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金木犀の香る季節に

Threadsだったかな、金木犀についてのポストが(多すぎてってことだと思うけど)気に障るとか辟易するとかっていうスレッドが話題になっていたみたいで、重ねて最近では「北海道には金木犀がない」という話題も盛り上がっていたようだ。

僕は四季の中でも秋がいちばん好きなもので、金木犀の香りが空気に混じるのを感じると、ようやく本格的な秋が近づいて来たぞと密かに喜んでいる──と言えば日々を丁寧に暮らしているような印象だが、正直に白状すると、金木犀の香りが初秋の楽しみとなったのは40代になってからのことだ。

それまで、金木犀の香りは特に季節感と結びついてはいなかった。キンモクセイという植物の名前は知っていたけど、花の色や見た目もよく知らなかった。それこそもっと若い頃は「なんだか芳香剤みたいな匂いがするな」くらいに思っていて……要するに興味がなかったのだ。

金木犀が初秋のアイコンのようになったのは、妻と付き合いはじめてからのことだ。散歩中に恋人が「金木犀のいい香りがする」と言えばどんな花なのか興味が湧くし、一度興味が湧いてしまえば、その鮮やかな香りと明るい橙色の花が季節感と結びつくのは簡単である。

余談になるけど、結婚後に妻が受賞して、小説家としてのデビュー作となった「世界から守ってくれる世界」の表紙にも、金木犀の花が舞っている。金木犀の香る季節に、良かったら手にとってみてください。

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