摂食・嚥下チームアシスタントレポートVol.3 「呼吸と嚥下」〜腹圧の評価③〜股関節と骨盤
はじめに
摂食嚥下チームアシスタントレポートにお越しいただき誠にありがとうございます。
前回は呼吸機能や咳嗽力の土台となる腹圧(腹部の張り)を高めるためにはインナーマッスルの1つ横隔膜、骨盤底筋群と骨盤に注目してお伝えさせて頂きました!
前回のレポートはこちら⬇
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今回も「呼吸と嚥下」〜腹圧の評価と治療vol.3〜股関節・骨盤と題しまして股関節に注目してお話の続きをしていきたいと思います。
前回の振り返り
腹圧とは腹部のベースの筋緊張(筋の張り)のことで、風船をイメージするとわかりやすかったですね。腹圧を高めるためにはインナーマッスルの横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群が働きます。腹圧が低いと姿勢が保てないので円背や反り腰になってしまう方もいらっしゃいます。また咳嗽力の低下にも繋がります。そのため、これらの筋の評価が大事であるということがご理解いただけたのではないかと思います。
前回は骨盤底筋群と骨盤に注目してお話をしましたが、今回は骨盤底筋群と股関節に注目してお話していきます。ここではお尻が閉まりやすい姿勢が骨盤底筋群の張りがあり働きやすい姿勢だととらえてお話していきます。
股関節内外旋での腹圧実技
①股関節の内外旋の可動域を診る(外旋した時に殿筋が働くか)
*触診のポイント*
股関節内外旋時のポイントは大転子を把持しその手から大殿筋が働いて(収縮して)いるかを感じ取ることが大事です。
骨盤前後傾と骨盤底筋群の繋がり
ここでは骨盤前後傾と骨盤底筋群の繋がりについては話していきます。まず骨盤底筋群は横隔膜、腹横筋、多裂筋等と同時に腹圧を高める作用があります。腹圧が高まると、呼吸や排泄、ADL動作時に関与します。
では繋がりについて考えていきます。
骨盤後傾すると骨盤底筋群は働きやすくなります(下の図参照)
反対に骨盤前傾すると骨盤底筋群は抜けてしまいます。代償として腰椎が前弯し後面筋(脊柱起立筋、多裂筋等)が優位に働きます。
まとめ
今回は嚥下障害の誤嚥防止機構向上させる為に咳嗽能力や呼吸機能を向上させる基盤となる腹圧を骨盤底筋群に関連する「股関節・骨盤」の視点から見ていくことをお伝えしてきました。
今回のポイントは以下の3点です。
①座位で腹圧を高める際は股関節内旋位、臥位で腹圧を高める際は股関節外旋位を評価する。
②股関節内外旋時のポイントは大転子を把持しその手から大殿筋が働いて(収縮して)いるかを感じ取ることが大切。
また大殿筋と股関節外旋筋までの触知が大切。
さらに股関節外旋筋と骨盤底筋群の筋膜連結が強い事からも触知が臨床上では重要。
③骨盤前後傾と骨盤底筋群の繋がりについては骨盤後傾すると骨盤底筋群が働きやすい。
おわりに
同じ嚥下障害に悩む患者様を担当されているセラピストの皆さんに一人でも多く、知っていただき、一緒に嚥下障害を治療していく仲間が増えることを私達摂食嚥下チーム一同願っております。
一人でも多くの皆さんに知っていただけるよう、私達の活動を応援していただけると幸いです。
今後も摂食・嚥下アシスタントレポートを宜しくお願い致します。
ごあんない
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