夜景撮影に手招きされて
夜景、それは時を忘れ、心を奪う存在。
一人で眺めるときも、誰かと一緒の時も、私たちをさっきまでいた空間から切り離し、独特な雰囲気で包み込む。
カメラで夜景を撮影するようになると、さらに夜景の魅力に取り憑かれる。
私もその一人である。
今日は、私が感じた夜景撮影の魅力を語りたいと思う。
都市夜景
夜景で思い浮かべるのは、人工的な光の集まりだろう。人が発する光、つまり人の営みを目で俯瞰的に感じることができる。それを感じられる被写体こそが都市夜景ではないだろうか。
働く人がいて、ショッピングを楽しむ人がいて、タクシーでどこかへ行く人がいる。普段の生活では感じにくい、同じ時間に生きる人の多様な行動・生き方で夜景が作られているように思う。
時の移ろいを切り出して
夜景撮影はなにも夜だけが本番ではない。
日が落ち、青から赤へ近づき、黒へ変わっていく。
日中から夕方へ。夕方から夜へ。
時が移ろう都市の姿を切り出すことができる。
日が沈むと訪れるマジックアワー。
1日が終わっていく物寂しさを感じる時間。
赤色が紫色になり、ゆっくりと黒くなる。
このもどかしい時間を写真で記憶するのも夜景撮影の魅力。
「動く」を記録する
写真は目の前の一瞬を切り取ったもの。
これは正解だが、不正解でもある。
動くものの様子を描き、切り取るのはその空間。
静と動が混在する様子は、その場の光だけではなく、音さえも感じさせている気がする。
そして、鉄道などが描く光の線は、人の動きを記録する。
普段は何気なく横を通る電車には気を留めない。
夜景を撮る時は電車の存在に注目し、あらためて人の存在を認知する。
夜景の魅力は都市だけのものじゃない
都市から離れるとビルの灯りは見えなくなる。
周囲も暗く感じるように。
それと反するように道路の灯りが目立つようになる。
暗闇に浮かび上がるインフラが、我々の生活を支えていてくれる存在であることを思い出させる。
新たなものが生まれ続ける工業地帯も、
無機質ながら温かみのある光を発している。
工業地帯の周辺は住居やオフィスの密度が低いことが多く、明明と光るその姿は眩しいくらいにその存在が浮かび上がる。
夜が魅せるスナップたち
俯瞰的な夜景ではなく、自分目線のスナップも夜は日中とひと味違う。
よりドマチックに、かつクールな写真を撮ることができる。
日中の喧騒から離れるからこそ、ストーリーを感じる写真が生まれる。
小雨が降る道を歩いていると見つけたこの景色。
晴れていれば、多くの人がここで憩う。
この日は私一人だけがこの情景を楽しんだ。
写真で見るからか、記憶よりも綺麗に見える。
湿度を感じ、雨の匂いを感じる。
ライトの光とのコラボでそう感じるのだろうか。
さいごに
ここまで、夜景撮影の魅力をつらつらと書いてきた。
夜景撮影はこだわり始めると大変だ。
・増えていく機材
・俯瞰撮影のために山登り
・編集ソフトの購入と使い方の勉強
そして…
なによりも撮影にかかる時間が長い。
シャッター幕を15秒あければ、書き込みに同じぐらいかかる。
複数枚を合成して1枚の作品を作り上げるために撮影に30分かけることも。
それでもやめられない。
やればやるほどのめり込んでいく魅力が夜景撮影にある。
カメラを始めたけど、夜景撮影にまだ手を出せていない方。
ぜひ夜景撮影に挑戦を。
カラフルな夜があなたをお待ちしています。