ぎょうざよ、君はどこ行った?~2024年3月に読んだ本から
読んだ本を忘れないため、毎月、印象に残った本 を 記事にしている。4月は4冊。ひさしぶりに絵本が2冊。
1 光のとこにいてね 一穂ミチ
小学2年生の結珠は、母に連れられていった見知らぬ団地で、同い年の果遠に出会う。たった、数回の出会いだったのに、それは二人にとって忘れられないものとなる。
離れては再会し、離れては再会した二人の20年以上の物語。
たった数回会っただけなのに、これだけ忘れられない相手になるのか。
この後、二人はいったいどうなるのか。
タイトルの「光のとこにいてね」。
最初は、幼い子どもが言った言葉で
「その光のあたる場所で待っててね。すぐもどってくるから」
という、言葉通りの意味だったと思う。
それが、年月を重ねるにつれ、だんだん深い意味を持ち、読み終わった時には、とても印象的な言葉となっていた。
2 一線の湖 砥上裕將
水墨画を学びだした青山霜介も、大学3年生になった。卒業後の進路に悩む日々。
そんな中、小学1年生に水墨画を教える機会を得た。この子どもたちとの出会いは、霜介に大きな影響を与える。
観客の前で実際に水墨画を描く「揮毫会」で失敗をしてしまった霜介に 師匠の湖山は筆を置くように言う。
怪我をして右手にしびれを感じるようになった霜介。山の中の別荘を訪ねる。そこで待っていた人は・・。
前作「線は、僕を描く」も、とっても良かったのだが、この2作目も「前作以上かも」と思うほど良かった。
もう、前半の早い段階からから、泣きながら読んでいた私。
作品全体を通して、静かだけどピンと張った空気感が好ましい。
その中で、霜介は悩み、水墨画に向き合い、自分自身を見つめていく。
揮毫会の描写が見事。
「ああ、実際の場面を見てみたい」と何度も思う。
何度も何度も思ったので、「線は僕を描く」のDVDを借りてきた。
ううう・・すごい。かっこいい。
本物を見たいという気持ちがさらに強くなってしまった。
3 ぎょうざが いなくなり さがしています 玉田 美知子
「ほんじつ ごご2じごろ おおばまち にらやまの ぎょうざが いなくなり さがしています」
と突然、町の放送が入った。ぎょうざやさんの隣に住む としおくんはびっくり。いったい ぎょうざは どこにいったのだろう・・。
ぎょうざがいなくなった理由をいろいろ考える としおくん。
「5つの ひだ が いやになったのか」
「水ぎょうざと けんかしたのか」
「はるまきになる旅に でたのか」
うふうふ、なんだか本当にありそう。
スケボーにのったぎょうざとか、ぎょうざのふるさとの描写とかたくさん笑える。
それにしても、ぎょうざって皮がパラシュートになるのね。
4 おとうさんは103さい 信友 直子
103歳で一人暮らしをしているおとうさんの日常。
映画「ぼけますから、よろしくお願いします」の信友直子監督が描いたおとうさんの物語。
還暦もすぎると、自分も親も健康が心配な日々。
おそらく20年前の私よりずっとしみじみ読めた絵本だと思う。
ひとりになったおとうさんが、まちの人々と交流をもてているのは、退職後の自分を連れ歩いて近所の人に会わせてくれた「おかあさんのおかげ」と思っているのがとてもいい。
年を重ねるとなおさら、人との交流が大事なのよね。
先日、本屋大賞が発表になった。
ノミネート作10冊のうち、発表までに5冊読むことができた。
「リカバリーカバヒコ」「水車小屋のネネ」「成瀬は天下を取りにいく」「レーエンデ国物語」「放課後ミステリクラブ1」
ノミネートが発表になると、もうなかなか図書館では借りられなくなる中、今回は読めたほうだと思う。まだ読んでいないノミネート作も読んでみたいところ。
ひとつ、迷っていることがある。
最後「あああ・・トリスタ~ン」と悲しみを覚えた「レーエンデ国物語」だ。
現在3巻まで刊行。4月中に4巻も出るそうだ。
作家ご本人のブログ(「多崎礼 公式blog 霧笛と灯台」を読むと、全5巻を予定しているとのこと。
ううう、どうしよう。今、出ている3巻までを先に読んでしまおうか。
でも、そうすると私のこと、次の巻を手に取れるまでにはきっと今までの話を忘れてしまう。
いっそ、5巻、完結してから一気に読もうか・・・でも、2巻からどういうふうに話が展開していくかも知りたいなあ・・と 思いは行ったり来たりしている。