舞台は北海道~ZOOMで読書会 その10
10回目の「ZOOM読書会」。
今回も学生時代の友人「🐰さわ」&「🐱MOTO」と 私「🐻くば」が、それぞれ自分で決めたテーマにそって選んだ本を3冊ずつ紹介しています。
<今月のテーマ>
🐰さわ 「鎌倉殿の13人」の予習
🐱MOTO 男女逆転
🐻くば 北海道が舞台の本
過去の読書会はこちら
☆🐰さわ☆
<テーマ>「鎌倉殿の13人」の 予習
1 葛野盛衰記 森谷明子
🐰第1部は長岡京の建設から始まり、葛野の地に都が築かれ、平城帝の時代を経て、嵯峨帝の時代まで。第2部は、平家滅亡まで。
これに、ファンタジーがからんで、フィクションと史実が入り混じって話が進む。
史実はもちろんだが フィクションの部分も しっかり構築され、人物が生きている。
第1部の方が ファンタジー色が強めで、慣れない人は そこで挫折しそう。でも、それが第2部の根底の流れになっているので、流し読みでもいいので 読んでもらいたい。
この時代は ドラマや映画でも あまり取り上げられることはない。あまり知らない時代というのも 面白かった。スマホ片手に わからないことは、調べながら読み進めた。
2 さよ 十二歳の刺客 森川成美
🐰平維盛の娘・さよは、生き残って奥州に渡った。清原家に養女になったさよは、源義経に復讐するため、弓矢のけいこに励んでいた。
頼朝に追われ 奥州平泉に落ちのびてきた義経は、さよを 息子の千歳丸の遊び相手になるよう 申しつけた。さよは 義経のそばで暮らしながら、復習する機会を狙う。
千歳丸との関わりの中で、義経とも交流するようになり、さよの心にも 少しずつ変化が生まれてくる。
この本のようにに 史実をもとにした物語は、大好物。
でも、成功しているものには なかなかお目にかかれない。特に児童書は、歴史的事実を しっかり入れなければならないという制約があるのか、人物が生きていない例が多いように思う。
その点「さよ」は、大成功。さよも生き生きしているし、嫌な奴の義経にもひかれるところがあった。フィクションの部分がしっかりしていたから、「こんなことがあったかもしれない」と納得できた。何より物語としての面白さが損なわれていなかった。
3 言の葉は、残りて 佐藤雫
🐰鎌倉幕府の三代将軍・源実朝のもとに、都から公家の姫・信子が嫁いでくる。信子の導きで和歌の魅力を知る実朝。武の力ではなく「言の葉の力」で世を治めたいと願うようになるが・・。
「鎌倉殿の13人」の登場人物が次々に出てくる。現在放送中のドラマより もっと先の時代だけど、登場人物の人物像と ドラマのキャストとの一致度がすごい。ドラマの俳優さんを 思い浮かべながら読んでも 違和感がなかった。
政子の妹(ドラマでは実衣・宮澤エマさん)が、夫も息子も殺されたという事を考え合わせると、ドラマのあの子が、こんな感じになるというのがしっくりくる。「三谷幸喜さん、この本読んだ?」と思っちゃうくらい。
以前は、実朝と言えば和歌にうつつを抜かし政治に興味を示さなかったと言われていたけど、最近は有能だったと評価されているようだ。この小説もその説を採っている。ドラマでどう描かれるのか楽しみ。
悲劇の結末であるという事を知っているから、「予習」じゃなかったら読まなかったと思う。
でも、実朝の政治、陰謀、争い、歴史的事件と 夫婦のドラマとが 良い塩梅で描かれた物語だった。
🐱「葛野盛衰記」おもしろかったよ。
森谷明子さんの鮎川哲也賞もとった デビュー作 は、紫式部が出てくるの。シリーズ化もされていておもしろいんだよね。それに 葛野一族が出てくる。清少納言も出てきて 葛野一族と関係あるのかもってお話。もう一回読みたいな。
🐻「私、歴史が苦手なんだ」ということに この間気がついたよ(笑)。でも この「さよ」は、おもしろかった。「さよ」に出てくる義経像は、衝撃的だった。大河の菅田将暉さんの義経も、今までの義経とイメージと違うと思うけど、実際はこんな感じだったんじゃないのかなって思うようになったよ。
🐰漫画の「吾妻鏡」読んだことあるけど、それに出てくる義経ってとんでもない人物だったよ。
☆🐱MOTO☆
<テーマ> 男女逆転
1 たったひとつの冴えたやりかた ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
🐱宇宙の図書館のお話。スタートレックみたいに いろいろな星の人たちがいる。そこの図書館司書さんが「昔の地球人について調べたい」と言われた子に紹介した一冊が「たったひとつの冴えたやりかた」
誕生日プレゼントに 小さい宇宙船をもらった女の子が、自分でその宇宙船を改造して 旅立つ。ある謎を解明しにいくんだけど、コールドスリープから目覚めて謎がとけそうになったときに、自分の頭の中に、寄生生物が入ってきたことがわかる。その寄生生物と仲良くなったのだが、実はそれはものすごく恐ろしいものだったことがわかり、どうしたら地球に持ち込まずにすむか考える。
その方法を思いつくのだが、その方法が、「たった一つの冴えたやりかた」
ラストは切なかった。
作者が、女性だったということで、当時、センセーショナルを巻き起こしたらしい。
何回も読んだ本のはずなのに、後半覚えていなくてショック。
2 ざ・ちぇんじ! 氷室冴子
