中小企業はSDGsに取り組む必要あるのか?
ここ最近、「SDGs」という言葉をよく耳にします。グーグルトレンドを見ると、徐々に増えていますが2021年に大きく伸びています。
2015年8月に国連は、SDGs(持続可能な開発目標)を採択し、2030年までの17の目標と169項目の達成基準を定めました。
2001年にまとめられた貧困の撲滅や平和を目的としたMDGs(ミレニアム開発目標)を後継する目標となっていますが、大きな違いは、「企業」の主体的な行動を明示的に求めていることです。
事業を行うことによる社会問題の解決であり、利益を上げながら社会問題を解決する役割を担ってほしいとのことです。これまでは利益を上げて、余剰で社会貢献をするCSRが一般的でしたが、本業とCSRを切り離さずに本業で社会問題解決に向けて取り組むことを求められているのです。
SDGs 達成によってもたらされる、 市場機会の価値は年間約 12 兆ドル、2030 年までに世界に創出される雇用は約 3 億 8,000 万人にのぼると推計されています。
また、デロイトトーマツコンサルティング合同会社の「SDGsビジネスの可能性とルール形成」によると、各目標ごとの市場規模が下記のとおり試算されており、大きな事業機会が見込まれています。(各目標にまたがる取り組みにより市場規模の重複があるため、合計は約3,649兆円となります。)
日本においては、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2021年4月に発表した「SDGs の経済効果〜 どこまで成長につながるか」によると、名目GDPで2015年と比較して、約250兆円増加するとの見込まれています。
一方で、このようなSDGsをビジネスチャンスとして捉えている企業の割合は、欧州では約63.5%であるのに対して、日本では37.1%にとどまっています。(2017年調査)
現在のところ、大企業が中心となってSDGsの推進に取り組んでおり、中小企業の取り組みは特に少なく、先進事例として公的機関などで取り組みが取り上げられている状況です。
ただ一方で、日本にはSDGs的な概念である「三方良し(売り手よし、買い手よし、世間よし)」が古来から根付いています。
多くの日本企業は、自社の利益だけを考えたビジネスではなく、社会の繁栄を見据えた経営理念を定めていました。その経営理念に基づいた経営改善の取り組みは、SDGsの目標とも親和性があります。
タイトルの「中小企業はSDGsに取り組む必要あるのか?」という問いに対しては、すでにSDGsに沿ったなんらかの取り組みをしている企業が多いということです。
拡大が見込まれるSDGs市場での事業機会を自社に取り組むには、これまで行ってきた取り組みを洗い出し、SDGsの枠組みに再構築することで、該当する目標およびその市場、自社の取り組む方向性が見えてくるのです。
自社の取り組むべきSDGsの方向性が定まったら、イノベーションを起点としたビジネスモデルの構築を「長期的に」行うことで、自社の新たな収益の柱を確保しつつ、社会問題の解決に寄与することができるのです。