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ビタミンD、腸内細菌叢、および炎症性腸疾患
要旨
ビタミンDは骨代謝において重要な役割を果たしますが、最近では免疫調節因子としても注目され、さまざまな自己免疫疾患やその抗炎症作用に関する研究が進められています。
ビタミンDが消化管の炎症を調節できるという証拠がいくつか存在します。さらに、ビタミンDが腸内細菌叢に影響を与える可能性も以前の研究で示されています。
このレビューの目的は、ビタミンDが炎症過程に及ぼす影響、特に炎症性腸疾患(IBD)および腸内細菌叢との関係について評価することです。
疫学研究によると、血清ビタミンD濃度が高い個人はIBD、特にクローン病の発症率が低いことが示されています。
また、ビタミンDはカテリシジンや**DEFB4(デフェンシン・ベータ4)**の転写を変化させ、これが腸内細菌叢に影響を与える可能性があります。
免疫系の複数の細胞タイプがビタミンD受容体を発現しているため、ビタミンDを用いた免疫調節の可能性が示唆されています。
さらに、ビタミンD欠乏は腸内細菌叢の異常(ディスバイオシス)を引き起こし、重度の大腸炎を誘発することが報告されています。
ビタミンD補充療法は低コストで利用可能であり、治療の選択肢となり得ると考えられます。