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【まいぶっく17】「いちにんまえ」の暮らし~小さなピスケの はじめてのともだち

初めて一人暮らしをしたのは、社会人になったときだ。

「仕事をする」ということだけで精一杯で、「衣・食・住」どれをとっても、きちんとこなしていたと言えない。

いったいあの頃の私は、どんな食事をしていたのだろう・・・覚えていない。田舎で、まわりに食堂やスーパーなどない暮らし。私は何を食べていたのだろう。(ちなみに体重は減らなかった。高値安定。)

家の中はいつもちらかっていたし、住んでいた一軒家のまわりも草だらけだった。
ネズミも出たし、冬はお風呂を何度か凍らせた。

何十年たった今でも、思い出すと恥ずかしい(^^;

* * *

ピスケは ジュムジュム(※)の女の子。
親の家を出て、一人で大きな木の根元の空き家に暮らしはじめた。冬にそなえて一生懸命働いている。そんなピスケにひょんなことから友達ができる。その友達というのが・・・。

(※ ネズミに似ている生き物。「ジュムジュム」というのは、3巻目で初めて出てきた名前とのこと。「ジュムジュム」って何だろう?架空の生き物の名前だと思うのだが・・)

* * *

いろんな実を干して、それを街のお店にもっていき、砂糖、塩など生活に必要なものと とりかえて暮らしていくピスケ。

「ひとに ひつようなものを つくって、かわりに じぶんのいるものを 手にいれる。それができたら いちにんまえだ。がんばれよ。」

お店のカッツさんに 言われた言葉。カッツさんは、ピスケの心強い味方でもある。

一番、心ひかれた場面は、
いっしょうけんめい集めた「実」が 全部だめになり、ピスケがひとり 家の中であばれて 大泣きしているところ。

がんばって、がんばって、がんばってきたピスケ。
気を張って暮らしていたのが、ぷつんときれてしまったのよね。


そして、この絵本、とにかく 絵が素敵で うっとりしてしまう。

街の様子、カッツさんのお店の中、ピスケの家の大きな木、ピスケと友達がよりそっている場面。

その精密さ、色合い、なんともいえないあたたかさ。
一つの絵が、それだけで物語。

作者の 二木(ふたき)真希子さんは、スタジオジブリの アニメーションの原画を担当されていた方だと知って、なるほど と うなずいた。

さらに、二木さんは、上橋菜穂子さんの 「精霊の守人」 シリーズで イラストを 担当されていた方だと知る。
ああ、あの守人の世界を描いた方、バルサを描いた方なのね。

最後の場面。
ピスケは、あたたかい家の中で 両親あての手紙をもって微笑んでいる。かべや天井には、ピスケがいっしょうけんめい集めたのだろう収穫物でいっぱい。テーブルの上には、花が飾られている。

きちんと 暮らしを整えているピスケ。
お店のカッツさんに「『いちにんまえ』になったな。」って言ってもらえそうだね。


1作目の「小さなピスケの はじめてのたび」(1993年)と2作目の「小さなピスケの はじめてのともだち」(1998年)は、ポプラ社から。刊行。
その後、この2冊を2018年に復刊ドットコムが、復刊。
さらに、未完となっていた幻の3巻目 「小さなピスケの はじめてのおてつだい」 が、同じく2018年に復刊ドットコムより刊行されている。

「小さなピスケの はじめてのともだち」
   二木真希子 作・絵
  ポプラ社(1998年)
  復刊ドットコム(2018年)




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くば
読んでいただき ありがとうございました。