地味こそすべての秘密基地テクノロジー論
やっと自分の言いたいこと(地味こそすべて)が言語化できそう。まだ長ったらしいから徐々に短い文章にしていきたい。
誰からも外見が派手に見えることには中身がほぼなくて、外から見たら地味に見えることの方が本人たちにとってはキラキラして広大で充実した世界が広がっているのだ。
だから中身がなくてもキラキラに見せたり、規模を大きく見せたりするプロジェクトよりも、外見がどんなに地味でも、中に入ったら数人でメッチャキラキラしてるプロジェクトを考案し始められる人の方が、はるかに時代の最先端なのだと思う。
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こんなふうに想像して欲しい。
キラキラした外見の建物は立派なので、多くの人が「凄いねぇ!」って入口の前で騒いでる。ワイガヤしていい感じだ。建物を作ってる人たちは「どうぞどうぞ、中は盛り上がってますよ!」と鼻高々だ。さこまではテンション高い。中に何があるのか分からないのに、だ。おお、コンパニオンまでいるではないか。
でもいざ建物の中に入ると、みんな何をしていいか分からなくてポカーンとしてる。でも「大きなことやろうぜ!」って集まってるから、大きなことが始まるのだろうと行き場のないワクワク感は続く。でもみんながみんな「大きなことしよう」という「目的」で集まってるから、仲良くならない。誰かが何か凄いことをしてくれるのだ、もしくは自分が何か凄いことをしたいと思って、議論し議論し議論する。そのうちやることがなくなって内装を綺麗にし始める。お金があれば高い家具や機材を入れる。でもみんなそんなに仲良くならない。なんなら喧嘩したりマウントしたり警戒したりする。お金が回ると、まあそれでいいかってなる。なのでその建物ではお金を持ってくるかお金になる仕組みをしかけた人が偉い。儲かるとより外観をキラキラさせる。もっと大きな建物にしますよって言う。成長だ。でもみんなそんなに仲良くならない。ただ凄いことをしてると夢中になるふりをし続ける…。
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一方で、空き地の土管の中で悪巧みをしている数人がいる。雨宿りした時に見つけたトタン屋根の掘立て小屋と土管を段ボールとベニヤで繋いで、その場所を秘密基地に拡張した。外から見ると果てしなく地味だ。中で特に何をしているわけではないという。看板だってない。前を通っても勧誘もされない。でも友だちがどんどん集まった。その掘建て小屋にある日、自宅からガスコンロを持ってきた友だちがいた。それで具を持ち寄っておでんをしたらあるやつが「世界一うまい!」と言った。みんなで語り合った。ガスコンロ最強!って盛り上がった。お腹がいっぱいになると、悩みを打ち明けた奴がいた。みんなでどうすればいいか一緒に考えた。悩んでいたやつは「今度はお礼にパンケーキつくるよ」と言った。ちょっとしたコツがあってフワッフワになるのだという。そこにいた全員が絶対にそのパンケーキを食べたいと思った。美味しいに決まってる。
その秘密基地は何も目的はなかった。でもやがて友だちやその家族が集まるうちに、その人たちにとって大切な場所になった。基地の一角に小さなパンケーキ屋ができた。というかみかん箱にホットプレートがあるだけだ。それでも仲間だけで十分回っていた。維持のために頑張る必要があれば、誰が命令しなくとも必要以上の手伝いが集まった。生き甲斐ができ人間関係がガラッと変わり人生が変わった。何も派手なことは起きてないのに、そこに通う人たちにとってはキラキラで、毎日が寂しくなかった。どんどんアイディアが出てきた。それは見知らぬ人を誘い込むためのものではなく、身内の誰かのためのアイディアだった。誰かが小説を書いた。それをおく本屋さんを作ろうってなった。ならばそこを美味しいカフェにしようと誰かが言い出した。「いいねー!サイコー!」ってなって翌日には出来ていた。本棚と椅子を置いただけだから。誰かが看板をつくってそれをかけた。「わぁ!いい感じのお店みたいになっちゃった」と秘密基地の仲間みんながものすごく楽しい気持ちになって、笑い合った。もちろんコーヒーは美味しかったし、気持ち良い読者タイムになって、「次はわたしも画集をつくってここに置きたい」と言う人たちが現れた。
