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もしも30年前に戻れるのなら~2022年11月に読んだ本から

読んだ本を忘れないため、毎月、読んだ本の中から 印象に残った本 を 記事にしている。
11月も、3冊。

1 ハラヘリ読書 宮田ナノ

茉莉まりさんの 「エヴァミルクにグラニュウ糖」。
村上春樹さんの 「コーヒーとドーナッツ」。
石井好子さんの骨だけになった 「カレイの煮付け」。
角田光代さんが苦手だった 「ホワイトアスパラガス」。

お話の中の「食べ物の描写」が大、大、大好きな著者・宮田ナノさんが、いろいろなお話に出てくる おいしそうな食べ物たちを描いたコミックエッセイ。

趣味は読書だけど、それほど多くは読んでこなかった。ぼんやりした 気楽な本読みであります。

と、宮田さんは自分のことを書いているが、全くそんな風には感じられない。古今東西の作品を取りあげ、何よりも「食べ物」中心とはいえ、こんなに記憶に残っていることに感心してしまう。

かくいう私、記憶に残っている「おいしそうだった食べ物」と言えば・・・ううう・・ぐりとぐらの「カステラ」しか思い浮かばない。

茉莉まりの「エヴァミルクにグラニュウ糖」「シュウクリイム」「フランボワァズ」と圧倒的にエレガントな世界。

内田百閒ひゃっけんの「おかうこ かりかり お茶漬け さぶさぶ」。

茉莉まりさんも 内田百閒ひゃっけんさんも その著作を 手にとったことものない作家さんなのだが、この「ハラヘリ読書」を読むと、何だか読んでみたい気持ちが むずむずとわき上がってくる。


ナルニア物語も取りあげられている。

一度食べると、ますます食べたくてたまらなくなる魔法 が かかっているプリン。

ビーバーが用意してくれたのは、とりたて魚のフライに 好きなだけバターをつけて食べるジャガイモ。


ナルニア物語は、全巻読んだはずなのに、まるっきり中身を覚えていないお話。
「え?こんな食べ物も出てくるの?やっぱり ナルニアは読み直さなきゃ」と心に誓う私。
(もう何回目かわからない誓いなんだけど。)

巻末に載っていた、「日々郷愁」も心にとまる。

宮田さん、小2のとき、「かさこじぞう」の ある一文に衝撃を受けたという。
「かさこじぞうに 衝撃を受けるような文があった? おじぞうさんが歩いてくるところ?」と思った私。するとそれは、

それから二人は つけなかみかみ、おゆをのんで やすみました。

だというのだ。

年越しのために作ったかさが売れなくて、かさをおじぞうさんにかぶせて帰ってきたおじいさん。そんなおじいさんを全く責めないおばあさん。その二人が寝る前の一場面だ。

老夫婦の「シンプルライフ」を「マジでかっこいい」と思い、それからお茶、梅干し、ぬかづけ等を好むようになったという宮田さん。
う~ん、なんとしぶい小学2年生か!


2 セカイを科学せよ 安田夏菜

ミックスルーツのミハイルは、できるかぎり地味に、自己主張は極力抑え、海底のヒラメみたいにひっそりと生きてきた。

やはりミックスルルーツの転校生の葉奈。好きなものは「ムシ」。
彼女の持ってくる「ムシ」たちは、「教室のあちこちから悲鳴があがる」し「保護者からもクレーム」がくる。

二人が入っている「科学部」の生物班が 活動停止の危機に。それを阻止するには、何か飼育している「ムシ」について「科学的にまとめて」発表しなければならないのだが・・

読書会で教えてもらった一冊。

何が、おもしろかったかというと、廃部の危機を脱するために、科学部が研究発表にとりくむところ。

研究対象としたミジンコの「心拍数」をどうやって数えるか、それまでほとんど交流がなかった部員同士が、知恵を出し合ってその方法を考えていく。

ミジンコの心拍数なんて、なかなか上手く数えられるものではない。
顕微鏡をのぞきながら 心拍数に合わせて 鉛筆で点を打っていく。
動画にとれたら、スロー再生できるのではないか?
その動画は、どうやってとるんだ?

こういう実験に わくわくしちゃった自分に驚いた。
そういえば、私、高校の時、理化学部にも入っていたんだった。
このお話の科学部よりも さらに何の活動もしなかった部だったけれど、「実験」とか「観察」というのが好きだった自分を 思い出すこともできた一冊だった。


3 リセット  垣谷美雨


同じ中学高校だった40代後半の女性3人。知子、薫、晴美。
「こんなはずじゃなかった」とそれぞれの生活に不満を抱えていた。

ところが、その3人がそろって、現在の記憶をかかえたまま、30年前の高校3年生にタイムスリップする。
今度こそは、「同じ失敗をくりかえさない」、「やりたかったことをかなえたい」と人生をやり直す3人の選んだ道は?そして結末は?

「今の記憶をもったまま、若いころに戻ってみたい」

私も、何度も思ったことがある。身体が動くうちに、頭も柔軟なうちに、もっともっといろいろなことに挑戦してみたかった。経験してみたかった。


その願いがかなった3人。

30年も人生を重ねたんだもの、当時よりは、人生の判断も的確にできて、以前より満足度の高い生活を送れる という話になるのかと思っていたら・・・・・・そうでもなかったのが このお話のおもしろいところ。

3人とも新しい人生では、努力もし、同じ失敗をしないようにも気をつけ、以前とは全く違った人生を歩み出す。

知子は、もちろん以前の人生で、夫だった浩之とは結婚しなかった。しかし、薫が浩之と結婚する。
すると、知子の夫だったころの浩之と、薫の夫になった浩之とは、別人のように性格が変ってしまったのがおもしろかった。

以前と違った人生をやり直してから17年。 
再び、3人に選択の時が訪れる。
もう一度 高校生に戻って 人生をやりなおすか?それとも 一番最初の人生に戻るのか?

・・・・・・・・・・・・

なるほど、3人はその道を選んだか。
タイムスリップしたことは、無駄じゃなかった、自分の人生を変えていく力を得ることができたと、最後には爽快感を覚えたお話だった。



今年は、雪が積もるのが遅いなあ。いいぞ、いいぞこの調子で・・・と思っていたら 12月になったとたん、いきなりドサッと降ってきた。

雪よ、全く降るなとは言わない。でも、最初からドサッと降るのではなく、最初は数センチずつの積雪にしてくれないかなあ。そうしたら、徐々に身体を 雪かきに慣らすことができ、こんなに体中が痛いということもないと思うんだけどなあ。

雪道の車の運転が とっても苦手な私にとって、これからほぼ4ヶ月弱、好きなように外出できない日々が続く。

読書の秋は終わったけど、「読書の冬」が始まったと考えることにしよう。
2つ通っていた図書館も、1つは遠いので、雪が融けるまでは行くことができない。
家にある、再読したい本、まだ読んでいない本たちと仲良くしてすごそう。
今度こそナルニアを読めるだろうか。

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くば
読んでいただき ありがとうございました。