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パリのビジネススクール日記#1【受験記録 前編】
パリは一気に寒くなり、日々マイナス○度という天気に震えています。
さて、今回の記事では、わたしが現在通っているパリのビジネススクール、HEC ParisのMédia, Arts, et Création(略してMAC🍔🍟)(M2(厳密に言うとMaster Spécialiséという枠))というコースへの出願プロセスについて書き残しておきたいと思います。
HEC Parisというと、MBAには日本人学生はたくさんいるのですが、その他の修士課程、さらにはフランス語トラックのコースには1人もおらず、同界隈の情報がインターネットに全くないので、この記事がだれかの役に立つと幸いです。
かなり、結構長くなってしまったので、
前編(選定理由、スケジュール、そして書類審査)
後編(面接、合格通知)
に分けたいと思います。
❓選定理由
なぜHEC Paris、その中でもなぜMACなのか。
以下の自己紹介記事でも触れていますが、M1を行った政治学院での授業が個人的には表面的なものばかりに感じて、あまり面白くなかったので、M2は違うところで、違う分野をしたい、というのが始まりでした。
そうして始まったM2リサーチがですが、以下を基軸としました
パリに住める
キャリアを意識せずに、自分がシンプルに興味のある分野を学ぶ
フランス語で行われていること
評価の高い学校であること
一番大きな基軸はパリであることでした。というのも、M1の時にいたAixという南仏の街は、治安はとてもいいものの(リタイアした白人のお金持ちフランス人がバカンスで来るようなところ)、「半日あれば街のほとんどを見て回れる」くらい非常に小さく、1年もいると流石に飽きてしましました。。
なので、修士2年目はどこか大都市に行きたい!と思い、パリとリヨンの2年に絞りました。
続いて、自分が学びたい分野を専攻すること。M1では、もちろん興味あったのと、今後のキャリアに役立てたいということから国際関係学を選びました。でも、授業が表面的・理論的すぎたことで、これって学ぶ必要ある?と自問自答したこともあり、自分が本当にすきなことってなんだろ?と考え直してみました。
そこで、学部時代は「ビジネス✖️音楽」を専攻していたように、自分のコアの興味は「文化・クリエイティブ」と「ビジネス」なんだな、と思い、これを学べる学校を探したところ、HECのMACともう一つリヨンの大学にも似たようなコースを見つけました。
MACについて知りたい方はこちらのHPからどうぞ!(英訳はありません)
ここで、一つ注意したのは「フランス語トラック(すべて授業がフランス語)であること」でした。フランス語力に磨きをかけるべく、この点は譲りませんでした。
そして、最後は「国際的な評価」。ランキングにこだわる訳ではありませんが、やはり評価の高い大学に行けるものなら行きたい、と思っていました。HECはヨーロッパでは常にビジネススクールランキングでは首位をキープしており、世界ランキングも常に一桁です。
そこで、志望順位としてはHEC > リヨンの大学 > 昨年に引き続き政治学院でM2としました。
【選定理由】
1. パリに住める
2. キャリアをそこまで意識せずに、自分がシンプルに興味のある分野
3. フランス語で行われていること
4. ある程度、評価の高い学校であること
📅合格までのスケジュール
合格までの流れは以下のとおりです:
書類審査:各締切日は(※年によって異なります)
Round 1: 1月頭
Round 2: 2月末
Round 3: 4月中旬
Round 4: 6月頭←わたしはココ(6月1日)
書類審査結果:6月3日(提出から2日)
オンライン面接:6月25日
合格通知:7月19日
まず、書類審査。Round 1 - 4まであり、一回のみの出願となります。当たり前ですが、Round1から合格者を出していくので、最後のRoundになればなるほど枠は少なくなります。なので、早めのRoundで出願することをお勧めします!