やがてそれがニュースになり話題になった。秘密基地のメンバーは言った。「ここは観光地じゃない。だから来ないで欲しい。僕らの秘密基地が良いなと思ってくれたなら、あなたの街の空き地であなたたちの秘密基地を始めればいいと思う。今日から始められますよ?」。するとあちこちに秘密基地ができ始めた。ダンスや歌が得意な基地もあれば、お裁縫が得意な基地もあった。基地同士は親戚のようなものなので、連絡を取り合い、助け合いの精神が生まれていて、必要なお金はそれなりに回った。過剰な宣伝をする必要はなかった。受け取る人にとってそれが良いものであれば「あれ、いいよ」で必要な人に行き渡った。
でも地味だった。とんでもなくショボく見えた。
外から見ると、入口がどこかすら何が何だか分からなかった。説明も丁寧ではなかった。キラキラしてないし、その基地の中に何があるのか未だに分からなかった。美味しいものがあると言う。だったらわかりやすくプロに頼んでテレビやネットで宣伝すればいいのにって思った。外から中がわかるようにして、知らない人がたくさん来てくれるようにすればいいのに、そしたらもっと儲かるかも知れないのに、地味だな、自分には関係ないなって思った。
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一方でキラキラを目指す人たちは分かりやすかった。大きな会場で大きなスクリーンで「最先端の街をつくる!」とプレゼンテーションしていた。それで世界を変えるのだと。そこに集まる人も凄いことをするんだって「何かを期待していた」。たくさん人が集まっていたけど、リーダーは集まった人がどうやったらその人たちが飽きないかを気にしていた。だから定期的に大きなことを言う必要があった。なのでどんどん派手になっていった。派手なのが流行りではないと気づくと、派手じゃないですよと宣伝することに必死になった。たくさんのお金も必要とした。
実はキラキラした凄いことを目指す人たちも、本当は自分自身の人生を変えたいだけだった。単に友だちや仲間や誰かに受け入れて欲しいだけだった。実は大きな装置を造らなくても秘密基地で十分だってことがコロナ禍でみんな心のどこかで分かったのに、その自分の心の中の小さな声に耳を傾けなかった。
地味が断然近道なんだけどそう思えなかった。しかも地味はコツコツと地味なことをやらないといけなくて繊細だから「めんどくさかった」。
でもそのめんどくささを覚悟して続ければ、ひとつひとつの秘密基地は小さくても、それが無数に生まれてネットワークされていくことは間違いなかった。10の基地が合流すれば、10倍の仲間と繋がった。
それは、テクノロジーを駆使するからそこできる、上からではなく下からの社会革命だった。
地味にフォーカスすれば、キラキラの会社や学校の何万倍も凄いことになるのに、それでも彼らは気づかず、今日もよりキラキラさせることについて頭を使い、そこに集まった人たちは空っぽの中身の中で途方に暮れていた。
どんなに地味でも、そこにおでんやパンケーキを持ち寄る人がいれば会話が生まれて、無目的でも、草むしりでも、鬼ごっこでも、なんでもいいから人間関係が生まれていくのだ。外観で人を集めちゃダメなのだ。
事前に説明可能で、事前に何を得られるのか分かるものなど、広告代理店にでもやらせとけば良くて、そこに僕らが求めている状況などないのだ。
それが言いたかった。
だから外から見て地味でも気にすんな。
僕やあなたにとって、キラキラしていればいいんだ。恐れることなく進め、テクノロジーと共に。
客をつくるな。地味こそすべて。
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参加型社会学会・ 深呼吸学部「ZoomとVR 旅芸人の一座」
さまざまな私塾がネットワークされたYAMI大学。橘川幸夫が学部長の「深呼吸学部」もその一つです。深呼吸学部の下の特別学科の一つが「旅芸人の…
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