「天に昇った男」島田荘司さん(読書感想文)
死刑囚が5分間、
首吊り刑にされて
まだ生きていたからって
冤罪にされて、シャバに出る。
で、物語は、過去から語られ、
現在に至って、
主人公、門脇春男がずっと想い続け、
その罪さえ被った知恵遅れの女性、
冨栄とめでたく結婚。
でも、冨栄の淫乱と裏切りにあって
その瞬間、彼はまだ死刑の執行中に戻る。
5分間生きていても、
無罪になるはずもなく、
一冊分の彼の人生は
首を吊られて死ぬまでの
数分間に見た夢だった、と。
過去の説明から、現在になり、
出所した門脇の
トントン拍子の人生に、
「こりゃ、どんでん返しくるな」
とは思っていた。
私は、本当は人殺しの冨栄に、
門脇が殺されるのかと思ってた。
が、一炊の夢。
(私の座右の銘)
メシを炊く間の夢ならまだしも、
命が絶えるまでの夢なんてね。
でも、最後に、冨栄に裏切られたとき、
きっと門脇は
「こんなことならば、死刑になって
おけばよかった」と思ったはず。
と、いうことは、夢が叶った?
ちなみに門脇は、26分後に絶命。
切なすぎて、何十年も覚えている物語。