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食事性マグネシウムが一過性受容体電位メラスタチン6チャネル(TRPM6)のアップレギュレーションを通じて実験的マウス大腸炎を緩和
概要
背景
マグネシウム(Mg)は人間の健康に欠かせない必須栄養素であり、主に腸で吸収されます。炎症性腸疾患(IBD)ではマグネシウム不足が発生する可能性が高く、またマグネシウムが炎症を調節する役割を持つことが報告されています。本研究では、マグネシウムの利用可能性が腸の炎症の発症や進行にどのように影響するかを検討しました。
方法
IBD患者の病状活動性とマグネシウム状態の相関性を調査するため、原子吸光分析法を用いてマグネシウム血症を測定しました。また、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎を用いたマウスモデルで、食事性マグネシウムの調節効果を評価しました。評価項目には、マグネシウム血症、体重、便潜血、下痢、大腸の長さ、組織学的所見が含まれます。さらに、マウスの大腸組織における一過性受容体電位メラスタチン(TRPM6)チャネルの発現をリアルタイム逆転写PCRおよび免疫組織化学法で評価しました。ヒト結腸細胞株を用いて、マグネシウムが上皮バリアの形成や修復に与える効果も調査しました。
結果
IBD患者では著しいマグネシウム不足が認められ、血清マグネシウムレベルは疾患活動性と逆相関していました。マウスでは、マグネシウム欠乏食が低マグネシウム血症を引き起こし、DSS誘発大腸炎を悪化させました。大腸炎は粘膜損傷やTRPM6発現の減少により腸でのMg²+吸収を著しく損ないましたが、マグネシウム補充により粘膜の完全性とチャネル発現が改善されました。
結論
本研究結果は、IBD患者におけるマグネシウム血症の評価と是正の重要性を強調しています。マウスモデルの結果から、マグネシウム補充が炎症を軽減し、正常な粘膜機能を回復させる安全かつ費用対効果の高い戦略となる可能性が示唆されます。
source
https://academic.oup.com/ibdjournal/article-abstract/24/10/2198/4999657?login=false