🐱平安時代、正妻と側室にほぼ同時に子どもが生まれる。男の子と女の子。女の子は活発で元気。男の子はおとなしい。「このふたりが反対だったら良かった」と父親は なげく、という「とりかえばや物語」を元にしたお話。男女逆に出仕することになって さあどうなることか。
読みやすく翻案されていて、当時のことも詳しく書かれていると思う。
何回読んでも、氷室冴子さんはうまいなあと思うよ。
3 女の子の謎をとく 三宅香帆
🐱「男女逆転が少女漫画に多いのはなぜか」
「物語の姉妹キャラで 姉が落ち着いていて、妹が元気なのはどうしてか」
というようなことが、エッセイというより、論文ぽく書かれている。
他にも親子関係の話とか、女性二人の主人公が活躍する話とかいう話が出てくる本です。
🐰「とりかえばや物語」は、たぶん田辺聖子さんの本を読んだような気がする。「ざ・ちぇんじ」は、マンガで見たかも。「なんて素敵にジャパネスク」を読んで、「ざ・ちぇんじ」を読んだんだと思う。
🐱「なんジャパ」は、とっても長く連載してたんだよね。
🐰中身は全く覚えていないけど・・
🐻うん、覚えていない。
☆🐻くば☆
<テーマ> 北海道が舞台の本
建物、交通機関、生活・・
ところどころ出てくる 覚えのある風景に
とても親近感を覚えてしまったお話たちです。
1 赤いペン 澤井美穗
🐻「のろいがある。」「勝手に何かを書き始めて、持ち主を眠らせない」「いつのまにか消えてしまうんだって」 町でささやかれる、不思議なペンのうわさ。
中2の夏野は、文学館の人たちや、同級生の春山の力も借りて、「赤いペン」を知る人たちから話を聞いていく。そこには、たくさんの物語があった。
素直な無理のないお話 と いった印象。そしてやっぱり そこはかと昔風(笑)で安心しちゃう。
舞台は北海道だと思い込んでたけれど、読み直してみると どこにも「北海道」とは書いていなかった。でも、
この文章と、作者が北海道の方なら、当然、ここは・・・・
2 願いながら祈りながら 乾ルカ
舞台は、北海道の架空の町にある中学校の分校。生徒は5人しかいない。
すぐやめるつもりの新任教師、中1が4人と中3が1人。それぞれがそれぞれの事情と悩みをかかえて暮らしている。章ごとに視点が変わる
とにかく、とってもなつかしいその暮らし。
「分校」に縁のあった私には、分校が舞台というだけで、親近感を覚えてしまったよ。そして、さらに、教室のストーブ(コークス)では、「デレッキ(火かき棒)」と「じゅうのう(小型のスコップのようなもので、ストーブに石炭をくべるのに使用)」を使っていて、もう、ありありと、昔過ごした教室の様子が浮かんできちゃう。
登場人物の それぞれがかかえている問題が語られる ストーリーも 良かった。「視点を変える」というのは おもしろいね。
3 ミュゲ書房 伊藤調
新人作家・広川蒼汰を つぶしてしまった責任を感じ、出版社を退職した宮本章。ひょんなことから 死んだ祖父の残した書店「ミュゲ書房」を つぐことになる。
ミュゲ書房に集う様々な人々の力、そして 依頼された本の編集を通して、章は また 本に対する情熱をとりもどす。
そして、あれ以来 消息不明の広川蒼汰は・・・。
主人公の章はもちろん、「本好き」な人がたくさん出てきたところが嬉しかった。
何よりも、ものすごい読書家で、本に対する莫大な知識を持つ 高校生の 永瀬桃が すごい!。何がすごいって、読んだ本の内容を 忘れていないところがすごい!。(そこか! 笑)
児童文学や絵本が、けっこう出てくるのも 私の中のポイントが上がったところ。
北海道のどこが舞台かわからなくて、最後にやっとわかったんだけど、今回読み直してみて、最初に大ヒントがあったことに気づいたよ。
「観光地」「串団子」「あんかけ焼きそば」「若鶏の半身あげ」
🐰「赤いペン」、ついこの間 何かで見て、読みたい本リストにいれたばかり。
🐱「ミュゲ書房」の紹介、どこかで見たよ。ああ!おもしろそうと思った。
🐰舞台になっているところの 地理がわかるっておもしろいよね。東京が舞台の作品って多いけど、東京に住んでいる人たちって こんな感じで 本とかドラマとか見てるんだろうね。
🐰乾ルカさんて 札幌が舞台のお話あるよね。北大が舞台で・・・。
🐱あるある! ミステリーズで連載されていた。北大のバイトの話、すごくよかったよ。
あと、商業施設の忘れ物センターで働く話もおもしろかった。
新聞でエッセイも書いてたよ。本になったらほしいなあと思う。
🐻最近読んだこの本、おもしろかったよ。
🐱あ! 山本幸久さん。その作者 おもしろいよね。
🐻花がいっぱい出てくるし、なぜか短歌も出てくるし、表紙も春を待つ私の気持ちにぴったりだったよ。
「北海道が舞台の本」を紹介したこの読書会の数日後、図書館にリクエストしていた本が手に入った。
「旅屋おかえり」は、「おかえり」こと「丘えりか」が、依頼人の要望にそった旅をするお話。先日、安藤サクラさんが「おかえり役」で、NHKのドラマにもなっていた。
続編のこの本は、おかえりの出身地である北海道を 旅するお話。さらに原田マハさんの 北海道旅行のエッセイと、「おかえり」が芸能界にはいるきっかけになったエピソードの マンガも集録されている。
北海道が舞台の本、また一冊見つけた!