写真と俳句 その四十五
2023年12月18日(月)
あっという間に年が暮れようとしています。皆様、お忙しいと思いますので、お気をつけて、お過ごしください。
さて、私事で恐縮ですが、十一月末に、夫の母が亡くなり、慌ただしくしております。義母の最期は、息子に見守られて、安らかなものでした。八六歳の天寿を全うしました。
認知症について
義母は、東日本大震災の後から少しずつ様子が変わりました。東京もかなり揺れましたので、恐怖心が強かったのだと思います。当時、文京区に住んでいた義母は、地震の後、エレベーターが動かず部屋へ入れなかったため、都営線で私たちの住んでいる最寄りの駅まで移動し、自転車で迎えに行った私と、我々の住む場所へ歩いて向かいました。既に薄暗くなっていました。多くの人々も歩いて移動していました。余震もあったため、何日か一緒に過ごしました。
その後、道で転んでしまってから、歩くことが怖くなったようです。一人で病院へ行くことは少し危なく、付き添いを始めるようになりました。軽い認知症と診断されたため、関係する本を何冊か図書館で借りて、ある程度の知識は得ました。
六二歳の時、脳出血で倒れましたが幸い軽く、問題なく過ごせていたのですが、震災後に脳腫瘍を患ったりと、脳の病気が続いていました。
認知症が進むにつれ、いろいろなことがありました。本で読む知識の中では、なかなか解決できないこともありました。
そんな時、映画『ファーザー』を観ました。このように見えているのだと、とても良くわかったのです。
専門医・看護師・介護士・ケアーマネージャーの方々、老人介護施設に携わる方々は、もちろん、多くを学ばれ、日々研鑽されていますが、自分が認知症の立場として、この映画『ファーザー』を、ぜひ、ご覧いただきたいと思いました。教材にしていただきたいです。より理解が深まると感じます。
ここ二年程は、認知症が進み、私のことはわからないようでした。読んだ本によると感情はなくならないとあったので、私は特に気にならず、一期一会として、会う時は楽しい言葉をかけ、なるべく優しく接するように努めました。それは、確かに伝わり、義母は嬉しそうにしてくれました。
不思議なことに、亡くなる前日には、目も開けず、話もできませんでしたが、以前の義母に戻り、全て、わかっているように感じました。
映画『ファーザー』
2020年 劇場公開 2021年5月14日
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吹き飛ばす 現の夢や 冬の空 広在
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元禄辛未十月、明照寺李由子
宿
当寺この平田に地を移されてより、
已に百歳に及ぶとかや。御堂奉加
の辞に曰く、「竹樹密に、土石老
いたり」と。誠に木立もの古りて
殊勝に覚え侍りければ
百歳の 気色を庭の 落葉哉 芭蕉
ももとせの けしきをにわの おちばかな
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元禄四年(1691年)十一月、彦根市平田にある妙法山明照寺(めんしょうじ)にて詠まれた句。当時の住職は門人の河野李由。このお寺は、近江の多賀庄にありましたが、山之脇村を経て、慶長四年(1599年)に平田へ移ったとされています。
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忌中につき年末年始のご挨拶を失礼させていただきます