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長所と短所への向き合い方

誰にも長所と思う所と、短所と思う所があります。どう使い分ければいいのでしょう。

長所と短所に向き合う

短所を直すには時間が掛かります。なぜなら欠点克服に対して人は前向きになりにくいし、時間が掛かり非効率でもあるからです。また欠点を克服してもそれはマイナスをゼロにしただけでプラスには働きません。それどころかその欠点と表裏の関係にあった長所が消えてしまう心配があります。

学校の入学試験で総合高得点を上げようとすると、各科目で満点以上は取れない関係から弱い科目の強化が必要です。しかし人としての役立ちや使命はその人、独自固有の長所の中にあります。欠点の是正はよほどの高みに達した人にしか意味がありません。世間から見て、会社に求められている役割にしても全ての人が平均点の会社が役立つとは評価されません。

人材育成で大事な点は、人それぞれ個人が持つ独自固有の長所を見付けて、引き出し、伸ばす事です。その際にどうしても気になるのが欠点の是正です。欠点を直そうとすると叱って育てる事になりますが、叱る事による欠点の是正は難しいものです。

短所や欠点には出来るだけ触れないで長所を褒める育て方の方が簡単で合理的です。

自分の長所と欠点について

自分のハゲを喜ぶ人はいません。ただそのハゲさえ長所・利点に変える事はできます。事実私の場合、ハゲの効用を文章にして説得力を持つとしたらそれは私がハゲているからです。一般的に自分の欠点を笑える人には好感や親しみを抱くものです。

弱点とか欠点、長所・強みと言っても、それは所詮脳での条件付けのひとつでしかありません。つまりは錯覚です。錯覚ですからいくらでもその価値を転換させる事ができます。例えば『頭がいい』というものは考え物です。『頭がいい』という自惚れた人間など周りの者にとって、これ程鼻持ちならないものはないからです。『美人』であると己惚れたら折角の美貌も短所になってしまいます。

『これが長所だ』と自分が思うような長所は実は本当の長所ではありません。本当の長所は他人が評価してくれる長所です。『自信のある長所は他人の目には大抵短所として映ります。逆に短所はそれに自信を持てば他人の目には長所として映ります』

そもそも欠点は直らないからこそ欠点なのです。直らないものを苦労して直そうとするのは尊い姿です。ただその欠点の為に脳で感情を司る扁桃核が自分に対して『不快』になるとしたら、それは問題です。自分に対してプラス感情になれない人にはツキや運が来ません。欠点を自慢することでこれを解消しましょう。

短所や失敗を隠す

自分が失敗した話を面白おかしく他人に聞かせる人がいます。恥をさらしているはずなのにアハハと笑いながら彼をバカにする気にはなれず、むしろそんな話をさらっと平気で出来てしまう彼に、人としての器の大きさを感じます。そして親しみが湧きます。それよりなにより自分に心を開いてくれている様な温かい気持ちになります。

小さな事にこだわらず、自分を偉く見せようとしない事がその場にいる人の緊張を解いて空気を温めます。例えばカラオケを絶対歌わない人がいます。音痴だから恥をかきたくないと必ず断ります。むしろそんな事が恥だと思っている狭い了見の方がみっともない事に気付いていません。自分をカッコよく見せようとしている人は、本来の自分をさらけ出せないで窮屈な思いをしているのが表情を見ていてわかります。態度にも現れます。

知らない事があると『この歳にもなって、今更聞けない』などとくだらない事をいう人がいますが、むしろ知ったかぶりをしている姿の方がみっともないものです。『この歳になっても、まだまだ新しい事を知る事が出来るなんて新鮮で素敵だ』と思いましょう。

『難を見るは優を見るに通じる』

これは中国の格言ですが、この場合難は短所で優は長所の事です。『短所を一方向から見ると短所のままで終わってしまいますが、ちょっと角度を変えて眺めるとそれが長所に見える』という意味です。

武田信玄の家臣の一人に大変臆病な人がいました。彼は合戦の度に『負けたらどうしよう』といつもぼやいていました。その為、他の家臣たちが信玄に『あの男がいると士気が低下してしまいます。いっそう罷免してはどうでしょう』と進言したところ、信玄は『罷免ではなく、配置転換を行い、合戦の際の参謀役を務めてもらおう』と返答し合戦の度に彼の意見を聞くようにしました。

『臆病というのは見方を変えれば慎重な証拠だ。そういう人間は合戦の際、最悪の事態に遭遇した時の対処策を講じるのがうまいはずだ。合戦の参謀役にはうってつけかも知れない』実際、その男のお陰で信玄は、その後連戦連勝したそうです。

『短所と長所は表裏一体』これは間違いありません。他人から短所を指摘されたからと言って落ち込んで自信をなくすことなどありません。

例えば『気が強いと言われるが、それは責任感がある証拠』『頑固なところがある人は意志が強い証拠』『飽きっぽいのは柔軟性があるから』というように自分で短所だと思っているところも、発想を切り替えてプラスにしてしまえます。短所が見えるという事は、それを長所に変える第一歩です。結果,『自分の性格はまんざら悪くない』となります。

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