最新｜腸内細菌叢とコレステロール値の意外な関係

Analysis by Dr. Joseph Mercola

要点まとめ
> 最新のフラミンガム心臓研究によれば、腸内微生物叢がコレステロール値に大きく影響を与え、Oscillibacterなどの細菌が特定の酵素や代謝プロセスを通じてコレステロールを分解することが確認されました。

> 科学者たちは腸内細菌に存在するコレステロール脱水素酵素（ismA遺伝子）を特定し、これがコレステロールをコプロスタノールに変換することを発見しました。コプロスタノールは体内で吸収されにくい形態です。

> 特定の腸内細菌は非HDLコレステロール値に直接影響を及ぼします。たとえば、Eubacterium rectaleはコレステロール値を下げるのに役立つ一方、Clostridium sp CAG_299は値を上昇させます。

> コレステロールは細胞膜構造、ホルモン生成、ビタミンD合成、神経信号伝達などの重要な体内機能に関与しており、その最適化が重要です。

> 心臓の健康を維持するためには、酸素のない腸内環境を保ち有益な細菌をサポートすること、加工食品を避けること、ストレス管理、そして活動的なライフスタイルが求められます。

腸内健康が心臓の健康に与える影響

あなたの腸内の健康が心臓の健康に深く関わっていることをご存じないかもしれません。しかし、名高いフラミンガム心臓研究の最新の研究によると、腸内に存在する微生物群がコレステロール値に大きな影響を与えていることが明らかになりました。

1,429人の参加者の便サンプルと代謝プロファイルを詳細に分析した結果、腸内微生物と心臓の健康との複雑な相互作用が解明されました。この包括的な研究は腸内細菌と血中脂質レベルとの関連を示し、腸内微生物の組成がコレステロール値に大きく影響することを明らかにしています。これにより、個々の健康戦略を最適化する新たな道が開かれました。

コレステロール代謝を担う腸内細菌の役割

腸内に存在する多種多様な細菌の中でも、Oscillibacter属がコレステロール代謝の重要な役割を果たしていることがわかりました。この研究では、Oscillibacter属の細菌が多い人ほど、血中および便中のコレステロール値が低い傾向にあることが確認されました。このことは、これらの細菌が体内でコレステロールを分解し、その蓄積を減少させる役割を果たしていることを示唆しています。

さらに、研究者たちはホモロジー検索や分子ネットワーク解析を通じて、Oscillibacter属の細菌が産生する特定の酵素を特定しました。これらの酵素は、グリコシル化や脱水素化といったプロセスに関与し、コレステロールを体内で必要な形に変換する働きを持っています。

この発見は、腸内の自然な味方である細菌を利用して、コレステロール値を自然に最適化する可能性を示しています。Oscillibacter属の細菌は、まるで腸内の小さな守護者のように、コレステロールのバランスを維持するために働いているのです。

研究では、これらの細菌が持つコレステロール代謝の特性が異なるOscillibacter株の間で保存されていることも確認されました。つまり、腸内に存在する特定のOscillibacter種に関係なく、これらの細菌はコレステロールを有益な形で処理する能力を共有しているのです。

Oscillibacter属の細菌は便中および血漿中のコレステロール値を低下させ、脂質の恒常性を改善することが示されました。Oscillibacterの成長を促進するような食事やプロバイオティクスを取り入れることは、心血管の健康を支える自然で効果的な方法となるでしょう。

さらに、コレステロール代謝に関与する特定の微生物経路を特定したことにより、新たな治療戦略のターゲットが提供されました。腸内微生物叢の複雑な仕組みがさらに解明されるにつれ、腸内健康を通じて心臓の健康を維持する可能性がますます現実味を帯びてきています。この研究は、より健康的で長い人生を目指して積極的な行動を取る力を私たちに与えてくれるでしょう。