小惑星テロス衝突直前のミステリー: 「此の世の果ての殺人」読書感想
「此の世の果ての殺人」を読みました。第68回江戸川乱歩賞受賞作です。
私は犯人が誰かということを、割と早めに気付いてしまいました。が、物語がどうやって終わりを迎えるかという過程を楽しませてもらえたというのが正直な感想です。
とはいえ、作者の荒木さんは23歳のときにこの作品で乱歩賞を受賞されました。私が23歳だったころを振り返ると、彼女のような成果を上げるのは難しいと感じます。すごいです。
もうひとつ印象的だったのは、物語の終わり方でした。主人公がこの世の終わりに叶えたかったことは何だったのか。小惑星が日本に衝突する数時間前のシーンも良かったと思いました。あんな風に爽やかな雰囲気で終わられると、やっぱり登場人物たちみんなに死んでほしくなくて、小惑星が衝突しないでほしいと願わずにはいられません。
とても読みやすいミステリー小説でした。世界の終わりを目前に控えたとき、特別に現れる人々の感情や欲望があり。そして変わらない日常や感情や欲望もあるのかもしれないと思いました。