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「突然銀行から来て何をしてる!お前のおじいさんはパインを育てるところからここまできたんだ!」:銀行から沖縄フルーツランドへ、ファミリービジネスにおける転換点となった農業3年間のお話
2001年9月アメリカ同時多発テロが発生し、沖縄観光も大変な影響を受けました。
当時は琉球銀行に勤めており、取引先のホテルへお伺いしたのですが、
ホワイトボードに書かれていた予約がどんどん消えていきました。
心配になり、沖縄フルーツランドに確認してみると、
同じようにキャンセルが重なっておりました。
それから数ヶ月後、父から連絡がありました。
話の内容は、「フルーツランドで働かないか」との打診でした。
テロの影響が大きかったのは理解していましたが、
銀行での仕事は、上司や同期同僚にも恵まれ、
もっと経験を積みたかったので、断ることにしました。
それから一年後、
先に沖縄フルーツランドへ入社していた弟から連絡がありました。
「兄貴、助けてくれないか・・・」
弟からの声は断る事ができませんでした。
半年後、色々な覚悟を持ち沖縄フルーツランドへ転職しました。
まずは、日中スタッフさんと一緒に働きながら、
夕方にかけ数字をチェックし、
観光業の特殊性や動きを理解していきました。
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さて、
そんなある日、従業員同士の懇親会がありました。
私は、「施設管理」の方々と一緒の席でした。
施設管理は、フルーツを生育や園内施設の管理を行う部署(農業法人)です。
夏の暑い日や冬の寒い日も体力的に一番大変な仕事です。
最初は和気藹々と楽しく飲んでいました。
しかし、時間も経ち、お酒も入ったからだと思いますが、
メンバーの一人が強い口調でこう言いました。
「お前のお爺さんや親父さんは、
パイナップルを育てる所からここまで来たんだ!
その苦労が分かるのか!
突然銀行から来て何をやっている!!」
私は、フルーツランドと同じ歳です。
小さい頃から働いている方々とは身近に過ごしていた為、
その気持ちは直ぐ理解できました。
素直にその方々を納得させなければならないと感じました。
早速・・・
翌日から農業法人の仕事につきました。
パイナップルの植え付けから収穫まで、園内の造園や整備など、
常にスタッフさんがやっている以上の仕事を心がけました。
初日は熱中症になりましたが、日を重ねるごとに体は慣れていきました。
季節ごとの仕事を覚えていき、2度目の季節を迎える頃には、
改善に向けての動きもかなりできるようになりました。
農業は一言で言うと、自然との戦いです。
まず、体力的に強くなくてはいけません。
肥料や造園など勉強することは山ほどあります。
一番難解なのが、自然環境との対話と予想。
毎年パイナップルを植え付けても同じ環境はありません。
土壌や天候、実の生育時期、全て異なります。
それがうまくいっても、台風で全てダメになったりと、まさに自然との戦いです。
しかし、大変多くの事を学ぶ日々でした。
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さて、
3年ほど経ったある朝の事です。
いつものように一日の仕事のイメージしていたら、
以前、厳しい言葉を言った方が話しかけてきました。
「安里さん・・・、
参った・・・、
あの時はすいませんでした。
もう、元の仕事に戻って下さい。
これからもお願いします!」
あの日の言葉を謝りに来ていたのです。
そして、おそらく、
その方は、他の部署の方々にも私の事を話してくれたのでしょう。
それ以降・・・
他の部署のスタッフさんからも、
全面的な協力をいただけるようになりました。
農業に携わる部署は体力的にきつい仕事です。
だからこそ、施設管理で働いている方々の「声の影響力」は大きかったのです。
さて、この農業の経験から、
フルーツの「調和」というテーマが生まれ、
トロピカル王国物語誕生へとつながっていきます。
そして、フルーツ園を「絵本の世界にしていく」と言う突拍子もない話も、
一切の反対もなく、皆様の協力のもと創る事ができました。
施設管理(農業法人)での経験は、
ファミリービジネスにおける大きな転換点を実感する出来事でした。
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