PIVOTアプリ Ver2.0はこう生まれた(組織とプロダクトを同時に作る編)
プロダクト開発とは、不確実性と常に向き合う活動です。
今日は、そんな不確実性と私が「どのように向き合っているか」という考え方をユースケースも交えて共有できたらと思います。
具体的には、先日発表したPIVOTアプリの本格始動の裏側で組織とプロダクトを同時に作るという2つの不確実性の中で意志決定を進めてきた話をユースケースにPMの意志決定の追体験をしていただけたらと思います。
関連した企画・プロダクトマーケティングについては、ここではお話しませんので、前回の記事に預けます。
私の不確実性との向き合い方
先に結論です。
私の不確実性との向き合い方は、自分の中での「意志決定プロセス」に集約しています。
全ては、以下の意志決定プロセスに沿って、必要なときに必要なアクションを行なっています。
① 意志決定のプランを複数用意する
例:Aプラン、Bプラン、Cプランを用意
② プランごとの起きる可能性を常に考える/更新する
例:Aプラン70%、Bプラン10%、Cプラン20%など)
③ プランが選択されるトリガーはなにか/いつかを見極める
例:10/30までに採用ができたらAプランの確率は10%上がり、Bプランが10%下がる
④ それに合わせた対策をうち、不確実性を下げる
例:Aプランの場合は問題ないが、Cプランになった場合を考えて先んじて〇〇のアクションをする
私の脳内では常に上記が刻一刻進むごとに変化しているイメージです。
では、ここから実際にどんな出来事でどんな意志決定を行なったか見ていきましょう。
ケーススタディ:PIVOT App 2.0
さて、今回はPIVOT App2.0というケーススタディを下に見ていきましょう。
再三になりますが、実際にどんな背景で何をしたのかは、1つ前の記事に預けます。
さて、時系列でいうと、今流れでした。
※ 小さいのでタップ/クリックして拡大してみてください。
それでは、1つずつターニングポイントとなった意志決定を見ていきましょう。
意志決定①:完全内製への移行タイミング
まず大きな意志決定は、完全内製への移行でした。
移行自体は遅かれ早かれ実施することは決めていものの、スケジュールを決めるのは自分自身。特に誰から急かされることではありません。
ただ、プロダクトをより良くするためには、高速なPDCAサイクルを回すこと。開発においては、アジャイルに進行することが私の経験からも必須でした。
その移行タイミングの意志決定を行ったのは、2023年5月。このときに2024年1月1日から完全内製にすると決めました。
この時の状況はこんな感じでした。
このときに私の脳内はこんな感じでした。
上記の状況であれば、どのプランでも破綻することはないだろう。
PLAN-A、Bでも80%なので、現実的だろう。
そう考え、以後のプランは「2024年から内製前提」での計画を立てるようにしました。
では、結果的にどうなったかというと・・・PLAN-Bに落ち着きました。
やったことは以下です。
意志決定②:iOS/Androidメンバー不在の中でのアーキテクチャ設計
そして、リリース目標から逆算し、程なくして設計がスタート。
開発におけるこのときは、エンジニアはWebエンジニア2名。
Appエンジニアがいないという状況でこんな不確実性に直面していました。
ただ、我々に強い味方がいてくれました。
もともと組織づくりのポリシーとして、「自社内で完結せず、世間のベストプラクティスにいち早く近づく、そのために有識者の方々の力を積極的に借りる」
という考え方を持っていました。
その中で、技術顧問としての川島さんの存在がとにかく大きく、その御蔭で私の脳内はこんな状況でした。
結論、川島さんのおかげもあり、問題なくやりきれました(PLAN-A)。
その後、Appエンジニアも入社するわけですが、その時点では、軽い修正はあるものの基本設計方針はブレずに進行できました。
意志決定③:Youtube目標達成+資金調達前提の目標設計
さて、最後に7月のお話をしましょう。
組織⇒エンジニアリングときて、最後は事業の話です。
前回の記事でも書きましたが、PIVOTはある一定の周期ごとにPhaseを区切っており、もともと目標として、「23年中に100万チャンネル登録 + 10億円以上の資金調達」というものをおいていました。
ただ、2023年6月時点では、チャンネル登録者数はは1年で50万人という増え幅。この倍の速度で、半年で50万人獲得が必要という一見すると厳しい状況でした。
このときの私の脳内はこちら
見ての通り、ズレにしてもやることは変わらない。
そして、PIVOTの優秀なマーケチーム、映像チームを考えると、問題なくクリアできる自信がありました。
仮に、登録者数未達でも、「開発できる時間が伸びるだけ」と考えると、寄りスコープを増やせるというプラス要素とも捉えられました。
結果的には、これまでの発表の通り、いずれも達成です。
そして、当初は2024年1月にリリースを予定していた PIVOT App2.0も、そのスコープ内容を広げて2月にローンチするに至りました。
つまりこういうこと
というわけで、ここまでPMとしての私の意志決定の考え方をケーススタディをもとにお伝えしました。
はからずも、重要な意志決定それぞれが、「プロダクト組織」「プロダクト開発」「事業開発」という3つの分野の重要な意志決定が立て続けに起こったことになります。
しかし、私の中では焦りも不安もありませんでした。
それは、常に「複数のプラン」と「その確率」「トリガーとなるできごと」が見えていたからです。
これを読んでいただいたPM、いや役割を超えて不確実性と向き合い悩んでる方にはぜひこの考え方を試してみることをおすすめします。
本件のみならず、PIVOTでの実践をもとにしたプロダクトマネジメントや組織開発のお話に関するたくさんのご相談ありがとうございます。
引き続き、いろいろとお話できますので、イベントのご依頼など含め、ぜひDMでいただけたら嬉しいです!
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主にPjM、PO、セールスエンジニア、AWS ソリューションアーキテクトなどを務める。「映像業界の働き方を変える」をモットーにエンジニア組織を超えたスクラムの導入、実践に奔走。DevLOVEなど各種コミュニティーにおいてチームビルディングやワークショップのファシリテーションを行う