わたしは、M2の転学を考え始めたのが、2月あたりで(なのでRound1はムリ)、以下で説明しますが、学部時代の成績とか推薦状とか取り寄せるのにそれなりに時間がかかる上、受験料100ユーロだったので「え、これ受からんかったイヤやな〜」というしょうもない理由(笑)でダラダラしてたら結果Round4での出願となりました笑
書類審査に関しては、提出からわずか2日後で、合格通知がメールできました。そうすると、出願プラットフォーム上で面接のスロットを予約できるのですが、先着順なので早くスロットを確保するのが良いです。わたしの場合は、選択可能なタイムスロットが3つしかなく、どれも旅行などでむりだったので、個別にメールして他の日を提示してもらいました。
およそ3週間後にオンライン面接(後編で説明します)を行い、翌月19日に合格通知をメールでもらいました!最終合格通知は固定の日なので、気になる方はウェブサイトで確認できます。
出願時期は1月〜6月までと幅広いが、早めのRoundで出願する方が合格しやすい。
書類を取りまとめるのは時間がかかるので、出願準備は早め早めに。
📔必要書類・試験対策
提出する必要書類は以下のとおりです:
願書・志望理由(Lettre de motivation)
M2の在籍証明書(Certificats de scolarité et/ou derniers diplômes obtenus)※職歴がある場合は、M1だけでも良い。
大学・大学院の成績表(Relevés de notes post-BAC)
推薦状2つ(うち1つは学校からの推薦状の必要あり)(2 lettres de recommandation dont au moins une académique)
履歴書(CV)
英語その他外国語のスコア(Test d’anglais)
願書・志望理由
こちらは出願プラットフォームで必要事項を記入していきます。ここでは学歴(高校から)や職歴、語学スコアなどに加えて志望理由を書くことになります。
例年質問は似ているよう(各指定文字数には変動あり)ですが、2024年の以下のとおり:
1. なぜHECパリとこのプログラムに応募するのですか?あなたのキャリア目標も含めてお答えください(300字以内)。Pour quelle(s) raison(s) postulez-vous à HEC Paris et à ce programme ? Merci d'inclure votre objectif professionnel dans votre réponse. (300 mots maximum)
2. MS(M2のこと) MACの対象分野のうち、どの分野に専門的に興味があり、どの程度詳しいですか(100字以内)。Quel(s) secteur(s), parmi ceux que couvrent le MS MAC, vous intéressent à titre professionnel, et dans quelle mesure les connaissez-vous ? (100 mots maximum)
3. 文化・クリエイティブ分野のマネジメントはどのような点で特徴的だと思いますか(150字以内)。Selon vous, le management dans les secteurs de la culture et de la création présente-t-il des particularités ? (150 mots maximum)
4. 文化・クリエイティブの世界に関連する俳優または企業で、その行動が注目に値すると思うのはどのような企業ですか(50字以内)。Quel acteur ou entreprise lié(e) au monde de la culture et de la création trouvez-vous remarquable par son action ? (50 mots maximum)
わたしはアドバイザーでもなんでもありませんが、個人的に意識したポイントを書いておきます。それは、
「クリエイティブ・文化産業」かつ「ビジネス」の両方に興味があるということを示す
「日本人」というポイントを強調して他者との差異を示す
の2点です。入学して担当の人と話していた時に、その方も「アートが好きなだけではダメ。結局はアーティストがお金を稼げないと、創造活動を持続することはできないから、ビジネスを学びたいという意欲もないといけない。」といったことを話していました。
また、のちの面接では「履歴書や志望理由を見る限り、幅広いクリエイティブ分野に興味があるんですね!」と言われたので、「さまざまな分野のアートに興味あります!」という好奇心旺盛な感じを出すことが大事です。
また、フレンチトラックには日本人が少ないこと、そして多様性を重視するHECでは、「日本人であること」がブランドとなります。ただ、本当に日本文化に精通していることが大事で、それはQ4で特に強調しました。ここでは、日本人のアーティストについて話そうと思い、「村上隆」のビジネスモデルについて書きました。
ちなみに、もう1つの戦略として、もしQ1で自分のクリエイティブ産業における経験や実績が書ききれなかった場合は、Q2に盛り込みました。
