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13.ただの主婦がレ・ミゼラブルを読解していくだけのnote
前回 第一編 12 ビヤンヴニュ閣下の孤独
前回は、ミリエル司教には取り巻きがいない、という話でした。
読んでいくのはこちら
青空文庫
レ・ミゼラブル LES MISERABLES
第一部 ファンティーヌ
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo
豊島与志雄訳
こちらより今回は
第一編 正しき人
13 彼の信仰
を読んでいきます。
第一編 13 彼の信仰
超意訳あらすじ
第一編(13)を私なりにまとめた超意訳あらすじがこちら。
ミリエル氏は金が腐ることのないのと同じように信仰上難しいことがあっても偽善に陥ることはありませんでした。さらに神の教えを超えて過度の愛を持っていました。人間以外の動物や虫までもいつくしみました。
ミリエル氏は生まれつき穏やかな性格だったわけではなく、血気盛んでした。今の温和な性格は彼の長い生涯で心の中に蓄積した結果であり、水滴が石を穿つように人の性格も変わるし、そうしてできた穴は消えることはないのです。
また、ミリエル氏の見た目はほがらかな”好々爺”ですが考え込む姿は威厳があり、まるで天使が羽を広げて微笑むようであり、そんな様子から人々は尊敬の念を抱くのでした。
夜寝る前には庭の散歩をするのが日課でした。無限の空、星を眺めながら神に祈り、宇宙と精神の交換をするのでした。
考察のような感想のようなもの
「彼の信仰」というタイトルの通り、ここまで政治的視点や社会的立場からミリエル氏を見てきましたが神を信じる心的な観点で見るっぽいかんじで、これまでは「こんな素晴らしい人でも難点はある」という感じだったのがべた褒めなように感じました。
個人的に好きな文節の1つが「金剛石はいかなる腐敗もあり得ない」で、これはちょっと前後の話が分かりにくかったけど本質的なところのぶれなさのようなものを感じました。なんかひびきがかっこいいです。
2つ目が「岩石におけるごとく人の性格においても、水の点滴によって穴をあけらるることがある」で、これは故事成語の「水滴りて石を穿つ」を思わせますがフランス語でも同じような表現があるのでしょうか。それと人の性格を同じと言っているのがいいと思いました。人は変われる、これは後にジャン・バルジャンにも大いなる影響を与える考え方ではないでしょうか。
最後に庭の散歩をしているところで「空を天井とするその狭い宅地は、神を、(略)、礼拝するには十分ではなかったか。」私の基準だと決して狭くないお庭だと思うんですけど、荘厳きらびやかな礼拝堂でなくてもよいではないかというのがミリエル司教らしくて素敵だなと思うのと、深夜に一人庭に出て天を仰ぎ無限の世界を感じ、星に祈る光景が映像のように浮かぶ美しい文章でした。半分くらい意味わからないけど。ちなみにこの当時とっくに地動説は唱えられているし、大航海時代も終わってるし、文中で物質を作り出す原子…のようなことも言ってて元素の定義がフランスのラボワジェにより1789(革命の年だね)に唱えられているのでもうそういった考えが世の中にあるのだな~と思ってこの時代の解像度がまた一つあがりました。
次回 第一編 14 彼の思想
ついに!第一編正しき人最後の節です!ミリエルのターン終わるよ~
読んでくれてありがとうございます。1人じゃ心折れそうなので…。
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