見出し画像

ニンジャの話 その11 青少年道場

病気で入退院を繰り返していた父でしたが、古民家改修プロジェクトが開始してからミルミルうちに健康を取り戻しました。元々身体は強く基礎体力があったのでしょう。改修プロジェクトでもたらされた適度な運動、綺麗な空気、さまざまなアイデア実現への希望という3点セットの効き目は抜群でした。元来活動的な父は回復後さまざまな活動を行います。私の知らないことも多いのですが子供の目から見てもすごいなと思うのは講演活動でした。

スポーツで培った組織づくりのノウハウを題材にした「リーダーシップ論」は父の十八番の題目でした。生まれ持っての話好きな性格と大学で教鞭をとった事による人前でのお話の慣れで、父の話術は芸人の域(笑)に達しており父の講演は「泣ける!」と評判になり年間に100本を超える講演をこなす売れっ子芸人(いや演者)になりました。

泣ける講演の内容は後日のNOTEに譲るとして、この講演を通じて父はさまざまな人と知り合い、そしてその講演中に古民家プロジェクトの話をします。古民家は話し上手の父の得意ネタとなりました。考えてみればこの古民家は大変オーナー孝行な物件です。父に健康を与えてくれただけでなく、講演のネタまで提供して稼がせてくれるのですから! 間違いなく言えることは購入金額分以上の稼ぎは父とその家族に与えてくれていたことでしょう。講演の鉄板ネタとなった古民家には当然ながら興味を持った方たちが訪れるようになります。古民家は徐々にお客さまをお迎えするようになりました。労働力という意味ではなく本来の意味でのお客さまです(笑)。その中には小牧市の青年会議所の方々がいらっしゃいました。

その頃、父はイギリスの三圃式農業からインスパイアされ三圃式教育という持論を持っていました。これは教育現場は3つのフィールド(すなわち海、山、街の三圃)をローテーションしそれぞれでその場所に合った経験、体験をさせて成長を促すとともに回復させるという考えです。父の頭の中では古民家はこの「山」にあたっていました。

講演内でも山での生活体験がいかに子どもの成長に有意義かを説いていたのでおそらくこれが青年会議所の方々にはヒットしたのでしょう。瞬く間に話が進み、なんと古民家は正式に「青少年道場」の冠を得て小牧JCの小学生の子供さんたち約40名を夏休みに間の4日間の合宿場所になることが決まりました。

お迎えする側の私たちのことをほぼ考えずにスタートしたこのプロジェクト。”即決行動準備無し”の父の”あるある”です。やると言ったからには実現しなければなりません。猛烈なスピードで合宿のための寝具・食器などなどを揃えます。また40人もの子供を4日間預かるのには危険防止のために人目と人手が必要です。ここで力を発揮したのが昨日ご紹介したキャンプカウンセラー部の方達でした。

カウンセラーと名のつく通り、人とのコミュニケーションはお手のもの。山の生活や体験などのサバイバル知識も持っています。「くまさん」はじめとした大学生のお兄さん、お姉さんは小学生にとっては格好の憧れでありまた遊び相手です。40人の子供たちは古民家におとづれるなりすぐにチーム分けされお兄さん・お姉さんたちと山遊び、川遊びに興じます。お腹が空くと自炊です。寝るときも一緒です。瞬く間に小学生たちはカウンセラーさんたちのトリコとなりカウンセラーさんたちには親衛隊のような小学生部隊が組成されました。まあ、平たくいうと「モテモテ」でした。カウンセラーさんたちもとても嬉しかったらしくとても和気藹々、4日のプログラムは見事な成功。帰りたくないと泣く子供たちをバスに押し込めて怒涛の青少年道場は初年度を終わります、、、、初年度?? そう、翌年、前年の参加者の熱い希望によりこの青少年道場はカウンセラーさん1期生が卒業するまでの4年間渡り行われ、古民家の夏の恒例行事となったのでした。

続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?