どれもかなり文字数の制限がありますが、おすすめはChat GPTで原文を挿入した上で、「指定の文字数で言い換えて」というと見事に収めてくれるので、ぜひ参考に笑
M2の在籍証明書
基本的には、M2を取得、つまりは修士号を取得していることが応募条件となるので、その学校に発行してもらい、証明書も送ります。ですが、M1しか持っていない場合、つまりM1から転学した場合でも、以下のとおり、ある程度の職業経験がある場合は応募資格がもらえます。
M1、専門職としての豊富な経験を持つ者、または専門職としての経験はないものの、その卓越したキャリアパスとプロフェッショナルなプロジェクト経験がある者。
de Masters 1, associé à une expérience professionnelle significative ou, à titre dérogatoire, sans expérience professionnelle mais dont les parcours exceptionnels et les projets professionnels incitent les membres du jury à rencontrer les candidats
昨年M1をしたわたしは、日本での社会人経験をプラスして応募資格をゲットしました。ちなみに、クラスメイトの数名も既に社会人経験がある人たちです。
大学・大学院の成績表
大学・大学院の成績表(M1だけの場合はM1のみ)を提出します。
わたしは大学はアメリカ、M1はフランスだったので必要なかったですが、日本の大学・大学院を卒業された方は「英語かフランス語に翻訳する必要」があるので、前もって翻訳会社にお願いするなどの対応が必要になります。
ここで一点。説明会では、「HECは非常に過去の成績を重視します」と担当者の人が説明していました。学部時代は勉強を頑張っていたので、GPA3.8/4.0くらいだったので問題はないだろうと思っていのですが、問題はM1の成績。。
DELF B2ギリギリで受かって入学したM1(フレンチトラック)は、そもそも授業が理解できる訳なく、試験も本当にギリギリPASSしたものばかりで、成績はそれなりに悪かったです笑
結果合格してるので、どこまで重要視してるのか分かりかねますが、しっかりと成績を取っておくことにこしたことはないでしょう。。
推薦状
推薦状は、英語かフランス語で2つ用意する必要があり(Optionで3つ目も提出できます)、そのうち
1つはアカデミックなもの(Référent Académique):つまり大学・大学院の時の教授に
1つはプロフェッショナルなもの(Référent Professionnel):つまり勤務先の上司に
書いてもらう必要があります。わたしはOptionで送付できる3つ目の推薦状をフランス語の先生に書いてもらいました。
推薦者の負担にならないように、こちらは早い時から準備を進めておきましょう!!
履歴書
履歴書は特にいうことはありませんが、前述したとおり、大事なポイントは
「文化・クリエイティブとビジネス」の両方に興味があることを示すことです。
わたしは職種は全くクリエティブではなかったので、その分
学部時代の専攻(ビジネスと音楽)をアピール
関連スキルも載せる(Adobe系)
受賞歴などでアピール:わたしは過去にピアノのコンクール受賞したり、アメリカにいた時に、地元のミュージカル劇団のピアニストとして働いていたことなどを書きました。
言語スコア(フランス語、英語)
フランス語
留学生に対するフランス語の提出はマストではなさそうですが、念の為出しておくと安心です。クラスメートの韓国人留学生の子はB2出してとおってるので、DELF B2でも大丈夫だと思いますが、わたしは頑張ってギリギリでDALF C1を取得して提出しました。
以降の記事で書こうとは思っていますが、同コースにいる留学生のフランス語力は割とバラバラで、意外とB2レベルの子も多いので(入ってから授業に追いつくのは大変ですが)、受験資格としてはB2でも問題なさそうです。
英語
英語のスコアは全員提出必須です。ですが、基本フランス語で授業が行われる(1セメスターに1個くらい英語での授業もあります)ので、そこまで重要視していないようで、有効期限が切れたものでもOKだそうです。
なお、証明書は1個しか提出できないので、わたしは有効期限の切れたTOEIC(フランスでも認知されているようです)満点!を提出しました。
その他言語
なお、フランス語・英語以外の語学スコアもあれば提出することができます。わたしは中国語のHSK6級のスコアを提出しました。あまり重要ではないかもしれませんが、出せるものは出しておけ!というテンションでいました笑
・フランス語はB2あればOK(C1あれば安心)
・英語はそこまで重要視されない(TOEICスコアでもOK)
・他に語学スコアがあれば、出しておく!
ど、だいぶ長くなりました。
が、本当にMBA以外のHEC Parisでのコースに関する情報がなさすぎるので、できるだけ余らずに書き残し、誰かの参考になることを願います!
何かあれば、コメントでぜひ質問してください!!
次回は、受験記録:後編「面接→合格通知」について書きたいと思います。
それでは!
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