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心育(こころいく)



はじめに

 最近、小学校が荒れているという話を耳にすることが増えました。子どもたちの心は今、どのような状況にあるのでしょうか?
 家庭でも学校でも過ごしにくい。生徒を叱ると、モンスターペアレントが先生に苦情の電話をかける、といった話も珍しくないといいます。
 
 こうした状況の中で、「心育(こころいく)」という言葉をご存じでしょうか?初めて聞く方も多いかもしれません。心育は、家庭や学校で子どもの心を育む取り組みです。しかし、学校教育の中でこれを行うと、思想教育と誤解される可能性もあります。そのため、実施には慎重さが求められます。

 心育の本来の目的は、生きる上で欠かせない「共感」「感謝」「思いやり」など、人間関係を円滑にする力を育てることです。これは特定の価値観を押しつけるものではありません。
 なぜ学校での心育が必要なのでしょうか。それは、多くの親がその方法を学ぶ機会を持てなかったため、自分の子どもに伝えることが難しいからです。また、子ども自身もこうしたスキルを自然に学ぶ場が不足しているのが現状です。

 ただし、心育を進める際には、多様な価値観を尊重し、一方的な思想の押しつけにならないよう配慮が必要です。

心育の具体的な教育方法

心育の取り組みには、次のような方法があります。

1. 社会・感情学習(SEL: Social and Emotional Learning)
 SELは、自己認識、自己管理、社会認識、人間関係スキル、責任ある意思決定の5つの能力を教えるプログラムです。これにより、子どもたちは自分や他者と良好な関係を築くスキルを習得できます。

2. いじめ防止プログラム
 いじめ防止プログラムでは、いじめを未然に防ぐスキルの指導や、被害者・加害者への支援を行います。例えば、フィンランドで開発された「キヴァプログラム」がその代表例です。

3. マインドフルネス教育
 マインドフルネスは、自分の感情や思考に気づき、不安やストレスを軽減する方法です。学校で実践することで、子どもたちの自己認識や感情管理を助けます。

4. 道徳教育
 共感や感謝、優しい言葉の大切さを教える伝統的な方法です。ただし、特定の価値観に偏らず、普遍的な倫理観を学ぶことが求められます。

5. 心理的安全性の確保
 子どもたちが安心して感情を表現し、他者と協力できる環境を整える教育です。心理的安全性は学びの基盤となります。

実践の例 

小学校の4年から中学2年までに行いたいです。

  • ロールプレイ: 共感や感謝を表現する場面をシミュレーションし、練習する。

  • ジャーナリング: 日々感謝していることを日記に書く。

  • グループディスカッション: いじめや暴言の問題について話し合い、解決策を考える。

これらの活動を通じて、多様な背景を持つ子どもたちが互いを理解し合い、豊かな人間関係を築く力を身につけます。

最後に

 心育は、家庭・学校・地域が協力しながら子どもの成長を支える取り組みです。その過程で、多様性を尊重する姿勢が不可欠です。このような教育が普及すれば、より良い社会づくりにもつながるでしょう。

 参考文献には、心育や社会・感情学習、いじめ防止、マインドフルネス教育に関する日本語の書籍や研究論文が豊富に揃っています。ぜひ一度手に取ってみてください。

参考文献

子育てアドバイス

社会・感情学習(SEL)

  1. CASEL(Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning)

  2. SELコミュニケーションツールキット

  3. SEL入門コース

いじめ防止プログラム

  1. キヴァプログラム(KiVa)

マインドフルネス教育

  1. マインドフルネス実践ガイド

道徳教育

  1. SEL標準

心理的安全性

  1. SEL 3シグネチャープラクティス

これらのリソースは、小学生から中学生向けの心育に関する実践的な情報や具体的な実施方法を提供しています。特に、CASELのウェブサイトやリソースライブラリは、SELに関する最新の研究や実践例を豊富に含んでおり、教育者や保護者にとって有用な情報源です。
日本語に翻訳してお読みください。

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