【CAP高等学院代表・佐藤裕幸の教育への情熱と挫折⑨】
こんにちは.通信制サポート校・CAP高等学院の佐藤です.
現在,9月入学の生徒募集のために様々な取り組みを始めています.CAP高等学院は,通信制・鹿島学園山北高校のサポート校として2020年の4月に開設しました.ミッションは「高校生と社会の間にある(と勝手に思われている)様々な垣根を壊し,新しい学びのインフラを構築,高校生と社会をつなぐサポート校になる」です。そのためには,CAP生が高校卒業に必要な単位を最速・最適に取得して,そうすることで生じた有効な時間を自分がしたいことに没頭できるようになれることを目指します.
そこで,代表・佐藤がどのような想いで通信制高校サポート校を立ち上げたのかを思いのまま書いていきたいと思います.今回が9回目です.(なお,ここに記載される内容は,CAP高等学院のFacebook にも投稿されています)
NewsPicks本社及びYahoo!の企業見学会の交通費に関するクラウドファンディングは,残念ながら全額無料の金額までには及ばなかったものの,1/3ほど負担を減らすことができ,参加生徒及び保護者からはとても好評だった.同時に新しい“信用経済”を生徒たちも学ぶことができたので,生徒と社会をつなぐ試みとしては有意義なものになったと思う.
そして,企業訪問当日.最初に訪れたのはNewsPicks本社.当時NewsPicksのコミュニティチームのマネジャーだった小野晶子さんの案内のもと,NewsPicksというコンテンツについての説明があり,その後一つの記事を取り上げて生徒みんなでコメントを出し合う“Picker 体験”をした.
(その時に扱った記事は↓)
https://newspicks.com/news/2679959?ref=search&ref_q=スターバックス%E3%80%80喫茶店&ref_t=top
参加した生徒たちにとっては,普段学校でも実施していたコメント投稿をリアルに経験できたこともあり,非常に興味深かったようであった.
その後,本社内を見学.普段テレビドラマ等でしか見たことのない企業のオフィスとは異なり,託児用スペースや整体スペースがあることや,デスクが横並びになっていないなど,かなり新鮮な風景に生徒たちがどんどん興奮していくのが目に見えて明らかであった.
その後再びスタジオに戻り,当時NewsPicks編集長(現プレミアム事業執行役員)の金泉俊輔さんから「編集という仕事について」という講演があり,質疑応答・生徒たちの今の思いや悩みを聞いてもらうという流れになった.
企画前の想像通り,生徒たちはこれまで出会ったことのない大人との出会いに確実に反応していた.特に印象深かったのは,担任をしていたクラスの生徒の一人が「これまで医者とか弁護士などの資格を取って仕事をすることが一番いいのかと勝手に思っていたけれど,ビジネスマンになって自分のしたいことに取り組める世界があることに気が付けた.将来の進路をもう一度考えてみたいと思う.」と言ってくれたこと.前勤務校の中高一貫コースに入学してくる生徒は,中高一貫コースの初年度実績を見て,医学部進学を考えることが多いが,思考に多様性が生まれる機会を提供できたことが本当に大きいと実感できた瞬間でもあった.
昼食後,場所をYahoo!本社に移動した.学校行事「中学経営塾」でお世話になった箕輪憲良さんのナビゲートのもと,最初にコワーキングスペース“LODGE”を見学した.生徒たちにはそもそもコワーキングスペースという概念が全く存在していなかったため,不思議な空間というのが大方の感想だった.「初めて出会う人がなぜビジネスの話にまで進展するのだろうか?」「無料で利用できるってどういうこと?」「高校生や大学生もいるような感じだけどなぜ?」など疑問だらけであった様子だった.
その後Yahoo!のオフィスを見学し,ソフトバンクやYahoo!がどのような企業なのかについての質疑応答の時間をとってもらい,見学は終了した.見学の途中にYahoo!アカデミア校長の伊藤羊一氏とすれ違い,アカデミアのお話も聞けたのもラッキーであった.
帰宅のバスの中,生徒たちはその日の体験を楽しそうに語っていた.特に当時中学3年生の生徒2名が,自分の将来に真剣に向き合うための決意を話してくれたことが大きい.一人の生徒は,「3年間同じクラスの友達と過ごせたことはとても幸せだと思う反面,ずっと同じ人間関係の中で生きていくことは,自分の他の可能性を失っている可能性もある.だから私は海外留学をしたいと思います.」と話してくれた.彼女は1年間カナダに留学することを決意し,7月からカナダに渡った.もう一人の生徒は,「自分は本当に医師になりたいのか,ちゃんと経験をしてみる必要があると思う.私の今のも目標は世界で活躍する医師になること.その目標に迷いがないか確かめたいです.」と語った.彼女もその年の7月から1ヶ月間タンザニアの医療ボランティアに参加し,自分の思いに間違いがないことを確認してくれた.
NewsPicksもYahoo!も行動を起こした二人の生徒の直接的な将来に関係する企業ではないかもしれない.しかし,彼女たちはこれまで出会ったことのない大人と出会ったことによって確実に行動が変わり,自分を見つめる機会を得ることができた.私はもっと数多くの高校生がこのような機会を得られるような仕組みを作りたいと感じるようになった.そしてそれが学校内で確立できれば,学校の一つの魅力化にも繋がると思い,提案をするきっかけになればとも感じていた.
しかしながら,企画実施の2日後に衝撃的な一言をある管理職から言われることになる.