どんなものなのか興味がある方は以下の文化庁の情報を見てみると面白いと思います。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/1415005.html
今回はここまでとします。読んで頂き、ありがとうございました。